2023年(令和5年) 10月24日(火)付紙面より
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酒田市美術館を会場に今秋、個展を開催した同市出身の彫刻家、石黒光二さん(71)=埼玉県所沢市在住=が21日、今回の個展で展示した作品52点のうち22点を市に寄贈した。石黒さんは「師匠の故高橋剛先生(同市千代田出身)の作品が収蔵されている市美術館での個展開催は長年の夢だった。多くの皆さんのおかげ」と話した。
石黒さんは旧平田町山谷生まれ。酒田北高(現・酒田光陵高)から多摩美術大彫刻科に進学し、卒業後は高橋さんに師事。1976年に日展初出品で初入選。78年以降は連続入選し、96年に会員となった。2016年の改組新第3回日展に出品した作品「月光」は、第3科(彫刻)で最高賞・内閣総理大臣賞を受賞した。
彫刻界で高い評価を受け全国各地で野外彫刻を多く手掛けており、中でも平田地域を中心に市内各所に設置されているブロンズ像の数々は地元の自然や人々の暮らしに溶け込み、市民に親しまれている。日展会員、市の知名度向上に協力する「酒田北前大使」。古里では8年ぶりとなった今回の個展「石黒光二 彫刻展―心・空間・かたち」は9月2日に開幕、今月22日まで人物と幾何形態によって生み出される心象空間を表現した近作を中心に52点を紹介した。
この日の贈呈式は、同級生をはじめ平田地域在住の有志で組織する石黒光二後援会(小林清会長)の本年度総会の席上で行われ、高橋千代夫市議会議長、会員らが見守る中、石黒さんが矢口明子市長に22点を明記した目録を手渡した。
矢口市長は「石黒先生の活躍そのものが本市における文化・芸術の振興に対する貢献」、高橋議長は「個展を鑑賞したが、その美しさに魅了された。これからも文化・芸術の発展・振興に貢献してほしい」と。これを受け、本年度の市制定「功労表彰」受賞が決定している石黒さんは、個展開催中のエピソードを紹介した上で、「皆さんの支援に感謝。今後もしっかりと作品を通して恩返しをしていきたい」と述べた。