2019年(令和1年) 12月11日(水)付紙面より
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旧庄内藩主酒井家の歴代藩主らが眠る鶴岡市の「酒井家墓所」の整備、保存に取り組む一般社団法人荘内酒井歴史文化振興会(酒井忠順代表理事)は10日、墓所の環境整備に向け、目標額200万円としたクラウドファンディングによる寄付の受け付けを始めた。墓所は酒井家第3代忠勝公の庄内入部から400年の節目となる2022年4月からの一般公開を目指す。
同振興会によると、墓所は同市家中新町の大督寺南側にあり、広さ約7270平方メートル。広大な墓所には、徳川四天王の筆頭とされる初代忠次公から第17代忠明さんまで、歴代の藩主・当主とその夫人らの墓がある。江戸時代の歴代藩主の墓がそろう墓所は全国的にも珍しく、墓石の造りも含め歴史的に貴重な史料とされている。
庄内藩ゆかりの松ケ岡開墾場や荘内神社の関係者ら有志が7月のお盆の時期や8月の荘内大祭の前などに、草刈りのために墓所内に立ち入ることはあるが、一般向けに公開はされておらず、道路に面した墓所の扉も普段は閉められたままとなっている。
城下町鶴岡の歴史を伝える文化遺産を次代に継承し、新たなシンボルとして整備、公開しようと、今年9月に同振興会を設立した。振興会は今後、企業など法人や個人の賛助会員を募り、定期的な草刈りと清掃、墓石の保存・修復、歴代藩主の経歴や功績を紹介する看板や案内板の設置、外観整備、防犯カメラ設置などを進める計画。振興会名誉会長に墓所を所有する酒井家18代当主の酒井忠久致道博物館長が就き、第19代の忠順さんが代表理事を務める。10月に忠久さんと同振興会が墓所管理に関する賃貸借契約(無償)を結んだ。
クラウドファンディングで募る寄付については、20年度に実施する墓所内の清掃や草刈り、樹木の剪定(せんてい)、墓石や石畳の修復に充てる。21年度以降も環境整備を継続し、22年4月の一般公開に備える。忠順さんは「城下町鶴岡の新たなシンボル、住民の誇りとなるような特別な場所を目指して広く一般に公開し、歴史・文化を次代に継承していくための保存体制を構築していきたい」と話している。
今回の寄付は、インターネットで募るクラウドファンディングのサイト「READYFOR(レディーフォー)」で来年1月31日まで受け付ける。同振興会は10日にホームページを開設し、振興会のページから寄付や入会もできる。問い合わせは、同振興会=電0235(33)8901=へ。
2019年(令和1年) 12月11日(水)付紙面より
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鶴岡市の鶴岡中央高校(遠田達浩校長)で6日、桜美林大が首都圏を中心に展開している高校生のためのキャリア支援プログラム「ディスカバ!」を実施した。同市湯野浜地区の観光の取り組みなどに着目する同大ビジネスマネジメント学群の学生が訪れ、高校生に地元・鶴岡の観光ビジネスを見つめ直すきっかけを提供した。
この日は、鶴岡中央高総合学科情報科学系列の3年生38人を対象に実施。大学生が学んでいる航空・観光ビジネスの学習内容を映像や写真を使って紹介した後、大学生は自身の出身地について文化財、有名人などを挙例しながらPR。これに続き高校生は実践としてグループごとに分かれ、大学生に対し地元・鶴岡の魅力を伝えるプレゼンテーションを行った。鶴岡へ足を運んでもらうにはどう伝え、どこを紹介するかなどを制限時間内で話し合い、「鶴岡には何があるんだろう」「あの場所にまだ行ったことがない」などの声が飛び交う中、地元間で有名なラーメン店やこれからの季節に楽しめるタラ汁などの食べ物、加茂水族館や温泉といった観光名所にテーマを絞り、意見を出し合っていた。各グループのプレゼンテーションを評価した大学生は、なぜPRしたいと思ったのかなど理由を高校生に聞き返すことで、より理解度を深めていった。3年生の岩浪更紗さん(18)は「今回の講義を受けて鶴岡の観光がここまで盛んだとは思っていなかった。いい機会になった」と話した。
同大ビジネスマネジメント学群では、東北芸術工科大とのコラボレーションで客室をリノベーションした湯野浜温泉「亀や」の取り組みや、LCCジェットスターの庄内空港新規就航の背景、温泉未利用熱を活用した湯野浜温泉街の省エネ事業などの事例から同地区に着目。同大の働き掛けにより今回、同市での企画が実現した。