2022年(令和4年) 12月1日(木)付紙面より
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東北公益文科大学(酒田市、神田直弥学長)の阿部公一教授(社会保障論、公的年金論、年金教育)が担当する専門演習(ゼミ)を履修する3年生8人が、楽しみながら国民年金について理解を深めることができる「国民年金すごろく」を作成した。主として若年層の国民年金加入啓発に向けた取り組みの一環で、手掛けた学生たちは今後、高校生らを対象にすごろくを活用したワークショップ・授業などを開催する方針。
阿部教授の歴代ゼミ生たちは「国民年金加入行動啓発プロジェクト」と銘打ち、若年層、特に大学生の国民年金未加入・保険料未納問題を共通の社会問題と捉え、これまで学生の視点で加入・納付を呼び掛ける動画を多く発表、いずれも動画共有サイト「YouTube」で閲覧できるようにしている。
工藤歩夢ゼミ長(20)、堀光副ゼミ長(21)はじめ本年度のゼミ生たちは、学びの中で企業などに属している第2号被保険者は保険料が給料から天引きされるものの、保険料を自ら納付しなければいけない個人事業主ら第1号被保険者は滞納してしまうことが多く結果、給付率が低いことが社会問題化していることを知った。納付率向上に向けて今春以降、分かりやすく国民年金について理解を深めることができるすごろくの開発に取り掛かった。
このほど完成したすごろくは、「ユーチューバーを目指す18歳」を各プレーヤーがサイコロの出た目に従って進め、▽月6万4816円給付の65歳▽65歳と比べて約5万5000円多く給付を受ける75歳▽老後貧困―と3つある、いずれかのゴールを目指すもの。必ず通ることになる障害基礎年金や遺族基礎年金、老齢基礎年金、免除・猶予のマスにはQRコードを記載し、スマートフォンやタブレット端末で読み取ると、学生たちが新たに制作した解説動画につながる。
工藤ゼミ長、堀副ゼミ長は「3つの基礎年金を解説する動画の制作が大変だった」と話した上で、「楽しみながら、人生におけるさまざまなリスクに備えた国民年金の重要性と必要性を感じてもらえたら」とアピール。
指導した阿部教授は「人生のルートは人それぞれで、そこをどう工夫するか考えた結果、今回はユーチューバーという『個人事業主』に絞った。どう活用していくかが今後の課題。さまざまな場面で使えるよう考えを広げていきたい」と話した。
すごろくは今後、公益大ホームページから自由にダウンロードできるようにするという。