2023年(令和5年) 3月31日(金)付紙面より
ツイート
鶴岡市のバイオベンチャー・スパイバー(関山和秀代表執行役)とスポーツ用品大手ゴールドウイン(東京)は24日、スパイバーが開発した構造タンパク質素材「ブリュード・プロテイン」を使った15アイテムを、ゴールドウインが展開する5つのブランドから今秋に販売開始すると発表した。これまでは抽選による限定販売だったが、スパイバーによる素材の量産化が実現し、規模拡大による海外を含むグローバル販売が初めて可能となった。9月には東京・丸の内にブリュード・プロテイン繊維を使用した全製品を販売する店舗をオープンする。
ゴールドウインが展開するのは、ザ・ノース・フェイスの「ヌプシジャケット」、ナナミカの「バルマカーンコート」、ウールリッチの「アークティックパーカー」など、それぞれのブランドの定番アイテムで、各ブランドを代表する商品デザインを生かしながら、表地にブリュード・プロテインを60%使用するなどして数千着を生産。価格は従来品の2倍程度を見込む。
同社は2030年までに新規開発製品の10%を同素材に置き換える目標を掲げ、新たな価値と可能性の創造を目指すとしている。渡辺貴生社長は「ブリュード・プロテインを一般に向けて発売できることは、循環型社会を実現する上で大きな意味がある」と話した。
スパイバーはタイの大規模工場が昨年に本格稼働し、アパレル製品向けなどの素材の量産化が可能になった。循環型社会の実現をキーワードに、「世界は石油化学からバイオのものづくりへと加速していく。さまざまな産業で使われている素材を、人類の持続可能な素材へと置き換える」と話していた関山代表執行役。「これからは量販店でもブリュード・プロテインの製品を買える時代が来ると思う」と語った。