2023年(令和5年) 2月16日(木)付紙面より
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酒田市は14日、2023年度当初予算案を内示した。一般会計は22年度当初比で1・1%(6億1000万円)減の552億円。過去4番目の規模で、国指定史跡「山居倉庫」の公有化、市国体記念体育館の改修、地域脱炭素化と施設運営経費の低減に向けて省エネルギー回収に係る全ての経費を光熱水費の削減分でまかなうESCO事業の推進、市総合文化センター内の旧中央図書館を活用した文化資料館(仮称)やJR酒田駅前広場の整備などに取り組む。
市国体記念体育館改修事業
環境整備と大会誘致を図る
一般会計の主な歳入を見ると、市税は22年度当初比2・9%増の134億2151万円で、内訳は市民税は53億2068万円、固定資産税は61億7096万円、都市計画税は8億5625万円など。地方交付税は0・1%減の145億8100万円。国庫支出金は12・2%増の70億4092万円、県支出金は7・0%減の36億9826万円。市債は27・9%減の32億2090万円。基金取り崩しなどによる繰入金は8・7%減の23億4129万円。ふるさと納税が好評であるのを受け寄付金は1・3%増の30億4324万円を見込む。
歳出を性質別に見ると、義務的経費が4・3%減の241億3543万円。内訳は、人件費が5・7%減の71億9195万円、保育所入所など扶助費が2・1%減の92億9744万円、借金返済に充てる公債費は0・9%増の76億4603万円とした。一方、投資的経費は33・9%増の55億2051万円と、大幅に減少した22年度から再び増加に転じた。23年度末の市債残高見込みは、22年度末見込みと比べて7・7%(41億8520万円)減の504億1689万円。貯金に相当する各種基金のうち主となる財政調整基金の23年度末残高は、22年度末見込みより約2億円減の34億6310万円を見込む。
市は財政健全化に向けて23年度から5カ年、▽財政調整基金30億円を確保▽市債発行上限額は年間30億円以内―を柱にした「プロジェクト30―30(サーティー・サーティー)」を展開。投資的事業に優先度を設定して圧縮を図ることで、27年度までに11億2000万円の公債費減を見込む。
予算編成にあたって丸山至市長は▽経済と環境の両立による再生可能エネルギー循環都市の実現▽地域産業の競争力強化による良質な仕事の確保▽公民連携による山居倉庫周辺エリアの魅力とにぎわいの創出▽スクール・コミュニティの拡充による子どもを縁(えにし)とした地域づくりの推進▽誰もが暮らしやすい共生社会を実現する支援体制の整備▽デジタル技術の実装による暮らしの利便性向上―の6項目を「重点化する取り組み」に掲げたとした上で、「市総合計画に掲げる『めざすまちの姿』に向けた取り組み。23年度から動き出す市総合計画後期計画は『行政経営』を意識している。節約するだけでなく、やるべきことはやる、後に回すべきことは回すことで持続可能な行政経営体として取り組むもの」と述べた。
主な事業は次の通り(新=新規)。
▽公共施設ESCO推進事業(債務負担行為)5億1275万円(民間事業者提案制度による提案に基づき、コミュニティセンターや小中学校などのLED化を図る)=新▽山居倉庫公有化事業6億1875万円=新▽文化資料館(仮称)整備事業1億5563万円(資料館と光丘文庫、公文書館、市史編さんの機能を持つ「過去にあった酒田の出来事や文化を未来に伝えるための総合施設」の整備)▽デジタル変革事業1億3994万円(オンライン市役所「さかたコンポ(コミュニケーションポータル)」のリリース・機能追加などを図る)▽子育て支援・ひとり親家庭等医療給付事業3億4142万円(中学生までとしていた医療費の無償化を18歳の年度末まで拡大)=新▽国体記念体育館改修事業14億2165万円(安全で快適にスポーツができる環境の整備、競技力向上と生涯スポーツ振興、大会誘致による交流人口の拡大を図る)
2023年(令和5年) 2月16日(木)付紙面より
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鶴岡市の出羽ハイヤーグループは、あつみ温泉や湯田川温泉をアピールする宣伝カー「ラッピングタクシー」の運行を始めた。
ウィズコロナとアフターコロナを見据え、鶴岡の観光を盛り上げていこうと観光庁の「観光再生事業」の採択を受けてラッピングを施した。出羽ハイヤーが「酒井家庄内入部400年」、湯田川温泉自動車が「湯田川温泉」、温海観光ハイヤーが「あつみ温泉」をイメージした絵柄をそれぞれ1台ずつ(計3台)の車体に描いた。湯田川温泉は8軒、あつみ温泉は7軒の旅館名も明記した。このうち湯田川温泉自動車のタクシーには「湯田川温泉開湯1300年」と大きく書き、湯田川孟宗の竹や梅林公園の梅と桜を表現した。
