2023年(令和5年) 2月17日(金)付紙面より
ツイート
酒田市黒森地区に伝わる農民芸能「黒森歌舞伎」(県指定無形民俗文化財)の正月公演が15日、同地区の日枝神社常設演舞場で上演された。正月公演としては3年ぶりの開催。県内外から大勢の歌舞伎ファンが訪れ、地元役者の名演に声援を送った。
黒森歌舞伎は江戸時代中期の享保年間(1716―35)から地区住民による妻堂連中(五十嵐良弥座長)が黒森地区の鎮守・黒森日枝神社の神事の一環として連綿と受け継いできた。正月公演は寒さの厳しい2月中旬に上演されることから「雪中芝居」と呼ばれる。新型コロナウイルスの感染防止から20年の正月公演を最後に中止が続き、延期となった昨年は10月に「特別公演」と題して開催された。
2003年以来の上演となる本狂言「昔談柄三荘太夫(むかしがたりさんしょうだゆう)」は、黒森歌舞伎以外では演じられていない珍しい演目。冷酷な悪徳領主の三荘太夫、幼い姉弟の安寿姫と對王丸などが登場し、巡る因果の恐ろしさを描いたもの。全三幕。この日は▽丹後の国南山の場▽三荘太夫屋敷の場の二幕を上演。本狂言の前には黒森小3―6年生児童10人による少年歌舞伎「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)」の「稲瀬川勢揃いの場(通称・白浪五人男)」が披露された。
この日は時折雪が舞う文字通りの「雪中芝居」。見物客たちは地元役者の力強い姿や大立ち回りに大きな拍手を送っていた。17日正午からも同様の出し物が上演される。
2023年(令和5年) 2月17日(金)付紙面より
ツイート
県は15日、新型コロナウイルスの対策本部会議を開き、3月13日以降のマスク着用に関して、個人の判断に委ねることを決めた。学校教育活動では4月1日から着用を求めず、卒業式は児童生徒および教職員はマスクを外すことを基本とする。
政府の方針と県内の感染状況を踏まえ決定した。保育所や認定こども園では2歳以上に着用を求めない。医療機関や高齢者施設の従事者は、勤務中のマスク着用を推奨する。重症化リスクの高い人の感染を防ぐため▽医療機関への受診時▽医療機関や高齢者施設への訪問時▽混雑した電車やバスへの乗車時―などの場面ではマスク着用を推奨する。
このほか、無料のPCR・抗原検査の実施期間を3月31日まで延長することを決めた。
吉村美栄子知事は同日開かれた記者会見で「個人の意思に反してマスクの着脱を強いることや、マスク着用の有無による差別が生じないよう、理解と協力をお願いする」と呼び掛けた。
2023年(令和5年) 2月17日(金)付紙面より
ツイート
鶴岡市の大山小学校(生田弥恵校長、児童311人)で14日、地域に伝わる伝統芸能「いざやまき」の最終出前授業が行われ、児童は今月初めから大山いざやまき保存会(井上俊男会長)のメンバーから学んできた歌や踊りの成果を披露した。
約500年前から伝わる「大山いざやまき」は拍子木と唄上げ(歌)に合わせて踊る芸能。踊り手が歌役と台詞を掛け合いながら踊るのが全国的にも珍しいといわれている。戦の出陣で「いざ」「やー」と士気を高めるために踊ったのが起源。地元の子どもたちに実際に触れてもらい未来につなげていこうと、保存会が5年ほど前から毎年学校に出向いて教えている。今年は3年生56人がこの日まで2回指導を受け、歴史や踊り、歌などを学んだ。
この日は井上会長ら7人が学校を訪問。2クラスにそれぞれ1時限ずつ演目「尾浦八景」を指導した。このうち1組29人は拍子木、歌、踊りの3班でパート練習をした後、全体で総仕上げの演技を披露。大山地区の美しい景観を歌にした演目を児童たちが扇や手ぬぐいを手に華やかに踊り、井上会長らから大きな拍手が送られた。
踊りを担当した阿部來未(くるみ)さん(9)は「扇を開くのが慣れるまで難しかったけど楽しかった。出前授業が終わってももっと踊りたいと思った」と笑顔を見せた。
井上会長は「子どもたちが地域の伝統芸能に少しでも興味を持ってくれたらうれしい。これからも歴史と伝統を伝え続けていきたい」と話していた。
