2021年(令和3年) 3月12日(金)付紙面より
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庄内交通(鶴岡市、村紀明社長)と山交バス(山形市、伊藤一郎社長)、東日本旅客鉄道(JR東日本、東京都、深澤祐二社長)は9日、来年春をめどにJR東日本の交通系ICカード「Suica(スイカ)」を県内全域で導入することで合意したと発表した。全県で複数の民間バス事業者が一斉に交通系ICカードを導入するのは全国初という。
Suicaと地域交通ICカード機能を1枚のカードにまとめる「地域連携ICカード」の一種。導入によって、庄内交通や山交バスが運行する乗合バス全路線の乗車券や定期券、各種割引など地域独自のサービスでSuicaが使えるほか、SuicaやPASMOなど相互利用している全国の交通系ICカード10種のエリアで乗車券や電子マネーのサービスが利用できる。
ハード整備では、庄内交通が約50台、山交バスが約200台の路線バスにICカード読み取り機能の付いた運賃箱を設置する。また、カードにチャージ(入金)する端末を、庄内交通は鶴岡、酒田の各バスターミナルなどに設置する。事業費は約8億円で、うち約3分の2の約5億7000万円が県の「交通系ICカード導入支援事業」、残りの約3分の1が国の「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業」と、ほぼ全額を補助金で賄う。
利用できる乗車サービスは両バス会社の乗合バスのほか、山形市のコミュニティバス「ベニちゃんバス」の東部、西部各循環線や、仙台間との高速バスも検討中。県内の市町村営バスも必要な維持経費を負担すれば対応できるという。
この導入によって、細かな現金の両替が不要になりバス利用者の利便性が向上するほか、相互利用している全国の交通系ICカードが使えるようになるため、県外の観光客らの利便性も図られる。キャッシュレスになるため、新型コロナウイルスなど感染症の防止対策としても有効という。
また、乗降データを分析して適切な運行経路やダイヤを見直し、バスネットワークの持続性確保や利用促進にもつなげていく狙いだ。
2021年(令和3年) 3月12日(金)付紙面より
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東日本大震災の発生から10年を迎えた11日、庄内地域3警察署でそれぞれ災害警備訓練が行われ、若手署員を中心に技術の習熟に励んだ。
震災後に採用された警察官が増えているという現状を踏まえた訓練。震災時に警備や救助任務を経験した警察官から知識・技術を伝えるとともに、激甚化する災害の発生に備える狙い。
酒田警察署(大場昌治署長)では、「庄内沖を震源とする震度6強の地震が発生。津波が発生し、沿岸部で浸水、停電した」という想定で午前9時に開始。▽信号機復旧に向けた発動発電機の作動手順確認▽交通整理のための手信号▽ゴムボート組み立て▽装備資機材を使用した倒壊家屋からの救出―など本番さながらの訓練を実施した。
このうち倒壊家屋からの救出訓練では、生存者を確認した後、チェーンソーを使って周囲の障害物を撤去、すばやく担架を差し込んで助け出していた。
震災後に採用された同署生活安全課の本多弘樹巡査長(27)は「宮城県出身で10年前、警察官に助けられた。助ける側として想定訓練に参加し、事前の準備が大切だとあらためて思った」と話した。
一方、鶴岡警察署(佐藤景三署長)では、若手を中心とした署員約30人が訓練に参加。停電で信号機が滅灯したことを想定し、発動発電機を使用した信号機の復旧などを訓練。家屋の倒壊、倒木で寸断された道路の復旧を想定したチェーンソーの使用訓練では、指導者が「ただやみくもに切るのではなく、叩(たた)いて厚みを確認し、横向き、下から上向きに切るなどアプローチを変えることも大事」などとアドバイスしていた。
同署地域課の佐藤風太巡査長(26)は「震災当時、山形市内のコンビニで地震に遭った。陳列する商品が落ち、信号機も滅灯。停電でテレビも付かず、全体の状況がつかめなかった。災害はいつ起きるか分からない。災害が起きた時、警察官が何もできないということにならないよう、日ごろから手順を確認しておくことが大事だと思う」と話していた。