2020年(令和2年) 4月18日(土)付紙面より
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安倍晋三首相は16日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、先に東京都など7都府県に発出した「緊急事態宣言」の対象地域を、全国47都道府県に拡大した。また、政府は同日、所得制限を設けず国民1人当たり10万円を一律に給付する方針を決めた。独自に大型連休中の感染拡大防止対策を検討していた県は同日、今月25日から「3密(密閉、密集、密接)が起きやすい業態」の企業などへの休業要請などを行う方針を決めた。
安倍首相は同日、第29回新型コロナウイルス感染症対策本部会議で、当初の7都府県以外でも感染が拡大していることや大型連休中の人の移動を最小化する必要性などを挙げ、「全都道府県を緊急事態措置の対象とする」と述べた。そして、不要不急の帰省や旅行など都道府県をまたいで人が移動することや、観光施設に人が集中する恐れがあるときは入場制限を求めるなど、適切な対応を取るよう都道府県に求めた。宣言期間は、当初の7都府県と同様、「5月6日まで」。安倍首相は「(宣言を同日まで)終えるためには、最低7割、極力8割の接触削減を何としても実現しないといけない」と国民に協力を求めた。
また、現金給付については当初、困窮する世帯を対象に1世帯30万円を支給する方針だったが、一律10万円に改めた。安倍首相は対策本部会議で、「さらに給付対象を拡大した措置を講ずべきと考えた」と、当初の方針を変更した理由を説明。所得制限を設けると給付に時間がかかるため、与党内部でも異論が相次ぎ、スピードを優先する方針に切り替えたとみられている。
一方、県の対策は、国が緊急事態宣言の全国拡大を決める以前から、独自に大型連休中の感染防止を主眼に検討していた。