2023年(令和5年) 9月3日(日)付紙面より
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じもとホールディングス(HD、仙台市)と傘下のきらやか銀行(山形市)は1日、金融機能強化法に基づき180億円の公的資金の注入を受けることが決まったと発表した。新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業の支援を目的とした特例制度を活用する。また、じもとHDは同日、資本業務提携を結ぶSBIグループからも19億6000万円の追加出資を受ける方針を明らかにした。
地銀への公的資金の注入は2014年の豊和銀行(大分県)以来。コロナ特例の適用は初のケースとなる。じもとHDは今月29日付で国を引受先とする優先株を発行する。返済期限は25年後の2048年とした。調達資金はきらやか銀行への出資金に充て、コロナ禍で疲弊した地元企業への経営支援を強化する。
SBIグループは、12月にじもとHDが実施する第三者割当増資を引き受ける。これにより同グループの議決権割合は17%台から34%台に高まる。公的資金注入と同グループの追加出資と合わせた資本増強により、24年3月期の自己資本比率は、じもとHDが9・1%程度、きらやか銀行は10・7%程度となる見込み。
じもとHDときらやか銀行は今年4月末、金融機能強化法に基づく公的資金の注入を9月をめどに申請すると表明していた。同行はリーマンショック後の09年に200億円、東日本大震災後の12年に100億円の公的資金注入を受けた。200億円分は来年9月に返済期限を迎える。
きらやか銀行の川越浩司頭取は1日夕、山形市の本店で開いた記者会見で「公的資金の注入は3回目で重く受け止めている。山形県の経済を支える責務があると認めてもらったと思っている。微力だが地元企業を支え、本県の経済を支援していきたい」と述べた。