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2023年(令和5年) 2月4日(土)付紙面より

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極限環境に耐える生物「クマムシ」 新たな遺伝子組み込み 細胞内のタンパク質光らせる 慶應先端研など研究グループ世界初成功

 鶴岡市の慶應義塾大先端生命科学研究所の荒川和晴教授や同研究所員で自然科学研究機構生命創成探究センターの田中冴特任助教らの研究グループは31日、極限環境に耐える生物として知られる「クマムシ」に緑色蛍光タンパク質(GFP)などの新たな遺伝子を組み込むことで、細胞内のタンパク質を光らせることに世界で初めて成功したと発表した。無水状態で生き延びる特殊な能力「乾眠(かんみん)」のメカニズムの解明とともに、生体や食品の完全な乾燥保存方法の開発につながることが期待される。

 クマムシは周辺環境が乾燥すると自ら脱水して代謝も止める乾眠状態になる。この状態では極度の低温や宇宙空間でも生き延びることができ、水分を得ると再び動き出す。これまでにクマムシのゲノム解析や固有のタンパク質の解析が行われてきたものの、具体的なメカニズムは明らかになっていなかった。

 研究グループはクマムシに由来する遺伝子情報に、GFPなどを作り出す遺伝子を新たに開発して組み込むことに成功した。「光るクマムシ」によって、体内のタンパク質の動きをリアルタイムで観察することを可能にした。さらに外来遺伝子を組み込むことに成功した研究成果に基づき、細胞内環境をモニタリングできるタンパク質を発現させることも可能という。

 研究グループは「これまで世界で誰も見たことのない、クマムシの脱水・給水のダイナミックな変化を追いかけることも可能になった。細胞内や体全体で起きている乾眠の過程を観察することで、脱水に伴って生命活動を一時停止させるメカニズムを明らかにしていきたい」としている。研究成果は米国科学アカデミー紀要の国際科学雑誌に掲載された。

新たに開発した遺伝子発現システムで作出に成功した「光るクマムシ」の顕微鏡画像(田中冴特任助教提供)
新たに開発した遺伝子発現システムで作出に成功した「光るクマムシ」の顕微鏡画像(田中冴特任助教提供)



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