2021年(令和3年) 11月17日(水)付紙面より
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「読書のまち 鶴岡」をすすめる会(黒羽根洋司代表)が主催する第5回古典の日の集いが14日、鶴岡市立図書館で開かれ、約60人が参加。元県立高校長で全国漢文教育学会北海道東北地区評議員の菅原直香(ただか)さんが「日本の文学に息づく中国の古典」と題して講演した。
広く国民が古典についての関心と理解を深める日として、2012年に国が11月1日を「古典の日」と制定し、この日を中心に国や地方公共団体では、制定の趣旨にふさわしい行事を行っている。鶴岡市では同会が17年に第1回の集いを開催した。
菅原さんは、日本の古典やことわざ、慣用句は中国の古典に多大な影響を受けていることを手作りの資料を示して解説。聖徳太子の「十七条憲法」の有名な一節、「和を以て貴しと為す」は、紀元前の『論語』や『礼記』に出ていることや、「令和」の出典と言われ、『万葉集』に書かれた大伴旅人の「梅花歌序」(730年)は、王羲之の『蘭亭集序』(353年)や張衡の『帰田賦』(78―139年)にも同じような表記があることなどを紹介。
また、古典に関連して、「則天武后は悪女ではない」(国家をつくるのに周を手本にしたり、則天文字と呼ばれる漢字を作った)とか、「王昭君は悲劇の女性ではない」(匈奴王に自ら手を挙げて嫁ぎ、国際貢献した)などの雑学も盛り込みながら持論を展開。話題が豊富過ぎて、用意した資料の半分ほどで時間切れ。参加者から「古典の授業がこんなに面白いとは。先生の話をもっと聴きたい」などの声も出された。
講演の前には、鶴岡市の三瀬保育園年長児14人が毎月1回、致道館で行っている論語の素読の練習風景を披露。同館統括文化財保護指導員の富樫恒文さんの指導で、元気な声で論語を諳(そら)んじ、大きな拍手を浴びていた。