2020年(令和2年) 11月26日(木)付紙面より
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羽越本線高速化シンポジウムが24日、鶴岡市の東京第一ホテル鶴岡で開かれ、JR関係者の講演や新潟・庄内・秋田の沿線住民代表3人の意見発表を通じ、ポストコロナ時代の鉄道の在り方や、鉄道を使った地域活性化の方策などを考えた。
山形県庄内地区羽越新幹線整備実現同盟会(会長・皆川治鶴岡市長)、羽越新幹線整備促進秋田地区期成同盟会(同・長谷部誠由利本荘市長)、羽越本線高速化・新幹線整備促進新潟地区同盟会(同・中原八一新潟市長)の3地区同盟会が2002年度から毎年、回り持ちで開いている。例年は300―400人規模で開いているが、今年は新型コロナウイルス感染症対策で参集枠を限定し、3地区市町村の首長や議会、商工関係者ら約170人が参加した。
初めにJR東日本新潟支社の鴇澤(ときざわ)良次営業部長が「地域にいきる・ともにいきる?観光から地域活性化を目指すJR東日本グループの観光施策?」と題して講演。沿線の人口減少や東日本大震災による鉄道の役割の再認識、新型コロナによる需要減退などの流れを示し、「いかに交流人口を増やし地域活性化に結び付けるかが課題」とした。
その上でデスティネーションキャンペーン(DC)を単なる宣伝から、地域と連携して観光開発を行うようになった歴史や、臨時快速列車「海里」など新たな取り組みを紹介。コロナ後の鉄道の在り方としては、来年4―9月に初めて東北6県の枠組みで実施するDCや、ICT(情報通信技術)を使い多様な交通手段を一体的に捉えてサービス提供するMaaS(マース)の試行などを挙げ、「社の最新のキャッチコピーは『旅と暮らしを新しいカタチに。』。鉄道を通じ、地域の活性化を図りたい」とした。
続いてあつみ観光協会の若松邦彦会長、秋田県にかほ市地域おこし協力隊の小林裕高さん、新潟市新津鉄道資料館の岩野邦康学芸員の3人が意見発表した。
このうち若松さんは、あつみ温泉が昨年9月に国民保養温泉地に指定されたことや、2018年4月から新潟駅で新幹線と羽越本線の同一ホーム化が実現したことなどを紹介。整備新幹線については「発着本数が多く移動人数も増える」などのメリットを挙げ、「羽越本線の高速化は国全体の基盤力を高め、安心安全とともに地方創生観光ビジョンを支える最も重要な施策」と早期実現を訴えた。
また、小林さんは「新潟発秋田行きラーメンツアーで、停車駅ごとにラーメンと車窓の風景を楽しんで」、岩野さんは新津―秋田間の鉄道の歴史を紹介し、「コロナ禍の中では域内のリピーターをどう確保するかが重要になる」とした。来年は由利本荘市で開かれる。