ラッピングタクシーの運行は今月初めにスタート。出羽ハイヤーなど3つのタクシー会社を運営する柿崎裕社長は「お客さんの評判は上々。道行く人も『何が描かれているのだろう』とタクシーを振り向く人もいる。ラッピングだけでなく、乗務員が鶴岡の観光の魅力をお客さんにしっかり伝えられるよう今後も努力していきたい」と話している。
ラッピングタクシーは当面このスタイルで運行しその後、出羽三山や加茂水族館などの観光スポットの絵柄にチェンジすることも検討している。
2023年(令和5年) 2月16日(木)付紙面より
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鶴岡市と友好都市を結ぶ東京・江戸川区の地下鉄都営新宿線船堀駅前(TOKIビル前広場)で11日、寒鱈(かんだら)まつりが行われた。1992年以来行われてきた毎冬恒例のイベントだが、コロナ禍があって3年ぶりの開催となった。都内は前日、今冬最も冷え込み、5センチ程度の積雪があったが一夜明けて雪は解け、快晴にも恵まれ、正午前には“完売御礼”が出る人気だった。
「あら、楽しみに来たのにもう終わりだなんて残念だわ」と地元の主婦が嘆いたほど、どんがら汁(寒鱈汁)の人気は高かった。午前10時開始で、1杯600円で売り出された。身が締まった寒ダラは鼠ケ関港から水揚げされたもので、アツアツのお汁は1000食分用意されたが、折り返しながら作られた長蛇の列は30?40メートルになり、午前11時50分、2時間足らずで「完売」のプラカードが出されることになった。催し自体は午後3時までだっただけに、早過ぎる売り切れに関係者も驚くほどだった。
大場るり子さん(54)は遊佐町出身で江戸川区松江在住。同い年の夫・且敏さんと共に訪れた。今年結婚30年を迎えるという。ツイッターで情報が流れてきたそうで「まさしく小さいころ食べた懐かしい味です。兄ら家族がいる故郷を思い出した」とるり子さんは感慨深げ。夫は庄内の漬物が好物で、食後は夫婦仲良く赤カブ漬けなどが並んだ土産物コーナーをのぞいていた。
1日早く鶴岡市からの先乗りでどんがら汁の準備を行った道の駅「あつみ」しゃりんの矢口泉支配人(57)は「久しぶりということもあって、祭りを“楽しみにしていた”という声を多く聞いた。来年以降につなげるものはできた」と振り返っていた。
このイベントは鶴岡地区物産協同組合(でがんす)が主催、共催として鶴岡市東京事務所が加わった。だだちゃ豆入りの豆乳甘酒(1杯200円)も用意され、鶴岡特産の地酒、月山ワインや滝川蒲鉾店、まるい食品も出店した。
首都圏鶴岡会などの会員たちが会場設営に協力、山伏も2人参加し、ほら貝の音で場内の雰囲気を盛り上げていた。また地元のママさんバレーのメンバーたちがどんがら汁の準備を手伝った。
2023年(令和5年) 2月16日(木)付紙面より
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保育園児が入浴マナーを学ぶ「温泉入浴教室」が14日、鶴岡市湯野浜一丁目の「海辺のお宿『一久』」(池田真知子若女将)で行われた。地元のひばり保育園(渡部小百合園長)の年長児が肩まで漬かって温まりながら、入浴の仕方や湯野浜温泉の開湯伝説などを学んだ。
湯野浜温泉旅館協同組合青年部(佐藤航部長)が、子どもたちに入浴マナーや地元の湯野浜温泉について学んでもらおうと同園の年長児を招待して1994年から実施している。コロナ禍のため旅館での教室開催は3年ぶり。
20回目となった今年は男女12人が参加。入浴の前に紙芝居で「かめがみつけたおんせん」の開湯伝説を聞いた後、「かけ湯は体のどこからかけるでしょうか?」などクイズで入浴マナーを学んだ。
入浴体験では教わった通りにかけ湯をして湯船へ。園児たちは海が見える大浴場や露天風呂に興奮しながら入浴した。最後にみんなで10を数えて上がり、「気持ち良かった」「また来たい」と口々に話した。
菅原奏多君(6)は「お風呂があったかくて気持ち良かった。カメが見つけた温泉なのが面白かった」と語った。
2023年(令和5年) 2月16日(木)付紙面より
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鶴岡市の湯田川温泉協同組合(大滝研一郎理事長)は13日、温泉水で発芽させた県産米「つや姫」「はえぬき」を使った日本酒2種の発売を発表した。つや姫を使った純米大吟醸は「女神のしずく42」、はえぬきを使った生もと純米は「乳いちょう」と名付けられ同日、同温泉のつかさや旅館でお披露目会・試飲会が行われた。