2023年(令和5年) 2月17日(金)付紙面より
ツイート
トルコ・シリア大地震の震源地に近く、甚大な被害を受けたトルコ南部のガジアンテップとハタイの2つの都市の復興を支援しようと、鶴岡市内の有志たちが義援金の募金活動を始めた。両都市は鶴岡と同じくユネスコ創造都市ネットワークの食文化分野に認定されており、関係者は「同じ食の都の仲間たち。困難な状況に何らかの形で手を差し伸べることができれば」と話し、市内の飲食店などに募金箱の設置を進めている。
活動の中心となっているのは、はしご酒で飲食店を訪ね歩くイベント「ツルバル」の実行委員会メンバーの長岡太郎さん(35)。これまでに実施したツルバルの参加店舗や子どもの食育活動に取り組む団体などを通じて、飲食店への募金箱設置を呼び掛けている。
透明な瓶容器を活用した募金箱には、鶴岡市食文化創造都市推進課の協力で同市の食文化創造都市ロゴマークをあしらったラベルを貼り、両都市の食文化を紹介したA4判の情報シートをセットにした。15日現在で、市内の多様な飲食店約20店舗が賛同し、設置協力を申し出ている。今後1カ月程度設置してもらい、集まった義援金は鶴岡市を通じて現地に送る予定。
鶴岡市は2014年にユネスコ食文化創造都市に国内で初めて加盟認定され、トルコを代表する料理「ケバブ」で知られるガジアンテップは15年に、地中海に面し多様な文明の影響を受けた食文化を有するハタイは17年に認定された。
長岡さんは「ユネスコ食文化創造都市でつながりのある2つの都市の復興を、同じネットワークに加盟する鶴岡の市民として支援できれば。賛同いただける飲食店を通じて、地元の人たちからも鶴岡は食文化で世界とつながっているということを知ってもらうきっかけにしたい」と話している。
募金箱設置に関する問い合わせは、長岡さん=電080(7441)3470=へ。
2023年(令和5年) 2月17日(金)付紙面より
ツイート
鶴岡市温海地域オリジナルの日本酒「摩耶山」が今年も寒仕込みを経て仕上がった。切れ味がいい「摩耶山しぼりたて」(720ミリリットル・税込み1210円)とこくがある「摩耶山にごり酒」(同・税込み1320円)の2銘柄を20日から温海地域の各酒店で販売する。
「摩耶山」は、温海地域の特性を生かした特産品を開発しようと出羽商工会温海支所と「温海酒徳会」(会長・佐藤満也萬来屋酒店店主、加盟16店)が、初孫で知られる東北銘醸(酒田市)の協力を得て2004年に初めて醸造した。摩耶山の麓にある越沢地区の湧き水「郷清水(ごうしみず)」の清らかな水で栽培されたはえぬきを丹念に磨き上げた本醸造と純米大吟醸の2銘柄。その後、「しぼりたて」「にごり酒」「蔵出し原酒」を追加し、摩耶山シリーズは計5銘柄で構成する。
販売前の15日に湯温海の足湯カフェチットモッシェで行われた新酒発表会には、摩耶山シリーズを販売する「温海酒徳会」のメンバーや温泉旅館の店主、観光協会の関係者ら合わせて20人が参加。おちょこについで試飲した参加者は「摩耶山特有の切れがある」「今年もいい酒に仕上がった」と感想を話した。
醸造した東北銘醸の杜氏で製造部長の後藤英之さんは「低温でじっくり長期発酵させ、なめらかでシャープ感がある酒ができた。例年以上の仕上がり」と集まった人たちに報告した。
温海酒徳会の佐藤会長は「地元をはじめ、北海道や山口など全国にたくさんの摩耶山ファンがいる。今年も『温海育ちの酒』を多くの人に楽しんでいただければ」と話した。
4月22日(土)には、あつみ温泉朝市広場で「摩耶山新酒まつり」を行う。新酒を飲んだり、あつみ温泉のペア宿泊券が当たる抽選会を楽しむ。時間は午後3時から6時まで。限定300人。チケットの前売りは1500円で当日券は2000円。3月中旬にチケット販売を予定する。問い合わせはあつみ観光協会=電0235(43)3547=へ。
「摩耶山しぼりたて」(限定3500本)と「にごり酒」(限定1500本)に関する問い合わせは萬来屋酒店=電0235(43)2030=へ。今年7月には「摩耶山蔵出し原酒」(720ミリリットル・税込み1320円)の発売を予定する。