2022年(令和4年) 12月2日(金)付紙面より
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酒田市の東北公益文科大の公立化と機能強化に係る庄内地域2市3町と県の意見交換会が30日、三川町の県庄内総合支庁で行われ合意形成が図られた。実務担当者の域を超えた初の会合で、平山雅之副知事、皆川治鶴岡市長、丸山至酒田市長、阿部誠三川町長、富樫透庄内町長が出席。遊佐町の時田博機町長は公務出張で佐藤光弥総務課長が出席した。
初めに平山副知事が「公益大開学から22年目となり、経営努力で近年は定数を上回る志願者が集まっていると聞く。庄内地域の各方面から公益大公立化の要望を頂いており、県としてもより高いレベルでの協議で議論を進めようと、意見交換の場を設けた」とあいさつした。
意見交換会は非公開で行われ、終了後に平山副知事が報道陣の質問に答えた。各首長から出された意見について平山副知事は「『少子化の時代で、公立化しなければ学校経営自体が厳しい』といったものや、『機能強化を含めた大学の魅力づくりを合わせて考えるべき』などの意見があった。設置者たる2市3町それぞれの考えを聞けたのは意味があった」と述べた。
また、大学の機能強化や財政負担の割合、今後のスケジュールについては「具体的なものは決まっていないが、さまざまな課題をクリアするため適宜協議の場をつくることで各首長と合意した」と話した。意見交換会開催が遅れた経緯については「自分が(副知事に)着任してようやく1年ほど。具体的に動き出したのは今春からで、実務担当者間での協議や各調査、日程調整に時間がかかった」とした。
県は公立化を果たした全国10大学について、志願倍率や各大学設置地域における地元入学率、地元就職率の各推移データを各首長に提示。公立化の効果として志願倍率が上昇した一方、全国から志願者が集まるため地元からの入学者率、地元就職率はともに低下する傾向にあることを情報として共有した。
県は本年度、公益大の公立化に関し実務担当者間での意見交換を複数回開催。また、県議会2月定例会で吉村美栄子知事が「2022年度は実務担当者よりも高いレベルでの議論を含め、公立化と機能強化に係る方向性を取りまとめる」と答弁した。
さらに庄内開発協議会が5月に行った県への要望活動に対して吉村知事は「私大が公立大になることは、単に看板の掛け替えでは済まない。全く別物になるのでしっかり議論しながら取り組みたい」と方針を示している。