2023年(令和5年) 2月18日(土)付紙面より
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鶴岡市は16日、2023年度当初予算案を市議会に内示した。一般会計の総額は707億円で、22年度当初と比べ10億7300万円、1・5%の減。5年連続で700億円台となり、当初予算としては過去4番目の規模。市有施設の光熱費が約5億円増える一方、先端研究産業支援センターの拡張事業完了や加茂水族館リニューアル工事の延期などで減額の予算編成となった。
医療費無償化18歳まで拡大
土砂災害ハザードマップ作成
新年度一般会計の主な歳入のうち、市税は新型コロナウイルスの影響からの一定の回復による個人・法人の市民税の伸びを見込み、22年度当初比1・9%増の153億1456万円、地方交付税は0・8%増の223億8528万円を計上。国庫支出金は5・5%減の85億3739万円、県支出金は2・4%増の54億6774万円。ふるさと納税を含む寄付金は1・9%増の20億9207万円を見込んだ。市の借金に当たる市債は普通建設事業費の減少に伴い21・8%減の44億8380万円とした。
歳出のうち人件費は消防団員の報酬引き上げや会計年度任用職員の待遇改善などで1・6%増の117億1659万円、物件費は光熱費の大幅増により10・0%増の99億6237万円。扶助費は少子化による児童手当支給費の減少などで0・4%減の138億1259万円、借金の返済に充てる公債費は1・5%増の89億3746万円で、人件費・扶助費・公債費を合わせた義務的経費は0・8%増の344億6665万円に上る。投資的経費のうち普通建設事業費は、国営かんがい排水事業負担金の皆減などで27・8%減の58億4280万円とした。
23年度末の財政調整基金残高は22年度末に比べ6億9300万円減の32億200万円、23年度末の市債残高は42億2700万円減の726億8800万円をそれぞれ見込む。実質公債費比率は1・1ポイント悪化の7・8%の見通しとなった。
23年度の主な事業のうちハード事業関連は、人工芝サッカー場整備に向けた旧県立鶴岡病院解体工事費5億1400万円、24年度内の供用開始を目指す朝日庁舎改築事業5億498万円、日本海沿岸東北自動車道・鼠ケ関インターチェンジ(仮称)隣接地への道の駅あつみ移転整備事業4417万円、実施設計を見直す加茂水族館改築事業1859万円、朝暘五小改築事業6億7206万円、荘内看護専門学校移転新築事業(病院事業会計)6億5288万円、第三学区放課後児童クラブ整備事業4231万円、新産業団地の開発推進事業3886万円、大山コミュニティセンター改築整備事業5億4052万円など。
ソフト事業関連では、子育て支援で医療費の無償化を現行の中学生までから18歳までに拡大。酒井家庄内入部400年記念事業を生かし、地域の歴史と文化の継承、郷土愛の醸成などに取り組む同記念事業NEXT100に1354万円を計上。中心市街地将来ビジョン策定1862万円、延期となっていた第30回赤川花火記念大会の支援拡充なども盛り込んだ。西目地区の土砂災害を踏まえ、ハザードマップ作成などに1500万円、警戒区域実態調査50万円を措置した。
2023年(令和5年) 2月18日(土)付紙面より
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3月3日のひな祭りを前に、鶴岡市の菓子店で伝統の「雛(ひな)菓子」作りが始まった。
鶴岡の雛菓子は江戸時代に北前船で雛人形が持ち込まれ、雛段に飾る華やかな菓子が鶴岡で独自に発展したといわれている。木型に詰めて打ち出して作る干菓子が一般的だが、鶴岡の場合は生菓子の練り切り細工によるもので、職人の遊び心と繊細な技術が特徴という。
同市覚岸寺の「木村屋」(吉野隆一社長)では、バレンタインデーが終わると同時に雛菓子作りの準備に取り掛かった。工場内では菓子職人がイチゴやリンゴ、サクランボ、タイ、外内島キュウリなどをかたどった練り切りに光沢を付けたり箱詰め作業に大忙し。温めて液状になった寒天をタイに掛けると、紅色と乳白色の鮮やかなグラデーションが浮かび上がった。かわいらしくデフォルメされたタイは子どもたちに人気という。
