2022年(令和4年) 2月27日(日)付紙面より
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鶴岡市の庄内農業高校生徒が、庄内産の小麦栽培に取り組んでいる。温暖化による気候変動でアメリカやオーストラリアの産地で小麦栽培が不安定な年があり、自給率を少しでも高めようと山形大学農学部の協力を得、栽培研究を始めた。生徒は「地元産小麦で『庄農うどん』に続く『庄農ラーメン』を開発したい」と意気込みを見せている。
取り組んでいるのは、食料生産科3年の五十嵐潤さん、齋藤蓮さん、上野琉河さんの3人。「将来、ラーメン店を開店したい」という夢を持つ齋藤さんが「原材料を知ることが第一歩。栽培方法を覚えて土台にしたい」と小麦栽培に着目した。同時に循環型農業の確立を目指そうと五十嵐さんと上野さんも取り組みに加わった。
日本の小麦は約9割が海外から輸入。パンや麺、菓子の材料に使われている。近年は気候変動の影響を受けて収量が不安定となり、輸入価格が上昇。値上げに踏み切る店舗も少なくない。
栽培研究は昨年4月にスタート。鶴岡市羽黒町にある同校の玉川農場で昨年9月に品種の一つ「ゆきちから」を植えた。2週間後に発芽し10月には約5センチに成長。ひと冬を越して4月下旬ごろに開花、登熟期をへて6月の初収穫を予定している。
「秋まきの小麦栽培は雪に押しつぶされた方が元気に育つと聞いているので、今年はいい方に向かっているのかも」と齋藤さん。上野さんは「収穫まで経験したかったが、あとは2年生に頑張ってもらいたい。どんな品質の小麦と庄農ラーメンができるが楽しみ」と話す。
この春、農業関係に就職する五十嵐さんは「ごく当たり前に育ててきた農作物が気候変動の影響で今後、順調に生育するのかどうか不安定な要素を抱えている。継続できるSDGs、循環型農業を確立することが大切。社会人になってからもテーマになると思う」と強調する。
3人は、これまでの小麦栽培で得た経験をまとめ、今月19日に行われた「鶴岡ビジネスプランコンテスト」の最終審査でプレゼンテーションした。
飼料用のトウモロコシやジャガイモを栽培し、家畜に与えて育て、フンを堆肥にして再び農作物を生産するサイクルの重要性を説明。審査員から高い評価を得た。
庄農ラーメンは、食品科学科の生徒と共同で進める。早ければ年内にも試作品が出る予定。原料から調理までオリジナル性を高めることにしている。