2023年(令和5年) 2月19日(日)付紙面より
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洋上風力発電や
公益大の「公立化」
東北公益文科大学「地域連携シンポジウム」が17日、酒田市の公益大公益ホールで開かれた。「庄内地域のこれからと再生可能エネルギーの役割」をテーマに公益大が初めて企画したもので、基調講演やパネル討議を通して、聴講者が水素社会の実現、議論が進む庄内沖の洋上風力発電の今後、公益大の公立化・機能強化など、ここ庄内地域の未来に向けての在り方などを考察した。
講演やパネル討議
550人が聞き入る
この日は約550人が参加し満席。新田嘉一公益大理事長は冒頭、「連携を深めながら一緒になって将来について考え、行動に移していくことこそがこの地域の発展につながる。このシンポジウムでの議論が具体的な成果に結び付くことを期待する」とあいさつした。
初めに県の小林剛也総務部長がテーマに沿って基調講演。同市飛島で実施した「釣りケーション」など庄内地域における県の取り組みを紹介し、「新型コロナウイルス感染症を経て世界的に価値観が変化している。風のまち・酒田の気質として、北前船の時代から風を捉えるのが得意。時代の風・流れをいち早くキャッチし利用してほしい」と述べた。
引き続き青塚晃山形新聞社常務庄内総支社長の進行で、マツキ(長井市)の松木盛行社長(外科医)、酒田商工会議所の加藤聡会頭(加藤総業社長)、ウエノ(鶴岡市)の上野隆一社長が討議した。
県内外で自動車学校を運営する松木社長は「温室効果ガス削減に向け、教習車として水素自動車を導入しているが、依然として多くはガソリン車。イノベーションを進めていく」、自社で風力発電事業を展開している加藤会頭は「エネルギーに関し全ての価値観を変えたのは東日本大震災。地球が痛んでいることは誰もが知っている。将来に向け文明を享受するため、何をしていかなければいけないか考えることこそカーボンニュートラルの入り口。公益大の公立化・機能強化により、再生可能エネルギーに関する学部の創設と人材の育成を図ることができたら」、公益大後援会長を務める上野社長は「脱炭素社会に向けて製造業も貢献できると思っている。公益大はいまだ十分に機能が発揮されていない。早期の公立化・機能強化で、地域の未来を指し示す拠点、シンクタンクとしての機能も期待したい」とそれぞれ述べた。
公益大は今後、シンポジウムを定期的に開催していく方針。
2023年(令和5年) 2月19日(日)付紙面より
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酒田市を拠点に東北地方への外国人誘客を図っている「みちのくインバウンド推進協議会」(代表理事・熊谷芳則ホテルリッチ酒田社長)が案内するタイ王国からのツアー客が20日までの日程で山形、福島、宮城の3県を訪問している。一行は17日、酒田市で国指定史跡に指定されている米穀倉庫群・山居倉庫を見学するなどし、庄内の文化に触れた。
同協議会は、東北地方へのインバウンド増に向けて広域観光ルート開発などを進めようと2015年に設立。タイを中核とした東南アジアからのインバウンド事業を推進し、19年にはタイ国際空港バンコク―仙台便の定期便を誘致するなど実績を重ねている。現在の会員は東北6県の84企業・団体。
全日程を同協議会がコーディネートした今回のツアーは20日まで5泊6日の日程。ツアー客ら約30人が東北3県の文化施設などを訪れている。一行は15日空路で成田空港に到着。福島県のリゾートホテルに宿泊し、翌日午後には本県入りし蔵王などを観光した。
17日は午前中に鶴岡市の加茂水族館や荘内神社を見学し、午後には酒田市の山居倉庫を訪れた。山居倉庫では市観光ガイド協会のメンバーから「倉庫は二重屋根になっており、外からの温度を抑える造りになっている」など説明を受けながら、写真を撮るなど楽しんでいた。
ツアーに同行するワールド・プロ・トラベルのルンナパ・カンパヤ社長は「コロナ前のように、タイの観光客が大勢東北を訪れるよう働き掛けていきたい」と話していた。
一行は18日、尾花沢市の銀山温泉に移動、宮城県で宿泊し、19日には東京銀座で自由行動。20日午後には帰途につく予定。
2023年(令和5年) 2月19日(日)付紙面より
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鶴岡市は17日、下水道資源を活用して養殖しているアユの愛称を「つるおかBISTRO(ビストロ)鮎」と発表した。昨年秋、一般公募した中から同市淀川町の公務員、佐藤佑太さん(33)の作品を最優秀賞に選んだ。
アユ養殖は2019年にスタートした。鶴岡市宝田三丁目の市浄化センターの敷地内に、かけ流し井戸水の養殖池を設け年間約2500匹を試験的に育てている。与えている餌は下水道処理した後の水に含まれる窒素やリンの栄養分で培養した藻類。体長17―19センチに育ったアユは冷風干しと甘露煮に加工、市内の料理人から「天然に近い香りと風味がある」と高い評価を受けている。
アユの愛称は昨年10月にインターネットと鶴岡市の「つるおか大産業まつり」で一般公募した。集まった作品は全国から計639点。新年度からの一般販売に向け「親しみやすさ」や「分かりやすさ」を基準に審査した。
養殖アユの名付け親となった佐藤さんは「600点以上というたくさんの候補作の中から選ばれて正直うれしい。下水道資源を利用したアユ養殖が普及していくことを願っている。商品化されればいち早く買って家族と食卓で楽しみたい」と笑顔を見せた。
浄化センターの担当者は「一般販売のタイミングを関係者と話し合いを重ねている。来年度は今より500匹増やして3000匹の養殖を目指したい」と話した。加工品のほか、塩焼きや押し寿司、だだちゃ豆との炊き込みご飯も考えているという。
優秀賞には「もっけアユ」と「鶴岡宝藻(たからも)アユ」の2作品が選ばれた。
2023年(令和5年) 2月19日(日)付紙面より
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地域づくりについて考える「庄内創生懇談会」が17日、三川町の県庄内総合支庁で開かれた。庄内で活躍する各分野の代表5人が「山形くらしを楽しむ」をテーマに意見交換した。
出席者(リモート含む)は▽井上夏さん(鶴岡市・井上農場)▽加藤丈晴さん(鶴岡市・外国人向け旅行業めぐるん代表)▽繁田久美子さん(遊佐町地域おこし協力隊員)▽須田剛史さん(鶴岡市・加茂水族館魚匠ダイニング沖海月料理長)▽須藤瞳さん(酒田市・東北公益文科大学4年)。庄内総合支庁の高橋正美支庁長を司会者に地域の良さを中心に語り合った。
その中で井上さんは「地域全体で子育てしているところが良いところ」、加藤さんは「逆に人がどうだとか、他県と比較することが少ない人間性が山形の良さだと思う」、繁田さんは「何といっても人柄が温かい。移住者向けの支援策が充実している」と語った。
須田さんは「庄内は日本遺産が3つも認定されているし歴史、文化、自然、食がこれほど豊富にある地域はない。これからも料理人の一人として食と歴史をつなげた取り組みを進めていきたい」、須藤さんは「他県から来た私にとっては地域愛がとても強いと感じた。温泉巡りが大好きなので、山形の全市町村の温泉を制覇したい」と笑顔を見せた。
庄内創生懇談会は、各分野で活躍している人を招いて意見を聞き「魅力ある山形づくり」に反映させようと県が開いている。今年度は2回目。昨年6月の1回目は「ポストコロナを見据えて」をテーマにウィズコロナとアフターコロナに向けて意見を交わした。