湯田川温泉を活用した芽出し作業は、江戸期から続くと伝えられる。現在行われているのは、種もみを入れた袋を32度のお湯に浸しさらにむしろの上で蒸す方法で、自宅の浴槽などを使う方法より農家の負担が少なく均等に発芽するのが特徴。毎年4月上?中旬に作業が最盛期を迎え、庄内一円の農家約1000戸から多くの種もみが集まる。
湯田川温泉発の日本酒は芽出し作業で発芽させたつや姫、はえぬきを使い、地元酒蔵の渡會本店(鶴岡市大山二丁目)が醸造。純米大吟醸「女神のしずく42」は、温泉街に鎮座する由豆佐売神社に祭られる泉源の女神・溝くい姫命(みぞくいのひめのみこと)をイメージして名付けられた。同温泉の源泉温度の42度に倣い精米歩合を42%まで削り、豊かな香りと甘みで飲みやすい味に仕上がった。
一方、生もと純米「乳いちょう」は昔ながらの生もとづくりで醸し、程よい酸味と深み、こくのある味わいが楽しめる。名前の由来は由豆佐売神社の境内にそびえる「乳イチョウ」(県指定天然記念物)から。乳イチョウは古くから妊婦の乳の出を願う信仰の対象になっている。
お披露目会・試飲会には湯田川温泉の旅館関係者などが参加。初めにつかさや旅館代表社員の庄司丈彦さんが温泉発の日本酒誕生のいきさつや名前の由来などを説明し、「コンセプトは『温泉からうまれるものがたり』。地元の伝承や風習を活用して湯田川温泉を多くの人に知ってもらい、来てもらう取り組みとする」と述べ、「昨年10?12月に稲刈りや酒蔵見学、しめ縄作りなどを体験できるツアーモニターも実施しており、改良を加えながら新たなツアーを企画する。日本酒と2本立てで地域を盛り上げていきたい」と話した。
また、日本酒のラベルについてデザインした吉野敏充さん(新庄市)が「白鷺が羽ばたき、湯に落とした一粒の米が湯田川を豊かにするイメージ。さらに乳イチョウの垂れ下がる乳柱も模している」と解説した。
試飲会では「どんな食べ物とも合う」として、地元の和菓子屋が提供した薯蕷(じょうよ)まんじゅうや孟宗のつくだ煮などとともに、旅館関係者が2種類の酒を飲み比べ「どっちも飲みやすくうまい」「本当に甘いものとも合う」と話していた。
「女神のしずく42」は720ミリリットルで2200円、「乳いちょう」は720ミリリットル1430円、1800ミリリットル2860円(いずれも税込み)。14日からつかさや旅館とつかさやオンラインストアで販売する。各400本限定。今後は同温泉の各旅館や飲食店などでも提供する予定。
2023年(令和5年) 2月16日(木)付紙面より
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鶴岡青年会議所第57代理事長
伊藤 暁生(いとう あきお)さん
今年1月、鶴岡青年会議所(JC)の第57代理事長に就任した。『一燈照隅(いっとうしょうぐう)?自らが輝き、地域を照らす光となれ?』をスローガンに「組織の発展と地域の活性化につながる人材育成に力を入れていきたい」と意気込む。
地元の高校卒業後、大学進学のため上京。都内で就職し数年働いた後、仙台市に転勤となった。地元に戻るきっかけとなったのは2011年3月11日に起きた東日本大震災。会社に残るか考えた末、母が運営する介護福祉施設を継ぐ形で鶴岡市へ戻った。
鶴岡JCには先輩会員の勧めで33歳のときに入会。2年目には青少年委員長に任命され、小学生の「わんぱく相撲大会」鶴岡場所の運営を担当した。「事業計画やプログラムの作成、後援依頼などを任され、大変でしたが先輩の支えもあってやり通すことができた。達成感もあった」と当時を振り返る。
経営者や従業員まで、さまざまな職種の会員が活動するJC。職場以外の人と接して人脈を広げたり、悩みを相談し合ったりできるのも魅力という。「もともと人前で話すことはあまり得意でなかった。JCに入会以降、幅広い人たちと交流する中で人見知りするような感覚は自然となくなった。会社経営に対する考え方も聞くことができてとても勉強になった」と話す。
入会6年目の一昨年春に理事長就任の話を受けた。迷いもあったが周りの人の言葉に後押しされ決意した。「自分一人でできることは限られているが、各個人の成長が組織の成長を促し、地域の発展へとつながっていくと思う。同じ志を持つ仲間とともに明るい豊かな社会の実現に向けて精いっぱい取り組んでいきたい」。理事長としての抱負を語った。
介護福祉施設「ひまわり」の代表取締役。好きな言葉は「自他共栄」。趣味は読書。休日は家で過ごす時間を大切にしている。鶴岡市みどり町で妻と2人暮らし。39歳。