吉野社長は「鶴岡独自に発展した雛菓子は桃の節句に子どもの健やかな成長を願う縁起物。今年も全国のファンに届けたい」と話していた。
雛菓子の販売は17日から。「鶴岡雛物語」が行われる4月上旬まで計5600箱を作るという。
2023年(令和5年) 2月18日(土)付紙面より
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鶴岡市の「鶴岡まちなかキネマ」の復活が、1カ月余り後に迫った。文化の灯は消してはならないという、市内外の映画ファンから多額の支援金が寄せられた。2020年5月の閉館から3年近くを経ての再オープンは、鶴岡には映画文化が強く根差していたからであろう。まちキネ復活の日は3月25日。市民の力で将来へと支えていかなければならない。
テレビ、DVD、インターネットによる映像視聴で「劇場から居間へ」と映画視聴の環境が変わった。だが、家で寝っ転がって映像を見ていても、映画館のような臨場感は得られない。テレビの音響効果も進歩したが、突然頭の後ろから大音量が聞こえてくる臨場感は、映画館ならではのこと。
◇ ◇
かつて鶴岡市には邦画、洋画を合わせて多くの映画館があった。戦後間もなくの週末には、市郊外や周辺町村からの映画ファンを運ぶための臨時バスまで運行され、人気ベストテン投票もあり、映画熱を高めた。テレビがない時代の大衆娯楽としての、映画の存在感は大きかった。
映画館再建の話である。北九州市小倉北区の「小倉昭和館」は、1939(昭和14)年の開館。同市では有名な旦過(たんか)市場の一角にあったが昨年8月、同市場の火災で類焼した。昭和の歴史を刻んだ映画館に思い寄せるファンは多く、1万7000筆を超える再建を願う署名が寄せられたという。中には「火災の火は当然消すが、映画(小倉昭和館)の灯は消さない!消させない!」というメッセージもあったという。映画館は同じ場所に再建し、今年12月、新劇場で上映を始める予定という。
鶴岡市の「まちキネ」では、再開を願う1万を超える署名が集まり、クラウドファンディング(CF=不特定多数の人から支援金を募る)によって、目標額を上回る約1020万円の支援が寄せられた。支援は映画を愛し、鶴岡から文化の灯を消してはならないという気持ちの集まりと言える。今、市民有志が再開に向けたPRや、上映作品の選定などを話し合っている。
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若者世代の間で、映像文化の捉え方が変わりつつある。ストーリーの大筋が分かればいいと、映像を早送りで見る「倍速再生」の傾向が広まっている。読書では「斜め読み」や「飛ばして読む」という“技”で内容を知り得ることもあるが、映像から得られる感受性は別物。
映画はもちろん早送りなどできない。映画館内の雰囲気に引き込まれ、感動した場面で人知れず目にハンカチを当てることもあるかもしれない。映画館でそのような経験をしたことのある人もいよう。テレビでは昔の映画が多く放送されているが、スクリーンで見る迫力と臨場感はまるで違う。「まちキネ」復活後、大勢の映画ファンに来場を願い、鶴岡の映画文化を支え、将来世代に伝えてもらいたい。
2023年(令和5年) 2月18日(土)付紙面より
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地域文化情報誌「Cradle(クレードル)」などを手掛ける出羽庄内地域デザイン(鶴岡市、小林好雄社長)は、庄内地域の高校生が地元企業を取材・執筆した小冊子「ジモトのシゴト ホントのトコロ」の第2号を発行した。庄内の高校2年生全員2155人に無料配布し、地元にも魅力的な仕事が数多くあることを同世代の目線からアピールしている。
冊子はB5判のオールカラーで全48ページ。田川、飽海の両地区高校長会の協力で、鶴岡工業、庄内総合、羽黒、鶴岡東、酒田東、酒田西、酒田光陵、遊佐、酒田南の9高校の生徒20人が、2人ずつに分かれて取材を担当。それぞれ地元の製造や建設、金融、JA、社会福祉法人など10事業所を訪問し、代表者や若手社員にインタビューした内容を1事業所当たり4ページで紹介している。
