2022年(令和4年) 1月15日(土)付紙面より
ツイート
鶴岡市にある東北公益文科大大学院(武田真理子公益学研究科長)は13日、2022年度のカリキュラム改革を発表した。「学」(理論)と「社会」(実践)のつながりを強め、変化が激しい時代に創造的に課題解決を図ることを見据え、新たにゼミ(演習)を複数履修できるようにするほか、地域の企業と連携し地域課題解決や経営を実践的に学ぶ授業などを導入する。
大学院は公益大開学(2001年)の4年後の05年、世界で唯一の公益学の教育・研究拠点として修士、07年に博士の各課程を開設。20年度末時点で公益学修士157人、公益学博士3人を輩出している。
社会人のスキルアップや学び直しを奨励し、授業は平日夜間と土曜を中心に開講。17―21年度の入学者は、自治体職員32%、会社員・自営業・団体職員16%、教育機関職員11%などと社会人が多い。18年度には国内初の「スクール(学校)ソーシャルワーク教育課程」を開設し、特に教員が増えている。修了生からは「物事を論理的に考えるスキルが身に付いた」「希望の部署に異動できた」など高評価を得ている一方、在籍者は、開設当初は定員(修士30人)を上回ったが、本年度は両課程を合わせ13人と伸び悩んでいる。
カリキュラム改革はこうした現状を受け、昨年2月に作業に着手。教職員や修了生、地元の企業関係者らへのアンケートなどで課題を抽出し、改革の柱には1教員の研究の深化と専門分野の可視化・発信2学際教育の推進3地域連携・社会連携の推進―の3つを設定。改革は大学の第3次中期計画に合わせ、22―25年度に実践していく。
22年度からは、修士課程の4つの研究領域を、現行の「公共経営」「国際ビジネス」「情報科学」「地域共創・ソーシャルワーク」から、「組織経営」「国際関係」「情報科学」「地域共創」に名称変更。可視化の一環で、これまでいなかった各領域の主任担当教員を1、2人ずつ配置する。開設講座を精査して絞り込む一方、学際的な学び・研究の推進に向け、修士1年次から受講するゼミは2人以上の教員を選択できるなど、分野横断的に学べる環境を整備した。
地域との連携では22年度、庄内の企業経営者を講師に招き地域課題と企業経営について学ぶ「特別セミナーa」、昨年12月に大学とITリテラシー向上などに関する連携協定を結んだ「プロトソリューション」(仙台市)と連携して地域課題解決を図る「プロジェクトa」など、より実践的な講座を新設する。
13日に大学院ホールで改革について記者発表した武田研究科長は「学校で学んだ知識が10年後は通用しない、変化の激しい時代。物事を論理的、科学的に考え、多様な人と連携し、創造的に課題解決を図る人材を育てたい」と改革に込めた思いを語った。
試験への日程
大学院の願書締め切りは2月4日(金)、試験(小論文、面接など)は同27日(日)、合格発表は3月11日(金)。今月18日(火)には他の大学院在籍者・修了生向け、同25日(火)には学外者向けの説明会をオンラインで行う。時間はともに午後7時から。問い合わせは大学院=電0235(29)0555=へ。