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2021年(令和3年) 6月4日(金)付紙面より

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《ひと》“伝統と香り”継承し100周年へ

白甕社委員長 齋藤 拓(さいとう たく)さん

 庄内地域をベースに活動し、1924(大正13)年に創立された美術団体「白甕(はくおう)社」の代表となる16代目の委員長に4月、就任した。「3年後には100周年を迎える。諸先輩が築いてきた白甕社の伝統と香りを継承しつつ、若手の会員も増やし、会員相互の交流をもっと深め温かみのある団体にしていきたい」と、2024年の創立100周年に向けた思いを語る。

 日本画を描いていた父親から連れられ、小学生の頃から庄内各地に写生に出掛けるうち、絵を描くことが好きになった。小中学校ではサッカーに熱中。鶴岡市の西郷中3年の時は県大会で優勝し、東北大会にも出場した。高校では美術部に入ることを決め、父親から「いい先生がいるから」と教えられていた白幡進さん(故人、元白甕社委員長)が美術教師を務める鶴岡南高に入学した。

 「美術室で絵を描いていると、隣の部屋からいつも白幡先生の口笛が聞こえていた。先生の周りだけが時間の流れが違うようで、芸術というものをより身近に感じさせてくれた。憧れの先生でした」。恩師の影響を受け、美術教師への道に進んだ。

 高校の美術教師として生徒たちには「手を動かしながら考え、現れてきたものからいろんな刺激を受けて、また考えて手を動かす」ことを伝えている。人物のクロッキーでは、単なる描写ではなく人間が持つ生命感を表現するよう指導している。

 104人の会員のトップに立つ委員長就任を打診され、「悩んだけれどもやるしかない」と決断。最大の事業でもある8月31日―9月12日の公募展「創立97周年白甕社美術展」に向け、「2年ぶりの開催。会員も見に来てくださる方々も楽しみに待ってくれているのでは。皆さんから喜んでいただける展覧会にしたい」と話した。

 武蔵野美術大卒。油彩の人物画を主に手掛ける。現在は酒田光陵高の美術教師。父親は元鶴岡市議の齋藤助夫さん。高校美術部の後輩だった妻も美術教師を務める。6人家族。鶴岡市下川。54歳。

画像(JPEG)



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