2020年(令和2年) 11月3日(火)付紙面より
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鶴岡市教育委員会は30日、地方の文化向上に尽くした人に贈る「高山樗牛賞」の本年度受賞者に、詩の文芸活動を通して地方文化の啓発向上に貢献している阿蘇豊さん(70)=酒田市光ケ丘一丁目=を決め、発表した。授賞式は11月20日に鶴岡市のグランドエル・サンで行われる。
樗牛賞は、歴史小説「滝口入道」などで知られる庄内が生んだ明治の文豪・高山樗牛(1871―1902年)の偉業を顕彰し、地方文化の向上を目的に樗牛出身地の同市教委が1958年に制定。庄内に居住し、文芸、評論、作文などで功績のあった人に贈られている。今回が63回目。
樗牛賞を受賞する阿蘇さんは遊佐町生まれ。酒田東高、和光大卒、桜美林大大学院国際学研究科修了。日本語教師。日本現代詩人会、山形県詩人会会員。高校3年の頃、現代国語の教科書に載っていた現代詩に強烈な印象を受け、詩の創作を始める。学生時代は仲間と同人誌を作るなどして活動。国内のほか台湾、マレーシア、ベトナムで日本語教師を務め、帰国後の2013年に酒田市を中心に活動する詩誌「シテ」を創刊。現在は年3回のペースで発行。朗読や講演など詩をテーマにしたイベント開催にも関わっている。これまでに、身近な題材をテーマにした「窓がほんの少しあいていて」「ア」「とほく とほい 知らない場所で」の3冊の詩集を発刊。独自の視点にユーモアを交えた分かりやすい作品で、市教委は評価の中で「日本語教師として長く海外で暮らしたこともあり、異国情緒が行間からにじみ出るような印象を与える」としている。
阿蘇さんは受賞に「思いがけなくてびっくり。難しいと思われがちな現代詩を分かりやすく伝えたくて、前向きで明るく、どこかとぼけている、そうした作品を作ってきた。認められてうれしい」と喜びを語り、「今後も日常生活の中で面白いことを見つけ、明るく温かい気持ちになってもらえる詩を楽しみながら作り、その楽しさを分かち合えるようにしていきたい」と話した。