2021年(令和3年) 3月7日(日)付紙面より
ツイート
新型コロナウイルスワクチンの医療従事者を対象とした優先接種が5日午後、県内でも始まった。山形市立病院済生館とともに、同日にスタートした酒田市の日本海総合病院(島貫隆夫院長)では、前日午前に届き薬剤部が温度管理を徹底し保管してきた米国・ファイザー社製ワクチンの接種を、同病院を運営する県・酒田市病院機構の栗谷義樹理事長、島貫院長ら30人が受けた。
同病院は、医師や看護師、職員の他、事務・清掃などの委託業者のうち希望する約1600人が対象。5日は2階第二講堂内に2カ所の接種レーンを設け、午後2時にスタート。「治療や投薬を受けているか」「重いアレルギー症状になったことはあるか」などを問う予診票を記入し検温した上で、問診担当の医師と面談。終えた人が医師・看護師からワクチン接種を受けた。
熱が出るなどの副反応の有無を確認するため、15分ほど講堂内の椅子に座って待機。先頭を切って接種を受けた栗谷理事長は「いつから接種が始まるのか心配だったが、思っていたより早くスタートできた」と話し、「医療従事者に続き高齢者への接種も始まる。情報が錯綜(さくそう)しているが、医師会と連携し、しっかりした体制を構築したい。変異型もみられ、今後はワクチンの国内製造が必要になってくるのでは」と。約15分後、「大丈夫です。皆さんからも安心して受けてもらいたい」と述べて執務に戻った。
同病院経営企画課によると、今月第3週までに1回目を終え、約3週間後の同26日以降、2回目の接種が行われる予定という。
◇ ◇
新型コロナワクチンの本県への入荷は、3月1週と2週にそれぞれ5箱計10箱(計9750回接種分)が予定されている。医療従事者への優先接種は両病院の他、山形大医学部付属病院(山形市)、県立中央病院(同)、置賜総合病院(川西町)でも行われる。
2021年(令和3年) 3月7日(日)付紙面より
ツイート
鶴岡商工会議所(加藤捷男会頭)の「鶴岡ものづくり企業懇談会」が5日、鶴岡市の東京第一ホテル鶴岡で開かれ、今月末で退任する鶴岡工業高等専門学校の高橋幸司校長の講演と、地元企業関係者を交えたパネルディスカッションを通じ、「鶴岡高専が担う鶴岡の未来」を考えた。
地元のものづくり企業の情報交換や交流を狙いに毎年、会員企業を対象に開催。本年度は、2016年4月から5年間にわたり務め、地元企業の活性化にも尽力した高橋校長への感謝を込め、鶴岡高専にスポットを当てた。会場で約60人、ウェブで約10人の計約70人が参加した。
初めに講演した高橋校長は鶴岡高専と地元企業との関わりについて、学生たちが地元企業で賃金をもらって就業体験する「CO―OP教育」、地元企業からテーマを募集する卒業研究など多彩な連携事業を紹介した。
今後の地域企業に求められることについては▽コアコンピタンス▽マーケティング▽現地現物主義―の3点を指摘。「コアコンピタンスは自社の強みを掘り下げること」と、精密加工技術を生かして木製のブロック玩具を開発した事例などを紹介。より多くの卒業生を地元に残すための方策として、「高専応援団」として高専卒業生の初任給を大卒と同等にするよう働き掛け、県内では既に11社が導入した実績にも触れた。
地元企業が生き残るための鍵については「ものづくりだけでなく、経営が重要になる。特にコアコンピタンスが大切。思い込みをやめ、どこに自社の強みがあるか見つめ直して」と呼び掛けた。
続くパネルディスカッションでは、高橋校長と高砂製作所の阿部信弘生産主幹、東北ハムの帯谷伸一社長、渡会電気土木の武田啓之社長のパネリスト4人が、鶴岡高専の神田和也副校長の司会で「産学連携が叶える、鶴岡の未来とは」をテーマに語り合った。「地元企業は売り方が下手なので、改善が課題」「高専と共同研究をしたい」「異業種が交流して課題提起する場を、高専が核になってつくって」など高専への期待を含め活発に意見が交わされた。