2023年(令和5年) 8月26日(土)付紙面より
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各種建設工事で活用する3Dプリンターの実践見学会が24日、酒田市の国道7号広野駐車帯付近で行われ、東京のベンチャー企業・ポリウス(大岡航、岩本卓也共同代表)が開発、運用している最先端技術を用いた防雪柵基礎の造形に見学者たちが見入った=写真。
同所で現在、国土交通省酒田河川国道事務所が発注し、総合建設業・丸高(同市下安町、高橋剛社長)が受注した同国道拡幅工事に伴う防雪柵設置工事が進められている。深刻化する人手不足などに対応するため丸高は今回、2019年6月から建設用3Dプリンターを運用しているポリウスの最先端技術を取り入れた。
ポリウスの建設用3Dプリンターは、パソコン上で構築した設計データを基に、稼動するアーム状の先端から自社製セメント系材料を高さ約1センチ、幅約3センチで練り出し、それを積み重ね成形していくもの。使用後には廃棄される木製型枠が必要がない上、強度にも問題がなく、工期も大幅に短縮されるという。
大岡代表によると、ポリウスは建設用3Dプリンター分野で約9割のシェアを持ち、昨年度は35件ほど、本年度は既に約70件を全国各地で手掛けたという。この日は同事務所や企業関係者ら約100人余が見学に訪れた。中央に埋め込まれたH形鋼を囲むよう、設計データに基づきアームの先端から練り出された材料が積み重なっていき、1時間余の稼動で縦、横、高さとも70センチの基礎型枠部1基が完成。見学者は完成物に触れて強度、成形具合を確認していた。
大岡代表は「従来に比べ少人化、省力化、工期短縮が図られるだけでなく、木製型枠の製造、必要資材の発注といった下準備作業が大幅に軽減されるのもメリットと思う」と話した。