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2023年(令和5年) 4月1日(土)付紙面より

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新年度の始まりに思い巡る事

 新年度が始まった。1年の始まりと異なり、官公庁では「新会計年度」、教育機関では「学校年度」とも呼ぶ。もうじき新学期も始まり、真新しいランドセルを背負った新1年生の姿を見掛けるようになる。今年は入学式とサクラの満開時期も重なりそうだ。

 新年度は官公庁、民間会社、学校でも人々の緊張と不安と希望が入り交じった生活が始まる。心弾む季節であるのに、一方で就職や進学で地元を離れ、首都圏など県外で新生活を踏み出す人もおり、人口流出を考えると気持ちは複雑になる。鶴岡市や酒田市は若者が地元に定着できるような事業を、新年度予算に盛り込んでいる。取り組みが実ることを願いたい。

 全国レベルの話になる。文化庁の全職員の7割に当たる約390人が京都府に移転して業務を始めた。中央省庁の地方への「全面移転」は全国初。東京一極集中の是正に向けた「地方創生」のモデルケースとなるとされるが、東京一極集中を是正するためには、これだけの移転では十分でないのは言うまでもない。

 かつて、国会を含む首都機能移転がしきりに議論されたことがある。移転先として全国10地域が候補地になり、その中から「栃木・福島地域」と「岐阜・愛知地域」が選定された。1東京との距離がそれほど遠くない2陸・海・空での国際的な将来性を持つ3自然災害が少ない―などが選定の理由だった。しかし計画は約30年を経ても進むことなく、ようやく文化庁が移転した。地方都市の間では省庁の全機能でなくても、一部でも移転してくれば地域の活力につながるとの期待感もあったが、官僚の抵抗も根強いとされ、実現していない。

 「道州制」も議論された。煮詰まったものではないが全国を10ブロックほどに再編(区分け)し、外交や防衛などを除く国の事務を道州に移し、その下に設ける新しい行政単位(自治体)にも権限を持たせる―などの構想だった。こちらもいつの間にか立ち消えになった感がある。これでは中央と地方の格差は埋まりようがない。

 国の新年度予算が成立した。114兆円余は過去最大。しかし歳入に占める新規国債発行の割合は約31%に当たる約35・6兆円という借金頼み。「次元の異なる少子化対策」を掲げ、難局を乗り切る予算とは言え、現在少子化政策の対象となる子どもたちに、将来大きな付け回しを残すことになる。必要な政策だとしても、手放しで喜べないという、疑問を感じないわけにいかない。

 こども家庭庁が創設され始動した。子どもの視点に立った政策に的を絞る。子育て政策と向き合う政府の本気度を示すものであろう。庄内5市町の予算案を見ても「若者・子育て世代支援」などの政策が目に付く。国も地方も子育て支援政策が、着実な成果につながることを期待したい。

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