2022年(令和4年) 12月18日(日)付紙面より
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農林水産省「輸出物流構築緊急対策事業」を活用し現在、酒田市の酒田港を拠点として庄内地域の日本酒や農産物をシンガポールに低コストで定期輸出するモデル実証が展開されている。デジタル総合商社「LCCトレーディング」(沖縄県、東範男社長)が、主に同地域の酒蔵、物流事業者など計10社と共に繰り広げているもので、モデル実証終了後の来年3月には産学官連携による協議会を立ち上げ、多品種少量の継続的輸出取引を可能にしていく方針。
今回のモデル実証は、海外で需要が高まっている日本酒を中心に輸出拡大を図るため、経済的・安定的な輸出物流ネットワークを構築することが目的。東社長によると、韓国・釜山港との定期航路がある上、日本酒・農産物とも質が高いことから酒田港を実証地にしたという。「秋田だと北すぎ、新潟だと東京に近すぎる。そう考えると酒田が最適」(東社長)。生産者として庄内地域の酒蔵や農業生産法人など8社、物流業として酒田海陸運送(酒田市船場町二丁目、平岡清康社長)など2社が参画している。
▽最適輸送ルート▽戦略的サプライチェーン▽低コスト輸出物流―の構築に向けてモデル実証は今年10月にスタート。冷蔵タイプの20フィートコンテナ1個に720ミリリットル詰め日本酒2036本を積載し釜山経由でシンガポールに輸出。輸送費は1ケース(12本)当たり2935円で、従来の空輸と比較してコストは10分の1程度という。同国内の飲食店・小売店、EC(電子商取引)14社で今月上旬から販売が始まった。来年1、3月には日本酒と玄米を混載して輸出するという。
農水省から年内にも、農林水産物・食品の輸出促進に関する法律に基づき輸出事業計画の認定を受けることになっており来年4月以降、本格的に展開。同2月には在シンガポール日本大使館を会場に庄内の食文化を紹介するレセプションを開催する他、同3月に産学官連携の「シン北前航路輸出促進協議会(仮称)」を設立する予定。将来的には輸出拠点倉庫の設置も視野に入れている。
16日に酒田市の酒田まちなかホールで会見した東社長は「日本酒は現在、世界的に注目が高いが、説明が必要な商品。製法や酒蔵のヒストリーなども広く紹介したい」と話した。
2022年(令和4年) 12月18日(日)付紙面より
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鶴岡市本町二丁目の七日町観音堂で17日、師走恒例の「だるま市」が開かれた。午前中から多くの市民が訪れ「商売繁盛」や「合格」を願ってだるまを買い求めた。
だるま市は七日町観音堂の例祭。毎年12月17日の「観音様のお歳夜(としや)>」に合わせて行われている。その昔、観音堂近くにあった遊郭の女性が日々のつらさをだるまに託し、川に流したという言い伝えがある。いつの頃からか庶民の間で年末恒例の「だるま市」として定着した。例年、だるまの他に熊手や招き猫といった縁起物、食べると厄が払われるという鶴岡名物の縁起菓子「切り山椒」も売られる。
七日町観音堂には、子ども連れの家族など絶え間なく訪れ、本堂で手を合わせて参拝した後、だるまを買っていた。
だるまを売る店主は「一番小さいもので1000円。大きいものだと5万5000円だが、2、3000円の手頃なものがよく売れる。今年は天気が良いせいか、昨年より出足はいいね」と話していた。