2022年(令和4年) 2月19日(土)付紙面より
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原油価格の高騰を受け全国でガソリンの値上げが続いている。庄内各地のガソリンスタンドでも、先月に比べて6円ほど値上がりし、レギュラーガソリンが1リットル175円前後で推移している。経済産業省資源エネルギー庁の調査によると、都道府県別平均価格の公表が始まった2004年6月以降、県内平均最高値の181・5円(08年7月)に迫る勢いで、約13年ぶりの高値水準となっている。県平均の灯油小売価格も昨年2月中旬の18リットル1460円前後が、今月中旬は1900円を超えて上昇。消費者や事業者からは「ガソリンを筆頭に世の中のいろいろなものが値上げになっている。この先どうなってしまうのか」と悲痛な声が上がっている。
原油価格の高騰は、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って原油の需要が大きく変化し、産油国からの供給が不安定なことに加え、ロシアとウクライナの対立問題などが大きな要因として挙げられている。
同庁の給油所小売価格調査によると、県内のレギュラーガソリン平均価格は昨年6月ごろから上昇を続け、今月14日現在で1リットル当たり175・8円となった。1カ月前の1月11日と比べると3・2円の上昇。全国平均は171・4円で先月11日から4・9円値上がりした。国は先月24日、レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均価格が170円を超えたため、燃料油価格激変緩和措置として石油メーカーに対し1リットル最大5円の範囲で補助しているが、それ以上に原油価格が上がっているのが現状という。
酒田市のガソリンスタンド経営会社の幹部は「国による補助金で価格上昇が抑えられている状態。メーカーへの補助金であり、われわれに対するものではないが、それがなければ価格がもっと上がっている。今後も価格が上がる要因は数多くあるが、下がる要因はほとんどない」と苦しい胸の内を語った。
同市内のあるガソリンスタンドでは1月24日からレギュラーガソリン価格を1リットル当たり4円値上げし、177円で販売している。店長(49)は「お客さまからは灯油の値段についての問い合わせが多い。なるべく安く出したいが、店の頑張りだけではどうにもならない。ガソリンは給油回数を減らす人や、より安い価格を求めてセルフスタンドに流れてしまったお客さまもいる」と頭を悩ませている。同市内の別のスタンドに給油に訪れた女性(41)も「会社の車は付き合いもあるのでなかなか給油先を変えることはできないが、個人ではできるだけ安いセルフスタンドで給油するくらいしか取れる手段がない。コロナも値上げも勘弁してほしい」と嘆いた。
燃料価格高騰の影響が大きい運送業者(酒田市内)の幹部は「平時は軽油を1リットル100円程度で仕入れているが、今は150円程度まで値上がりしている。燃料価格は利幅にストレートに反映されてしまうので大変厳しい。エコドライブによる燃費の効率化に努めているが限界がある。正直企業努力だけではどうにもならない」と肩を落とした。
同市内の宅配業者の男性(49)は「個人宅への配達はコロナで多少増えているが、トータルで利益はそれほど出ていない。燃料価格が安くなれば違った感想になるのかもしれないが、コロナ収束後の世の中がどうなってくるのか予測がつかない。いろんな意味で心配が重なっている」と先行きを見通せない不安を訴えた。
2022年(令和4年) 2月19日(土)付紙面より
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鶴岡南高校(坂尾聡校長)の生徒たちが取り組む「鶴南ゼミ」の全体発表会が17日、鶴岡市の荘銀タクト鶴岡などで行われ、2年生が1年間の探究学習の成果を発表した。
鶴南ゼミは、生徒の主体性や課題解決力を養うことを目的に2010年から開講した探究型学習。文部科学省が指定する「SSH(スーパーサイエンスハイスクール)」の一環として行っている。
全15ゼミに所属する2年生193人は昨春から71グループに分かれ、生物、化学、社会問題、スポーツなどそれぞれ関心を持ったテーマを設定。他大学の教授と協力するなどして研究を進めてきた。この日午前、荘銀タクトでは7グループによるステージ発表が行われ、2年生と1年生201人の前で発表した。
このうち「最も美味しく感じるサツマイモ」をテーマに、適正温度の75度で加熱し続けたグループは「消化酵素のアミラーゼの働きだけではデンプンを分解しきれず、糊化も何らかの関係があるのでは。来年度以降もこの研究を引き継いで明らかにしてほしい」とまとめた。各グループが発表を終える度に会場の生徒たちからは次々と質問が飛び交い、互いに学び合う積極的な姿が見られた。
その後生徒たちは同校へ移動し、残り64グループがポスター発表を行った。
ステージ発表に合わせて1年生のディベート大会の決勝も行われ、2グループが「日本は裁判員制度を廃止すべきかどうか」のテーマで激しい討論を繰り広げた。