2022年(令和4年) 3月22日(火)付紙面より
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厳冬期の山水にソバの実を晒(さら)して作った「寒晒し越沢三角そば」の提供が20日から、鶴岡市越沢のそば処まやのやかた(野尻善共館長)で始まった。
越沢三角そばは温海地域の越沢地区で伝承されている在来作物で、1300年ほど前に信州から伝わったとされる。ナッツのような風味と味の濃さが特長。一時は生産農家が3人、作付面積は0・9ヘクタールにまで減少したが、2017年の在来作物認定を機に生産組合を設立。現在、生産農家は13人、作付面積は10・2ヘクタールまで拡大した。
寒晒しは大寒から立春までの約2週間、ソバの実を摩耶山系の流水に2週間ほど浸し、その後1カ月ほど寒風に晒すもの。そばのアクや渋味が抜け、甘味と風味が増し、舌触りのいいそばに仕上がるという。
一般提供を前に19日、まやのやかたで関係者向けに試食会が行われ、市職員や同館を運営する越沢自治会の五十嵐昇会長など約20人が参加。野尻館長が生産組合の取り組みをスライドで紹介した。
その後、季節の天ぷらや笹巻きなどが付いた寒晒し天ぷらそば(税込み1500円)が参加者に振る舞われた。市国際交流員のアレクシス・クランプさん(27)は「風味が良くとてもおいしい」、鶴岡食文化創造都市推進協議会の俵谷敦子さん(55)は「藻塩をかけて食べると素材の味がより際立っていい」と話していた。