2020年(令和2年) 9月3日(木)付紙面より
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出羽三山神社(宮野直生宮司)で受け継がれる山伏修行「秋の峰」を締めくくる神事「八朔(はっさく)祭」が31日、羽黒山頂で行われた。例年、同祭では秋の峰で修行を積んだ修行者が夜間に勇壮な火祭りを繰り広げるが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため修行への一般参加者を受け付けず、神職などの関係者で行った。
八朔祭は五穀豊穣(ほうじょう)を願うとともに、擬死再生の行に臨む修験者たちが生命を得て生まれ変わるための自身の葬儀ともされる。同神社によると、秋の峰に一般参加者を受け付けなかったことは、修験道廃止令の明治期と戦時中の1945年を除いて初めてという。
同日は神職と山伏およそ30人で日中に神事を行った。定刻を迎えると蜂子神社前の護摩壇(ごまだん)では火祭りの大柴燈祭(だいさいとうさい)が行われ、燃え盛る火に向かって五穀豊穣のほかに世界平和やコロナ終息、天下泰平など全国の信者から寄せられた願いが読み上げられた。
同神社の吉住登志喜禰宜(ねぎ)は「今年はコロナ禍で一連の行事ができなかったが、国民にとって、世界の人にとってもきちんとした五穀が実ることで一日も早く安泰な生活が取り戻せるように願いを込めた」と話した。