2020年(令和2年) 11月20日(金)付紙面より
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5月に施行された「文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律」(文化観光推進法)に基づき文化庁は18日、酒田市の公益財団法人・本間美術館(本間謙三代表理事)など4機関・社が共同で申請していた「本間美術館を中核とした酒田湊町文化観光拠点計画」を認定したと発表した。同拠点計画推進に向け今後、4カ年にわたって国の補助を受けられる。本県で認定を受けたのは初めて。
文化観光推進法は、国内外からの観光客誘致に向け、美術館や博物館、劇場・ホール、神社仏閣などの施設を「文化観光拠点施設」と位置づけ、自治体や観光協会などと連携し周辺の観光地としての魅力を高める計画を策定、受け入れ態勢整備促進などの取り組みに補助を行うもの。5月の施行以来、8月に全国各地の10件、2回目となる今回は酒田の計画を含めて15件を認定した。
「拠点施設」の本間美術館と、「推進事業者」の酒田観光戦略推進会議(会長・丸山至市長)、酒田観光物産協会(真島裕会長)、インバウンド向けツアーの企画・催行などを手掛ける「The Hidden Japan」(同市、山科沙織代表)が共同申請し認定を受けた今回の計画は、本年度から4カ年にわたって同美術館の魅力を高めることで▽来訪者の満足度向上▽外国人来訪者を現在の2倍▽観光客の酒田滞在時間延長―などを目指す。同美術館の魅力向上を図るための機能強化事業として、4000点にも及ぶ所蔵品のデータベース化、国指定名勝「鶴舞園」と本間家別邸「清遠閣」のライトアップ、外国人観光客に対応するための多言語解説の導入、オリジナルグッズの開発などに取り組む。総事業費は9600万円で、このうち約6000万円が文化庁からの補助。
同日に清遠閣で4者による共同会見が行われ、本間代表理事は、本間家の歴史や先行事例を紹介した上で「他の施設とも連携し、まずは文化に興味を持ってもらいたい。良い旅の思い出が口コミで広がり、酒田を訪れる人が増えることを期待する」、丸山市長は「本間家ゆかりの歴史資産を観光資源として有効に活用したい。4者でしっかり事業推進に努めたい」とそれぞれ述べた。
2020年(令和2年) 11月20日(金)付紙面より
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新型コロナウイルス感染症の影響で花卉(かき)消費が落ち込む中、酒田市内の栽培農家、地消の一翼を担う生花店、ホテル、行政が連携し18日、地場産花卉の認知度向上に向けた方策を探ることを目的にした「花のまち酒田『華いっぱいプロジェクト』」を設立した。ウィズコロナ、アフターコロナの時代を見据え、「新しい生活様式」に対応した施策を推進し、特に地場消費の拡大を図っていく。
同市は花卉販売額が鶴岡市に次ぐ県内2位の一大産地でアルストロメリア、トルコギキョウ、ユリといった花々を通年で生産、主として大規模都市圏に流通している。しかし、産地としての認知度はあまり高くない。それに加え、コロナ禍で今春以降、卒業式や入学式といった各種式典の中止・規模縮小によって需要が激減。これに伴って取引価格も低迷。花卉農家は大きな打撃を受けている。
打開策として市は今年3月以降、市庁舎内で切り花の対面・注文販売を行ったほか、本庁舎、各支所を酒田の花で彩っている。また、結婚・出産という人生の節目を迎えた市民に対し、市内で生産された四季折々の花を贈呈する「『花のまち酒田』の花いっぱいプロジェクト」を展開した。
今回のプロジェクトは連携して酒田産花卉の生産から流通、販売までのネットワークを構築することで、地場消費の拡大・普及啓発に取り組み、認知度向上を図ることが狙い。趣旨に賛同した市内の生花店8店とそでうら、庄内みどりの両JA、ホテルリッチ&ガーデンの計11店舗・団体・社が参加した。事務局は市農林水産部。
市庁舎内で行われた同プロジェクトの設立総会では、趣意書、事業計画など承認。代表に市内で花屋「CLOVER」を経営する阿部浩さんを選任した。本年度事業としては、酒田産花卉をメーンとしたフラワーアレンジメントを行い、メディアによる展示PRを展開するともに、生産者ほ場巡り、市内施設などでの展示、結婚・出産時の花プレゼントなどを計画している。
代表となった阿部さんは就任あいさつで「生産農家、生花店が力を合わせ、まずは花の魅力を広く市民に伝えたい。そしてこの街を良くしていけたら」と述べた。