2020年(令和2年) 4月8日(水)付紙面より
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酒田市から平和や友好への願いを込め、ニュージーランド(NZ)政府に贈られた伝統のつるし飾り「傘福」が、ジャシンダ・アーダーン首相の執務室とみられる部屋に飾られているのが分かった。同首相が写真共有サイト「インスタグラム」に、新型コロナウイルス対策を指示する様子を投稿した写真にはっきりと写っていた。庄内地方でも同ウイルス感染者が確認される中、酒田市の関係者は「気持ちはつながっている。お互いにこの苦難を乗り越えなければとの思いを強くした」と勇気づけられている。
傘福は、縁起物などさまざまな布細工を和傘に下げたもので、庄内で子どもの健やかな成長を願って製作、寺社に奉納されてきた。酒田市は東京オリンピック・パラリンピックのNZのホストタウンになっていることから昨年5月、市ホストタウン推進協議会(会長・丸山至市長)で、同国出身の東北公益文科大助教のティモシー・バンティングさんが寄贈を提案した。同年3月にクライストチャーチ市で51人が犠牲になる銃乱射事件が発生したことを受け、犠牲者の追悼や平和、両国友好への願いを込め、オリジナルの「ニュージーランド傘福」を作って贈ろうというものだった。
同推進協の呼び掛けで東北公益文科大の学生や教職員、庄内傘福研究会の会員らが伝統の縁起物に、国鳥キウイやラグビーボールなどNZを象徴する飾りを加えて製作。今年2月に同大学生や市の関係者らが同国を訪れ、同国外務省や事件現場となったモスクなどを訪れ、寄贈してきた。
先月26日には、アーダーン首相から丸山市長宛てに、「公益大の学生らが外務省を訪れ、昨年3月のテロ襲撃事件への哀悼の意味を込め、傘福を贈っていただき、感謝」といった内容の直筆メッセージが、駐日同国大使館を通じて市に届けられた。
そして、先月31日にアーダーン首相は自身のインスタグラムで「(新型コロナウイルスに関する)警戒レベル4を発して以来、私の一日はほぼ毎日、政府が必要な対策を決めるよう各大臣に指示することから始まる」などの文章とともに、執務室とみられる部屋で仕事をしている写真を投稿。その右側に、ニュージーランド傘福がはっきりと写っていた。レベル4は最高レベルの警報で、全国で先月26日から4週間、スーパーや薬局などの他は閉鎖の「ロックダウン」状態になっている。
市ホストタウン推進協事務局の市交流観光課の庄司菜美子主事は写真について、「傘福を見て、気持ちがつながっていると感じた。世界で猛威を振るうウイルス感染が早く終息し、再び平穏に交流できる日が来てほしい。それまでお互いにこの苦難を乗り越えなければとの思いを強くした」と話した。
2020年(令和2年) 4月8日(水)付紙面より
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庄内町の縫製会社エフワン(伊藤秀徳社長)は7日、同町内の小中学校児童生徒全員分の布製マスク1469枚を寄贈した。
寄贈したのは同社が製造したオーガニックコットン生地のマスク。この日、余目三小(松田透校長、児童214人)で、段ボール箱7個を松田校長が町内の小中学校を代表して受け取った。
松田校長は「全国的なマスク不足の中、学校の再開に悩んでいたので非常に助かる。学校を再開する際には、児童生徒には密接を避けるために距離を取って人と接してもらう他に、マスクも着用できるのはありがたい。地域の子どもを育てる気持ちがうれしい」とお礼を述べ、伊藤社長は「木綿生地なので洗って何回か使用できる。マスクを作るのは初めてだが全社員で心を込めて作った。一日でも早くマスクの要らない日が来ることを願う」と話した。
同社は今回のマスク製造のために試作品を15回も制作したという。通常の製品の縫製をしながらマスクを作るために土日も休みなしで、企画から寄贈まで3週間で仕上げた。児童生徒が笑顔で安全に登校してほしいという思いを込め、小学生用には黄色の小さいマスク、中学生にはボーダー柄のマスクを贈った。
8日の校長会で各校に配られる。今回の寄贈は伊藤社長が原田眞樹町長へ直接持ち掛けたという。