「取材後記」の欄で生徒たちは、「『正直たいへんなこともある』と言いながらも、仕事の話をする社員の方がいきいきしていたのが印象的だった」「県外就職を考えていたけど、話を聞いて、地元就職も視野に入れて将来について考えてみようと思った」「働く姿や話から製造業にとても興味が湧いた。庄内にあって他地域や海外の食を支えていることを誇らしく思った」など、取材を通じて地元の企業を深く知り、自身の将来に新たな気付きを得たことへの思いを、それぞれの言葉でつづっている。
小林社長は「地元高校生の地域外流出の課題は大きいが、庄内地域には高い技術と独自のアイデアで活躍している企業は多くある。同じ高校生が取材したものを読んで地元の企業に関心を寄せて理解を深めてもらい、将来を含めた地元就職と定着の促進につながれは」と話した。
3800部発行。問い合わせは出羽庄内地域デザイン=電0800(800)0806=へ。
2023年(令和5年) 2月18日(土)付紙面より
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茨城県内で来月に開催される科学技術振興機構(JST)主催「第12回科学の甲子園全国大会」で、予選会に当たる県大会を制し2年連続で本県代表として出場する酒田東高校(大山慎一校長、生徒491人)のチームメンバー8人らが16日、酒田市役所を表敬訪問し、丸山至市長、佐藤元教育次長に全国大会での活躍を誓った。
科学好きな生徒に活躍の場を提供することで、その裾野を広げるとともに、トップ層をさらに伸ばそうとJSTが2012年度から毎年実施している大会。昨年度、現在の3年生8人で組織した同校チームは庄内地域から初めて全国大会に出場。数学分野で満点を獲得し全国1位となったほか、総合成績でも19位に食い込む健闘を見せた。
本年度の県大会は昨年10月に行われ、同校を含め県内17校から1チームずつエントリー。理科4領域と数学、情報の知識を問う「筆記」、モーターとプロペラによる風を動力とするウインドカーを制作し、1・2メートルのコースを往復させるタイムを競う「実技」の合計点で競った。結果、2年生8人による同校チームが優勝し、2年連続で全国大会出場を決めた。
この日は大山校長、担当の樋口駿教諭の引率でメンバー8人が訪問。大山校長が県大会優勝を報告し、「女子生徒3人が加わり、チームとして力を増した。先輩チームに負けまいと張り切っており、より高みを目指し頑張ってくれると思う」と述べた。
丸山市長は「2年連続の全国大会出場は、日頃から皆さんが頑張っていることの証し。本当に誇らしい。酒田の名を全国にとどろかせてほしい」と激励。その上で将来の夢について問い掛け、メンバーは「飛島で医療に従事したい」「酒田市出身の中島春雄さんがスーツアクターを務めたゴジラが好き。映画業界に進みたい」「人の生活に役立つ仕事がしたい」などと答えた。
同校チームを含む全国47代表が出場する全国大会は来月17日(金)から3日間、茨城県つくば市のつくば国際会議場、つくばカピオで開かれる。チームリーダーの佐藤先さん(17)は「県大会よりもやらなければいけないことが多い。メンバーの適性を把握し、ベストな状態で臨みたい」と話した。
2023年(令和5年) 2月18日(土)付紙面より
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豪快な豆まきで知られる鶴岡市加茂の妙定寺(守山正純住職)で16日、「ヤクヨケ豆マキ大祈祷会」が行われた。
妙定寺の豆まきは、日蓮大聖人が佐渡島で人々を苦しめていた悪蛇に石を投げて退治した故事に由来する。日蓮大聖人が生まれた2月16日に合わせて大祈祷会を行い、檀家信徒の厄を払っている。
この日は守山住職と僧侶が全身に冷水を浴びて清めた後、本堂で祈祷を申し込んだ人たちの会社名や代表者名を読み上げ事業繁栄、商売繁盛、家内安全、交通安全、身体堅固、諸願成就を願った。
祈祷を終えた後、守山住職らが約300キロの福豆を大きな升に入れて次々とまいた。
集まった人たちは頭上から降り注ぐ豆に歓声を上げながら両手で風呂敷を広げて拾い集めた。今年、厄年という参拝者の一人は「御利益がある豆を食べて安泰に過ごせることを願いたい」と話していた。