2022年(令和4年) 3月20日(日)付紙面より
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少子化による児童数減少に伴い、今年4月から南平田小学校と統合する酒田市立田沢小学校(出嶋幸校長、児童20人)の卒業式が18日、同校体育館で開かれ、同校校舎から巣立つ最後の卒業生5人が力強く決意表明した。
同校は1874(明治7)年に開校した静沢小学校が前身。1947(昭和22)年に田沢村立田沢小学校となり、72(昭和47)年に山元小学校と統合し、現在の学校区となった。田沢地区の初等教育を担い、地域づくりの拠点としても広く活用された。確認できる昭和12年からの卒業生は今春の5人を含め1594人。
この日の卒業式には同校関係者ら約50人が出席。最後の卒業生となったのは石川拓冬君、岩間優心さん、加藤唯さん、工藤日菜子さん、久松紗彩さんの5人。教職員や保護者、1―5年生児童からの大きな拍手に迎えられながら、真新しい中学校の制服姿で卒業生5人が入場。児童全員で最後の校歌を響かせた後、出嶋校長が「5人は田沢小の最後の卒業生として下級生を支えてくれた。春からは東部中の生徒として新たなスタートを切る。活動の全てが思い通りになるわけではない。どのような壁に当たっても田沢小で培ったものを胸に頑張ってほしい」と式辞した。
その後、一人一人に卒業証書が手渡され、それぞれ「漁師になって世界中の人に新鮮な魚を届けたい」「漫画家になってたくさんの人に読んでもらいたい」「ウエディングプランナーになってお客さまを笑顔にしたい」などと将来の夢を発表した。
続いて、出嶋校長が矢口明子副市長に校旗を返納。静沢小以来147年の歴史に幕を下ろした。
在校生からのお別れのメッセージでは下級生15人が「運動会で下級生に優しく声をかけてくれた」「困っていることがあるといつも丁寧に教えてくれた」「優しく低学年の面倒をみてくれた」などとお礼を述べ、卒業生5人に花束を手渡した。5人は涙で声を詰まらせながらも「6年生になっての行事の全てに『田沢小最後の』という言葉が付いた。最後の6年生という言葉にプレッシャーを感じることもあったが、5人で支え合ってきた。中学校に行っても田沢小で学んだことを忘れず頑張っていく。今までありがとうございました」と決意表明。拍手に送られながら思い出あふれる学びやを後にした。石川拓冬君は「漁師が夢なので、中学校では数学や社会、英語を頑張りたい」と話した。
同校では昨年11月に閉校式が行われた。今春から卒業生は東部中学校へ、現在の1―5年生は南平田小学校へそれぞれ通学する。