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2020年(令和2年) 11月19日(木)付紙面より

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慶應先端研と筑波大共同研究グループ発表

 慶應義塾大先端生命研究所(鶴岡市)と筑波大(茨城県つくば市)の共同研究グループは17日、腸内細菌がいなくなると睡眠パターンが乱れることを明らかにしたと発表した。

 発表したのは、慶應大先端研の福田真嗣特任教授と、筑波大国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢正史教授らの研究グループ。

 発表によると、腸内細菌叢(そう)を含む腸内環境と脳機能は「脳腸相関」として相互に影響し合っていることが以前から知られ、心身の健康維持に重要な役割を担っているとして注目されてきた。今回の研究では、慢性的に抗生物質を経口投与して腸内細菌叢を除去したマウスを使い、腸内細菌叢と脳機能の一つである睡眠の関係を調べた。このマウスの腸内内容物をメタボローム解析したところ、特にビタミンB6が減少し、脳内で神経伝達物質として働く「セロトニン」が枯渇する一方、神経細胞の活動を抑えるグリシンとγ(ガンマ)アミノ酪酸(GABA)が増加していた。

 さらに、脳波と筋電図を使って睡眠の状態を調べたところ、腸内細菌叢を除去したマウスは正常なマウスに比べ、睡眠時間帯(昼間)の睡眠が減り、活動期(夜間)の睡眠が増え、睡眠・覚醒のメリハリが弱まっていた。また、大脳皮質の活動が活発化する「レム睡眠」に特徴的な脳波シータ波が減少していた。以上のことから「腸内細菌叢の除去が睡眠の質を低下させる可能性が示唆された」としている。

 今後は、睡眠を制御する情報伝達経路の解析などを通じ、腸内環境と睡眠の相互作用を明らかにし、食を通じた腸内環境のコントロールによって睡眠を改善する方法の開発などを目指すという。

マウスを使った研究の参考図=研究発表資料より
マウスを使った研究の参考図=研究発表資料より


2020年(令和2年) 11月19日(木)付紙面より

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生活しやすいまちづくり 鶴岡中央高3年生29人

 東京2020オリンピック・パラリンピックでドイツとモルドバ共和国のホストタウンになっている鶴岡市は17日、障害の有無にかかわらず共に生活しやすい社会の実現に向けたまちづくりを地元の学生に学んでもらおうと、障害者目線で市街地を巡って調査し、バリアフリーマップを作成する研修会を開いた。

 内閣官房のモデル事業「オリパラ基本方針推進調査」に採択された同市が、IT企業などと連携して開催。この日は福祉分野を学ぶ鶴岡中央高校総合学科社会福祉系列の3年生29人が参加。特に車いすユーザーにとって走行可能な道路であるのかを焦点にし、鶴岡身体障害者福祉団体連合会のメンバーなども加わって複数のグループに分かれ、実際に車いすに乗って街歩きした。

 このうち、銀座通りから荘銀タクトまでの間を調査したグループには、同市を拠点に活動している車いすユーチューバーの渋谷真子さん(29)が加わり、生徒と共に調査開始。写真撮影する人、記録を取る人と役割分担しながら段差の他にも歩道の幅員が2メートル以上確保されているか、青信号時間が車いすや白杖を使う人にとって十分な長さになっているかなど、街中に隠れている「障害」を細かくチェックしていった。巡った施設内では足で踏むことで噴射されるスタンド式の消毒液、飲み水が出てくるウォータークーラーなどを確認。渋谷さんは生徒に「足が不自由な人はどうすればいいのか。まだまだ健常者目線で作られたものも多い」と問いかけていた。

 3年の菅原杏沙(りさ)さん(18)は「車いすは目線が低く、車を運転している人の顔が見えないことに気が付いた。ドライバーにとってもこちら側のことが見えているのか分からなかったので、ドライバーに対して車いす歩行者に注意を呼び掛ける何かがあればいいと思った」と話していた。 

車いすユーチューバーの渋谷さんと共に鶴岡中央高の生徒たちが鶴岡市街地を巡り、段差や歩道の幅などを調査した
車いすユーチューバーの渋谷さんと共に鶴岡中央高の生徒たちが鶴岡市街地を巡り、段差や歩道の幅などを調査した



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