2023年(令和5年) 2月24日(金)付紙面より
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イタリア、ウクライナ、ドイツの3カ国から学生や教員を招聘(しょうへい)し、最先端の研究や日本の文化に触れてもらう「国際ウインタースクール」のガイダンスが22日、鶴岡市の山形大農学部で行われた。来月2日まで県内や東北各地を巡り、東日本大震災の遺構施設などを訪れる。
山形大農学部と協定校・ハノーヴァー大(ドイツ)間で実施する「ダブル・ディグリー・プログラム」のウインターセミナーと、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が実施する「さくらサイエンスプログラム」で招聘されたトリノ大(イタリア)、チェルニヒウ工科大(ウクライナ)を交えた4大学合同によるプログラム。コロナ禍のためオンラインでの実施が続き、対面による開催は3年ぶりという。
今回はハノーヴァー大から学生18人と教員2人、トリノ大から学生5人と教員1人、チェルニヒウ工科大から学生4人と教員1人がそれぞれ来日した。
この日、山形大農学部で行われたガイダンスには同学部の学生やトリノ、チェルニヒウ工科の2大学の学生などが出席。初めに村山秀樹学部長がウェルカムスピーチを行った。続いて同学部のラリー・ロペス教授がウインタースクールの概要と訪問先などを解説した。
続いて学生がそれぞれの所属する大学や地域特性、食文化などを紹介した。午後からはハノーヴァー大の学生たちも合流し、各大学の教員がそれぞれの研究内容を学生たちに説明した。
23日以降は山形大工学部との合同ミーティング(米沢市)や福島県浪江町の震災遺構訪問、宮城県の海岸林視察・調査、岩手大訪問などが行われ、最終日の3月2日は山形大農学部でセミナーが開かれる予定。
ウクライナから訪れたクリスティーナ・アクシュテンコさん(21)=チェルニヒウ工科大土木学部修士1年=は「日本の建築物、特に古い建物を見たい。多くの日本人と交流し、東日本大震災から復興した力や技術を母国に持ち帰りたい」、バレリア・アンドリーエンコさん(19)=同大経済学部4年=は「山や森林、町で出合う文化がとても楽しみ。戦争が終わった後、新しいウクライナの発展のため日本で学んだ技術を生かしたい」と話していた。
2023年(令和5年) 2月24日(金)付紙面より
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城下町・鶴岡に春の訪れを告げる「第29回鶴岡雛(ひな)物語」が23日、荘内神社宝物殿の公開を皮切りにスタートした。
市民に伝統の雛人形に親しんでもらおうと「鶴岡雛まつり実行委員会」が約1995年から毎年この時期に開いている。今回は荘内神社宝物殿、致道博物館御隠殿、龍の湯・蔵ギャラリー氷室、旧風間家住宅・丙申堂、湯田川温泉・旧白幡邸の5施設と湯野浜温泉街旅館などで繰り広げられる。
このうち荘内神社宝物殿では、江戸時代から昭和までの約100体の雛人形と数々の雛道具を展示している。段飾りの有職(ゆうそく)雛をはじめ、古今雛や享保雛、座り雛の始まりといわれる寛永雛などを説明付きで紹介。訪れた人たちは華やかな雛人形に顔を近づけ、衣装や表情の違いなどに見入っていた。
2023年(令和5年) 2月24日(金)付紙面より
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酒田市教育委員会科学賞の表彰式が21日、同市の東北公益文科大公益ホールで行われ、優れた理科研究に取り組んだ市内の小・中・高校生たちを表彰した。
旧市が1960年、理科振興を狙いに賞を創設。63回目となった本年度は小学生74点、中学生17点、高校生7点の計98点が寄せられ、審査委員会(土門尚三委員長、10人)が審査。最高賞の科学賞1点をはじめ、奨励賞3点、努力賞13点の入賞作を選んだ。
この日は保護者らが見守る中、鈴木和仁教育長や教育委員が入賞者一人一人に表彰状と記念トロフィーを贈呈。引き続き、科学賞に選ばれた泉小6年の齋藤佳輝君(12)による「ぼくのかぶとむし日記(6年目)―幼虫は大きく育つ本能を持っているか」の記念発表と、探究学習で模範研究とされた、いずれも酒田東高2年の石井琢登さん(17)、佐藤先さん(17)、佐藤啓さん(17)が「廃菌床を用いた食用昆虫の育成」のテーマで登壇報告した。
齋藤君は前年までの成果を生かし「地中の温度や水分量は季節や深さで変化しているが、それに応じてカブトムシの幼虫はどのように移動するのか」など、本年度に取り組んだ実験・検証について発表。主催者あいさつで鈴木教育長は「知らないことを勉強するたびに疑問が増えていくことは素晴らしいこと。その気持ちを大切にしてほしい」と激励した。
科学賞以外の受賞者は次の通り。(敬称略)
▽奨励賞=佐藤壮(広野小4年)、加藤葵(泉小5年)、池田蒼空・池田澪央(鳥海八幡中1年)
▽努力賞=池田耀一(鳥海小1年)、後藤彩李(南平田小1年)、加藤涼汰(宮野浦小2年)、澁谷ひかり(平田小3年)、池田紗絵(亀ケ崎小3年)、信夫遥一郎(八幡小3年)、佐藤果林(松陵小3年)、齋藤希羽(松山小4年)、後藤志織(同5年)、佐藤結(南平田小6年)、村上大晟(泉小6年)、伊藤純也(酒田二中2年)、伊藤颯希・佐藤朱莉・長谷川奈桜(酒田東高2年)
2023年(令和5年) 2月24日(金)付紙面より
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三川町の東郷小学校(海藤陽子校長)の5年生19人が22日、学校実習田を活用し自分たちで育てた米「ひとめぼれ」を酒田市の庄内空港で配布し、そのおいしさを広くアピール。空港内には受け取った利用客の笑顔があふれた。
同校では毎年、地元農家や庄内赤川土地改良区(鶴岡市)の協力で、5年生が総合学習で稲作体験、地域の基幹産業について学びを深めている。本年度は春先の田植え、昨年9月中旬の稲刈りに携わったほか、観察活動を随時展開、同10月の発表会では米に関する創作劇を上演した。
5年担任の海野渚紗教諭によると、学びの中で▽食文化の変化▽農家の後継者不足▽米消費量の減少―など稲作を取り巻く環境が厳しさを増していることを知ったという。「自分たちにできることを」と考え、多くの人からそのおいしさに気付いてもらうため、まずは食べてもらおうと、配布を企画。全日本空輸(ANA)、庄内空港ビルの協力を受け今回、全国各地から人が集まる空港内で実施することにした。
この日は羽田発庄内行きANA395便(午後0時5分着)の到着を前に、児童たちが到着ロビーに集合して配布の準備。米2合とともに、自ら考案した「推しレシピ」が入った袋を140袋用意した。利用客がゲートから出てくると、「おいしい米です」「どうぞ味わってください」と積極的にアピール。受け取った人たちは「ありがとうございます」と笑顔で応じていた。
参加児童の一人、芳賀絢香さん(10)は「推しレシピは『納豆チーズかけごはん』。自分で食べたらおいしかった。学習を通して農家さんの大変さが分かった。世界中に庄内米のおいしさを伝えたい」と話した。「推しレシピ」には受け取った人の出身地、味わいなどを問うアンケートにリンクするQRコードが書いてあり後日、集計し今後の学習に生かすという。