2020年(令和2年) 12月4日(金)付紙面より
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国土交通省酒田河川国道事務所は地域高規格道路「新庄酒田道路」(約50キロ)の戸沢―立川間約5キロの整備計画検討の一環で、庄内町や戸沢村など沿線の住民や庄内・最上両地域の企業などの道路利用者を対象にしたアンケート調査を実施している。整備に向け検討中の1トンネル整備によるバイパス案2国道47号の現道改良と一部バイパス案―の2つのルート案とそれぞれを比較した特長や課題を提示し、整備に当たって「重視すべき事項」を尋ねている。アンケート調査の実施期間は今月18日まで。
新庄酒田道路は、余目酒田道路や新庄南バイパスが供用開始され、新庄古口道路の一部が開通済み。最上川沿いを走る現道の国道47号は、急カーブや道路幅が狭い箇所があり、冬期間は路面凍結の発生などで安全性の向上が課題となっている。さらに全面通行止めが発生した場合は、国道112号月山道路を利用しなければならず、広域迂回(うかい)が生じている。戸沢村草薙と庄内町狩川を結ぶ未事業化区間の戸沢―立川間について昨年度、新規事業化を前に公共事業の必要性・妥当性を検証する計画段階評価着手が決まり、東北地方整備局が概略ルート検討のための1回目のアンケートを実施した。
今年10月に開催された同整備局の社会資本整備審議会道路分科会東北地方小委員会で2つのルート帯案が示され、2回目のアンケート実施が決まった。アンケートは、▽庄内―最上間の所要時間が短くなる▽最上川沿いの観光資源への利便性がよい▽沿道集落への利便性がよい▽自然環境への影響が少ない▽工事に伴う規制の影響が少ない▽建設費が安い―など10項目の「重視すべき項目」を挙げ、その理由などを尋ねる。
戸沢―立川間の1のバイパス案は、全線新設の延長約5キロ、設計速度80キロで、最上川沿いを走る国道47号の南側を通り、立谷沢川をまたぐルート。2の現道改良・一部バイパス案は延長約7キロ、設計速度60キロとなり、草薙から最上川と立谷沢川が合流する清川付近までをバイパス化し、清川―狩川間は現道の47号を拡幅するなどして改良する。いずれの案も急カーブでの交通事故の危険性の軽減、冬季の走行安全性(立ち往生回避)の確保が図られる。一方で清川集落からのアクセス性には優劣があり、実際の工事では1は現道交通への影響がほとんどないものの、2は長期間の交通規制が必要となり影響は大きい。概算の整備費は1が200―240億円、2が220―260億円と試算。
アンケートでは庄内町と戸沢村の全世帯、酒田市と新庄市の国道47号沿線世帯には回答はがきを郵送配布するほか、同区間を利用する庄内、最上両地域の事業者にも郵送配布。一般の住民、利用者は市町村の庁舎などに置かれている回答はがきに記入し投函するか、同事務所のホームページ上で回答できる。庄内、最上の沿線自治体や団体、事業者を対象にヒアリングも行う。問い合わせは酒田河川国道事務所=電0234(27)3331=へ。
2020年(令和2年) 12月4日(金)付紙面より
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酒田市は1日、アマチュア写真家を対象に市が制定する本年度の土門拳文化賞の選考結果を発表した。最高賞の文化賞に仙台市太白区、元高校教諭、海老名和雄さん(77)のカラー30枚組み「恵みと試練―丸森2019」が選ばれた。授賞式は来年3月7日(日)、酒田市飯森山二丁目の土門拳記念館(市写真展示館)で行われる予定。
酒田市名誉市民第1号で世界的な写真家・土門拳さん(1909―90年)の功績をたたえ、写真文化と写真芸術の振興などを狙いに、市が、土門さんの作品を収蔵する同記念館の開館10周年記念事業として1994年度に創設した賞。国内のアマチュア写真家を対象に自由なテーマで写真作品を公募、優秀作を表彰しており、プロ写真家への登竜門として定着している。
26回目の今年は、全国37都道府県の138人から145点が寄せられ、10月16日にいずれも写真家の江成常夫さん、大西みつぐさん、藤森武さんの3人が市内で選考委員会を開き、文化賞1点、奨励賞3点を選んだ。
文化賞に選ばれた海老名さんの作品は、宮城県丸森町の養蚕農家2軒をモチーフに、昨年4月からまゆ作りの模様を詳細に記録し続けたもの。最中の同年10月、台風19号が同町にも大きな被害をもたらし、その現実をも撮影。取材していたうちの1軒は壊滅的な打撃を受けたため、後に廃業に追い込まれたという。藤森さんは「中山間地域の生活と限界集落に近い地域の問題点が浮き彫りになった。組み写真の難しさを克服した見事な写真群」と評した。
奨励賞は、藤吉修忠さん(81)=和歌山県=のカラー30枚組み「沈黙の声」、和田喜博さん(73)=岐阜県=の同「連綿の片」、新井俊明さん(68)=京都府=のモノクロ30枚組み「寄り添って」の3点。
受賞作品は、授賞式に先立ち来年3月6日(土)から同記念館に展示される。