2020年(令和2年) 3月19日(木)付紙面より
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酒田市の経済停滞感に懸念
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、観光客の減少や各種イベント開催の自粛、輸出入の停滞など、経済面の影響が懸念されている。17日の酒田市の3月定例市議会本会議一般質問では、池田博夫氏(志友会)、佐藤猛氏(公成会)がこの問題を取り上げて市内の実態などをただし、丸山至市長らが答えた。
丸山市長は答弁で、市内の産業界への影響について、「観光業と飲食業への影響が非常に大きい」とした。その上で、観光については「今月1―7日の酒田観光物産館(山居倉庫の酒田夢の倶楽)は昨年同期比で、入り込みで約2割、観光バスの立ち入りと売り上げは約4割減少している。その他の観光施設の入り込み、宿泊施設も外国人、日本人とも団体予約のキャンセルが増えている。宿泊は、今月2日の安倍総理のコメント(特措法を改正し緊急事態宣言を可能にする方針)発表後は個人のキャンセルも増えている。飲食店も会合などのキャンセルが相次ぎ、観光を生業とする人たちには死活問題になりつつある」とした。
観光イベントについては「自粛要請し、市自体が取りやめたものもあり、その影響も大きい。酒田雛街道は、主要展示は予定通り行っているが、各施設のほとんどの関連イベントの中止が決定している。4月の日和山の桜まつりは、露店の出店やイベントは中止せざるを得ない。5月の酒田まつりは、今月下旬には判断する必要がある」とした。
製造業は「市が今月第1週に製造業や金融機関に聞き取りしたところ、『現時点で大きな影響はないが、受注量が徐々に減少しており、このままの状況が続けば4月以降影響が出てくる』と回答した企業が多かった。金融機関には『取引先の中国の工場閉鎖の影響で、中国製の部品の供給のめどが立たない』という相談が多かった」という。
小売業は「トイレットペーパーなど紙製品や、臨時休校の影響で児童などが調理せずに食べられる冷凍食品の売り上げが好調という話もある。休校に伴い、スクールバスを運行する業者や学校給食の納入業者にも影響が出ている」とした。
農業、水産業は「まだ数字的には表れていないが、生産者の声として『取引価格が下がっている』『イベント用の花の需要が下がっている』などがある。学校給食用食材は市内の産直施設が納入しており、タマネギなどのキャンセルが一部に出たが、少量で、店頭販売に切り替え、それほど大きな影響はない。産直は地元客が中心で、今のところ、極端な減少はない」とした。
中小企業への支援策について、「中小企業者がセーフティネット保証制度を受ける際、信用保証協会に支払う保証料を、県と市、信用保証協会で補給し、中小企業者が保証料を負担することなく制度を利用できるよう対応する」など国や県の各種支援制度を紹介。「今月11日に市役所内に事業主を対象とした新型コロナウイルス関連経済対策窓口を設置し、きめ細かに対応していく」とした。
対策窓口(市商工港湾課内)は電0234(26)5361。
鶴岡公園の花見で露店中止
今年の花見の露店はなし―。新型コロナウイルス感染拡大防止で鶴岡市は18日までに、今年の鶴岡公園の花見で露天商による出店を中止した。昨年は開花に合わせた2週間余りの期間で122店の出店があった。一方で市は、市内や県内で感染者が確認されない場合、同公園での市民や観光客による花見や宴会の自粛要請は行わない。同公園で実施している「鶴岡桜まつり」を一部縮小して開催する。
民間の気象情報会社によると、同公園のソメイヨシノの開花予想日は4月6日で、13日の満開見込みとなっている。「日本さくら名所100選」の同公園には例年、開花時期に地元や県内外から花見茶屋など飲食やおもちゃ、植木などさまざまな露店が並び、週末の土日の2日間には県内外から延べ8万人ほどが訪れている。
市の感染症予防対策本部は、県外から相当数の参加が見込まれるイベントについて、当面は中止する対応方針を決定しており、これに沿って露店の出店中止を決めた。同市には、県外の露天商などから「他県の出店も中止となっている」など問い合わせも多く、準備期間も考慮し早めの対応が必要と判断した。同公園内の荘内神社で予定していた鶴岡観光協会による「お花見茶会」「和菓子作り体験」「観光人力車」も中止する。
一方、鶴岡桜まつり関連事業のうち開花日から2週間程度実施する花見ぼんぼりの点灯、新たに実施する鶴岡護国神社前庭の桜のライトアップ(開花日から10日間程度)、「インスタグラムフォトコンテスト」、「着物さんぽ」(4月16―19日)は予定通り実施する。
2020年(令和2年) 3月19日(木)付紙面より
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2020年度の公立高校の合格発表が17日、県内で一斉に行われ、各公立高校には受験生が詰め掛けた。
鶴岡市の鶴岡工業高では、この日午後3時ごろ、肌寒い天気の中、三々五々受験生が集まった。新型コロナウイルス感染防止対策で今回は掲示板ではなく合格者の受験番号記載のプリントを一人ずつ受け取るという異例の発表方式となった。
加藤涼太さん(15)=鶴岡四中=は「合格でした。とてもうれしい。結果はまず家族に伝え、それから友達に伝えたい。帰宅したらすぐに遊びに出て高校受験からの解放感を満喫したい」と話し喜びを表した。
同校では発表予定時刻の午後3時半よりもやや早くプリントが配布された。受け取った受験生はその場に滞留せずに速やかに校門から出ていた。
門外では一緒に見に来た友人と喜びを分かち合う姿があちこちで見られ、校門を背に記念撮影をする親子の姿もあった。