2020年(令和2年) 3月22日(日)付紙面より
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病気や加齢によって起こる嚥下(えんげ)障害を抱える人が外食できる施設を増やしていこうと、庄内の地物を使った嚥下食の試食会が19日、鶴岡市の湯野浜温泉保養所うしお荘で行われた。うしお荘の延味克士支配人兼料理長と市立加茂水族館の魚匠ダイニング沖海月(おきみづき)の須田剛史料理長が医療専門職指導の下で献立を考案し、調理。参加者は試食を通して嚥下食の今後の課題を探った。
3年前、料理人や管理栄養士、言語聴覚士などの有志が集まり、嚥下食対応のスイーツを試作したことをきっかけに翌年、「鶴岡食材を使った嚥下食を考える研究会」(瀬尾利加子代表)を設立。硬さや形状など食事内容に制限がかかり、家族との外食ができないなどの嚥下障害の実態を受け、瀬尾代表が中心となって言語聴覚士や管理栄養士、両料理長と「嚥下障害対応の料理がいただける温泉旅館プロジェクト」を始動。試食や改良を重ね、試作品を完成させた。
この日は県内外から多くの参加申し込みがあったが、新型コロナウイルス感染拡大予防のため県内の医療従事者や関係者など約10人で開催。瀬尾代表や言語聴覚士などが講師を務め、参加者は同市の医療介護や高齢化の現状、嚥下食の抱える課題などについて見聞を広めた。
その後の試食会では新緑蒸し、柔らか庄内豚角煮、旬の庄内浜握りずしの3品を試食。茶わん蒸しには飲み込みを手助けするためのあんを掛け、角煮の豚肉は口の中でほぐれやすくなるように決められた温度で長時間蒸し上げ。すしのシャリは全粥(がゆ)にすることで粒感を抑え、海藻由来の凝固剤を使ってシャリ本来の形状を保ち、見た目も味も楽しめる五味五色が行き届いた嚥下食が並んだ。参加者は一品ずつ味や食感を確かめながら、料理人らに改善点や食べた感想などを話していた。
旅館などに食品を卸す業務用食品販売会社の営業、酒田市の伊藤優さん(29)は「今回のような取り組みをする料理人とお客さんとのパイプ役になりたいと思って参加。既製品の嚥下食とは違い、地元の物が使われ風味が全然違う」と違いを実感。延味さんは「食べやすく飲み込みやすいことが最優先の嚥下食。人として食べる喜びや生きる喜びがあると思うと、食感やおいしさをどこまで残せるか、ギリギリのところまで勝負した」と話した。
今回の試作品は今後、改善点を踏まえて改良し、旅館などでの提供の実現化を目指すとしている。
2020年(令和2年) 3月22日(日)付紙面より
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鶴岡市の鶴岡まちなかキネマで20日から、第6回まちなかクラフトが開催されている。「Lueur Solaire」「ロケットバナナ」「刺し勇」「borzoi」「HAND WORKS あおいくま」の5組の製作者が、それぞれ天然石アクセサリー、バッグや小物、庄内刺し子、スケートボードを素材にリメークした小物、ペイント小物を出店。来場者は作品を手に取り製作者との会話も楽しんでいた。
「HAND WORKS あおいくま」の渕江裕子代表は手描きiPhoneケースや手作りキーホルダーを出品。iPhoneケースは機種に合わせてオーダーできイラストの注文も受けている。「あおいくま」の名前の由来は「あい」「おもいやり」「いのり」「くふう」「まごころ」の頭文字。同市のイタリアンレストラン「アル・ケッチァーノ」の看板も渕江代表が描いたものという。
まちなかクラフト主催の小野寺勇一代表(刺し勇)は「今日は10人くらいが購入してくれたが、例年に比べると人出が少ない。本来であれば会場の映画館に春休みの子ども映画の客が多く、出店ブースももっと盛り上がるのだが。世の中のイベントが軒並み中止になっているが、まちなかクラフトを楽しみにしている人も多いので、予定通り開催した」と話した。この催しは22日(日)まで開催される。午前10時から午後4時まで。
問い合わせは刺し勇=電090(9424)4528=へ。