2022年(令和4年) 1月8日(土)付紙面より
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第38回全国小・中学生作品コンクールの社会科部門で、鶴岡市立朝暘第三小学校4年の上野龍明君(9)の自由研究「大江町に住んでみました」が、最高賞の文部科学大臣賞に選ばれた。
同コンクールは、子どもたちが学校での学習をもとに研究した成果を国語、社会科、理科、生活科などの6部門で審査するもの。昨年11月に表彰された。
上野君の研究テーマは、子どもでも楽しめる大江町の観光ツアー。学年全体で35市町村を自由に選び、まちの魅力について調べる学校の総合学習で、他の児童が選ばなかった大江町を選んだことがきっかけ。調べていくうちに同町に関心を持ち、自由研究を思い立った。
初めは、インターネットで大江町について事前調査。同町の観光協会からパンフレットを取り寄せたり、同町の左沢小の児童たちにアンケートを依頼し、子どもに人気の観光スポットなどを調べた。その後、夏休みに両親と3人で大江町に4日間滞在。旧七軒西小の校舎を活用した宿泊施設「やまさぁーべ」での自然体験や、テレビドラマ「おしん」の筏(いかだ)下りシーンで木材を提供した製材会社へのインタビュー、左沢小教諭との交流など、多くの活動を通してまちの魅力に触れた。
上野君は地元住民の温かさが一番印象に残ったという。「急なお願いにも快く協力してもらい、どこに行っても『来てくれてありがとう』と親切に声を掛けてくれた。この温かさを感じながら歴史や自然に触れられるツアーをつくりたいと思った」と話す。
さまざまな取材の後、研究テーマでもある趣のある左沢の商店街巡りを中心にした日帰りツアーを計画、三小の友人3人とその家族らを大江町に案内し、町民の温かさを肌で感じてもらった。
それらの取り組みの様子を写真付き冊子(A3判58ページ)にまとめ、日帰りツアーの行程を記したオリジナルのリーフレットも作成した。受賞後の12月27日には大江町を表敬訪問し、松田清隆町長や犬飼藤男教育長などに受賞を報告。松田町長から「この町について調べてくれてありがとう。今後の観光政策の参考にしていきたい」と感謝の言葉を掛けられたという。
上野君は今回の研究について「左沢小の児童からおしんのロケ地の名前が出てこなくて驚いた。地域に対する考え方が地元の人とギャップがあっておもしろいと感じた」と振り返り、受賞については「大江町の皆さんはとても穏やかで優しく、常に感謝の気持ちを持って接してくれる。今回の受賞で恩返しができてうれしい」と喜びを語った。
上野君の作品原本は、やまさぁーべで1月中旬から4月ごろまで展示。同町中央公民館「ぷくらす」では複写を全ページ展示している。