2020年(令和2年) 2月12日(水)付紙面より
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酒田市山元の「旧阿部家」(市指定文化財)で11日、恒例の小正月行事が行われ、市内の親子連れが豊作を願う「なし団子」作りなど伝統行事を体験し、昔の暮らしに触れた。
旧阿部家は江戸・元禄3(1690)年に建てられた肝煎(庄屋)の住宅で、1984年に旧平田町の文化財に指定された。小正月行事は、地元住民でつくる「旧阿部家の四季を楽しむ会」(長谷部善也会長)が86年から毎年実施。35回目の今年は市内の親子連れ約40人が参加した。
参加者は初めに、土間で餅つきを体験。「よいしょ、よいしょ」と掛け声とともにきねと臼で餅をついた。引き続き座敷に移動し、ついた紅白餅を団子にし、豊作を願ってミズキの枝に付ける「なし団子」を作った。
初めて参加したという浜田小6年の高橋ももさん(12)は「普段は体験できないこと。地域や日本の歴史、伝統を感じることができた」と感想。庄内地方が好きで約40年にわたりこの時期、庄内旅行に訪れているという岡山県倉敷市の無職、三寺徹さん(63)は「倉敷は干拓のまちなので、伝統があるようでない。最近は観光客が増え、昔と変わってしまったものも多い。庄内は豊かな自然や古い建物、古い伝統行事が豊富で、全てが魅力的。大切にしてほしい」と話した。餅は雑煮にして会食。そのほか、稲わらと豆殻を雪に植える予祝行事「雪中田植え」、無病息災を願う「廿日(はつか)灸」、雪遊びなどを楽しんだ。