2020年(令和2年) 12月5日(土)付紙面より
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国土交通省東北地方整備局は、鶴岡市馬場町の旧市立荘内病院跡地に整備する国の「鶴岡第2地方合同庁舎」の工事に着手した。同市内にある鶴岡税務署と山形地方検察庁鶴岡支部・区検察庁、鶴岡公共職業安定所の3つの機関が入る合同庁舎で、同市の防災倉庫を合築して整備する。完成は2022年5月末を予定している。
鶴岡市内では、山形地方法務局鶴岡支局や庄内労働基準監督署などが入る大塚町の鶴岡合同庁舎に次ぐ合同庁舎になる。
鶴岡第2地方合同庁舎の敷地面積は3915平方メートル、建物は鉄筋コンクリート造り3階建て、延べ床面積約3530平方メートル。総事業費は約14億6500万円を見込む。東北地方整備局営繕部は施設の設計者選定に当たり、「城下町の歴史を感じる、鶴岡らしいデザインによる施設整備」など3つをテーマとして設計業務委託の公募型プロポーザルを実施。城下町の地域特性と歴史的景観に配慮し、1階南側の歩道そばには、近くにある国指定重要文化財「旧風間家住宅丙申堂」にも残る「通り土間」が設けられ、その一角に多目的トイレとベンチを配置した休憩スペースを備える。
本年度は準備工事や仮設・杭(くい)工事を行い、21年度に建物本体工事を進め、22年度に外構工事を予定する。庁舎1階には広さ約70平方メートルの鶴岡市の防災倉庫を整備。防災用資機材を備蓄する倉庫と合築することで、地域の防災機能の確保を図る。
第2地方合同庁舎の整備をめぐっては、鶴岡市が市立荘内病院の新築移転に伴う旧病院敷地の跡地利用構想を描く中で浮上。02年には、中心市街地の活性化に向け合同庁舎整備を盛り込んだ「鶴岡文化学術交流シビックコア地区」の整備計画が国交大臣の承認を得た。庁舎に入居予定の各機関の建物が老朽化してきていることもあり、整備計画が具体化した。
東北地方整備局や鶴岡市は、市内に分散する国の機関の集約で利便性が向上するほか、市役所などがある「シビックコア地区」への公共施設の集積化により「居心地の良いまちなか空間を創出する効果」が期待できるとしている。
2020年(令和2年) 12月5日(土)付紙面より
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鶴岡市の鶴岡工業高校(百瀬克浩校長)の生徒が創立100周年記念の「鶴工シルクプロジェクト」の一環で制作していたシルクチーフとシルククリームが完成し3日、デザインに家紋を使わせてもらった旧庄内藩酒井家第18代当主で致道博物館館長の忠久さん(76)=家中新町=らにプロジェクトを報告し、完成品をプレゼントした。
同校は1895(明治28)年、地域で盛んだった絹織物の人材養成のため開校した鶴岡染織学校を前身に1920(大正9)年、創立された。100周年の今年は学校の原点「シルク」に焦点を当て、7月にプロジェクトを立ち上げた。1―3年生の希望者23人が山形大や県立産業技術短大、地元企業の協力で、戊辰戦争後に旧藩士が刀を鍬に代え松ケ岡を開墾して絹産業を興した歴史を学び、チーフやクリームの制作、養蚕自動工場の研究に取り組んだ。資金は今春にクラウドファンディングで集めた126万円を使った。
このうちチーフは、著名なプランナー・佐藤成美さんらの指導を受け、酒井家の家紋「丸にかたばみ」に、さやに収めた刀や鍬を加えたロゴ、繭玉などをあしらった4種を自分たちでデザイン。東福産業(外内島)で捺染(なっせん)も行い、約800枚を完成させた。約200枚はクラウドファンディング、約600枚は創立100周年の各関係者への返礼品に使う。大きさは43センチ四方。
クリームは医療品・化粧品製造の高研鶴岡工場(宝田一丁目)の協力で、シルク由来のタンパク質セリシンを使い、保湿・紫外線カットの機能に優れたものを開発。パッケージデザインも自分たちで考えた。
この日は2年生4人が致道博物館を訪れ、酒井忠久館長と長男の忠順副館長に報告。ともに情報通信科の鈴木慧さん(17)は「チーフのデザインは侍が刀を鍬に代え開墾した鶴岡のシルクの歴史を盛り込んだ。プリントは大変だったが、貴重な体験になった」、佐藤菜々美さん(17)は「クリームはラベンダーの香りを付け、男女が使えるものにした」などと説明し、完成品をプレゼントした。
忠久さんは「染織学校があったおかげで鶴岡は発展できた。鶴工の力は大きい。若い人が活躍してくれるのはうれしい。今後もいろいろな発展につなげて」と激励した。