2023年(令和5年) 1月29日(日)付紙面より
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新田嘉一平田牧場グループ会長(89)=酒田市楢橋、市名誉市民=が収集した美術コレクション「新田嘉一コレクション」のうち、国内外の著名な陶芸家による作品を紹介する「陶芸逸品展」が28日、市美術館で開幕した。高い審美眼で選りすぐった、重要無形文化財保持者(人間国宝)、文化勲章受章者、世界的陶芸家の作品計84点が並んでおり、新田会長は「地方の公立美術館としては異例の展示内容。良いものは良いということを多くの人から理解してもらいたい」と話している。
同美術館は1992年3月、新田会長が故森田茂画伯(1907―2009年、文化勲章受章者)の作品を中心に、これまで収集した絵画を市に寄贈したことが発端となり、市民の間で美術館建設の機運が高まったことから97年に開館したという経緯がある。コレクションは市に寄贈した絵画以外にも、陶芸や書、工芸など多岐に及び、今回は陶芸の逸品にスポットを当てた。「卒寿を迎えた。最後は土(陶芸)に帰するという心境」(新田会長)と話す。
昨夏に開催した「珠玉のフランス絵画を中心に」に続く市美術館におけるコレクション展の第2弾となった今回は、板谷波山(1872―1963年、文化勲章)、北大路魯山人(1883―1959年)、荒川豊蔵(1894―1985年、人間国宝)、14代酒井田柿右衛門(1934―2013年、人間国宝)はじめ日本を代表する巨匠の逸品とともに、韓国の現代陶芸を代表する陶芸家で世界的に高い評価を得ている朴英淑氏の白磁も並ぶ。
特に、その作品を通して英国女王・故エリザベス2世とも親交があり、大英博物館、シアトル美術館といった名だたる美術館にも作品が収蔵されている朴氏はこれまで数回、庄内地域を訪問し庄内ゴルフ倶楽部で一緒にラウンドするなど特に縁が深い。「白磁花瓶」は、李朝時代からの伝統である「純白磁」の美しさの中にワンポイントの美しい絵付けが映える逸品。「この白は朴氏しか出すことができない、世界共通の美だ。生きる喜びが湧き上がるような作品」(新田会長)と。
会場を訪れた新田会長は「文化を大事にしない民族はいずれ滅びる。この地域の文化をみんなで守っていかなくてはいけない。多くの人から『地域の宝』を鑑賞してもらい、文化を守り育てていくという機運が高まれば」と話した。
展示は3月12日(日)まで。
2023年(令和5年) 1月29日(日)付紙面より
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3年ぶりに帰ってきました―。今年で36回目を迎えた「酒田日本海寒鱈(かんだら)まつり」が28日、酒田市の中心市街地で開幕した。29日までの2日間、旬を迎えたマダラをふんだんに使用した熱々の寒鱈汁などが堪能できる。
市や市内の商工・観光団体などによる実行委員会が観光振興につなげようと企画。新型コロナ感染拡大の影響で2020年1月以来、3年ぶりの開催となった今年は、中通り商店街と中町モール、酒田駅前複合施設「光の湊」、さかた海鮮市場の4会場で、マダラをみそ仕立ての汁にした寒鱈汁(1杯700円)を2日間計約1万食用意した。
初日は午前10時半のスタートと同時に、もくもくと湯気が立ち上がる大鍋の前に家族連れらが長蛇の列を作り、時折晴れ間が広がる中、熱々の寒鱈汁を頬張っていた。家族4人で遊佐町吉出から訪れた佐藤知さん(31)は「3年ぶりに開催されてうれしい。子どもたちはまつりに来るのも寒鱈汁を食べるのも初めて。気に入ったようでどんどん食べるので良かった」と話した。
中通り商店街では庄内地域の料理人4人による「寒鱈フェスタ」も行われ、それぞれオリジナルの寒鱈料理を販売。中央公園では酒田・遊佐の蔵元による「酒の酒田の酒まつり」も同時開催、事前予約した市民らが9蔵元の新酒など計18種の日本酒を楽しんだ。