2025年4月10日 木曜日

文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

荘内日報ニュース


日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ
  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る

2019年(平成31年) 4月2日(火)付紙面より

ツイート

戊辰戦争で庄内藩が降伏決めた時期 激論交わす史料見つかる

 戊辰戦争で庄内藩が降伏を決めた時期について、「前藩主・酒井忠発の裁決で、1868年9月16日に決定した」とする通説に対し、官軍へ正式に降伏を申し入れた前日の同25日の時点でも藩内部において降伏か防戦かの激論が交わされていたことを示す史料が見つかった。鶴岡市郷土資料館で5月12日まで開催中の「庄内の戊辰戦争展・後期」で詳しく紹介している。

 いずれも参謀本部ともいうべき役職だった庄内藩士、白井吉郎から山岸嘉右衛門へ宛てられた書簡を、郷土資料館が整理して分かった。

 庄内藩は、16日に決定した降伏の藩議をもって、米沢藩を通じて23日、官軍参謀の黒田清隆に対し謝罪降伏の嘆願書を提出。黒田から提示された兵器の提出や開城などの降伏条件を受けてその後26日、官軍が滞陣していた古口に中老ら使者を派遣して正式に降伏を申し入れている。

 書簡では、これまで開催事実のみが伝わっていた23日から25日の間に数回開かれた城内会議の内容について言及。16日に藩論を固めたにもかかわらず、重臣たちが再び激論を交わした様子を伝える。白井は「降伏、防戦とも判断が難しい」「まとまりなく亡国になったら嘆きに堪えない。せめて快く死ぬことができればと激しく憤っている」などと山岸に心中を吐露。また、「激徒を鎮めることもできない」などとも記し、謝罪降伏の条件に反対する藩内の一派の存在も示唆している。

 展示の解説では、鬼玄蕃こと酒井吉之丞の二番大隊や、四番大隊が22日になってようやく戦地から鶴岡に戻っていることから、「激徒とはそうした重臣だったのではないか」と推測、「書簡からは最後まで予断を許さない状況だったことが伝わってくる」としている。

 展示ではこのほか、庄内藩に最新鋭の兵器をもたらしたプロイセンの武器商人、エドワルド・スネルが鶴岡城に登城した際の言動として、「新政府軍の進軍を止めるための他国による軍事的関与が予定されている」などとほのめかした新史料も紹介する。

 こうした新発見は、個人から寄託されるなどした史料の整理で判明。スネルの新史料は一昨年に寄託、白井の書簡は10年ほど前から所蔵と、整理に着手するまでは時間を経ている。郷土資料館の今野章専門員によると、「恒常的に史料の読み込みが追い付かない状況だが、所蔵史料であればいつかは着手して、今回のような発見にもつなげることができる」と話した。

日記や手紙などの史料を通して庄内の戊辰戦争を紹介している
日記や手紙などの史料を通して庄内の戊辰戦争を紹介している



日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ

記事の検索

■ 発行月による検索
年  月 

※年・月を指定し移動ボタンをクリックしてください。
※2005年4月分より検索可能です。

  ■ キーワードによる検索
   

※お探しのキーワードを入力し「検索」ボタンをクリックしてください。
※複数のキーワードを指定する場合は半角スペースを空けてください。

  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る
ページの先頭へ

ニッポー広場メニュー
お口の健康そこが知りたい
気になるお口の健康について、歯科医の先生方が分かりやすく解説します
鶴岡・致道博物館 記念特別展 徳川四天王筆頭 酒井忠次
酒井家庄内入部400年を記念し、徳川家康の重臣として活躍した酒井家初代・忠次公の逸話を交え事績をたどる。
致道博物館 記念特別展 第2部 中興の祖 酒井忠徳と庄内藩校致道館
酒井家庄内入部400年を記念し、庄内藩中興の祖と称された酒井家9代・忠徳公の業績と生涯をたどる。
致道博物館 記念特別展 第3部 民衆のチカラ 三方領知替え阻止運動
江戸幕府が3大名に命じた転封令。幕命撤回に至る、庄内全域で巻き起こった阻止運動をたどる。
致道博物館 記念特別展 第4部 藩祖 酒井 忠勝
酒井家3代で初代藩主として、庄内と酒井家400年の基盤を整えた忠勝公の事績をたどる。
致道博物館 記念特別展 第5部 「酒井家の明治維新 戊辰戦争と松ケ岡開墾」
幕末~明治・大正の激動期の庄内藩と明治維新後も鶴岡に住み続けた酒井家の事績をたどる。
酒井家庄内入部400年
酒井家が藩主として庄内に入部し400年を迎えます。東北公益文科大学の門松秀樹さんがその歴史を紹介します。
続教育の本質
教育現場に身を置く筆者による提言の続編です。
教育の本質
子どもたちを取り巻く環境は日々変化しています。長らく教育現場に身を置く筆者が教育をテーマに提言しています。
柏戸の真実
鶴岡市櫛引地域出身の大相撲の元横綱・柏戸の土俵人生に迫ります。本人の歩み、努力を温かく見守った家族・親族や関係者の視点も多く交えて振り返ります。
藤沢周平の魅力 海坂かわら版
藤沢周平作品の魅力を研究者などの視点から紹介しています
郷土の先人・先覚
世界あるいは全国で活躍し、各分野で礎を築いた庄内出身の先人・先覚たちを紹介しています
美食同元
旬の食べ物を使った、おいしくて簡単、栄養満点の食事のポイントを学んでいきましょう
庄内海の幸山の幸
庄内の「うまいもの」を関係者のお話などを交えながら解説しています

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field