2023年(令和5年) 2月21日(火)付紙面より
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県民芸術祭実行委員会(鈴木義孝会長)は17日、2022年度第60回県民芸術祭の大賞に「表現舎刻一刻」(鶴岡市)の「劇・平和を語り継ぐ」を選んだと発表した。庄内地域からの大賞受賞は2016年度以来6年ぶり。このほか優秀賞6団体、奨励賞3団体が選出され、庄内関係では酒田吹奏楽団(酒田市)の「スペシャル・ガラ・コンサート」が優秀賞を受賞し、奨励賞には「ステンドグラス“光彩”」(鶴岡市)の作品展が選ばれた。
県民芸術祭は昨年9月―今年1月に行われ、洋楽や演劇、美術、写真、華道、書道など各分野から128団体が参加した。表彰式は5月27日に山形市内で開かれる県芸術文化協会通常総会の席上で行われる。
大賞に選ばれた表現舎刻一刻の「劇・平和を語り継ぐ」(昨年11月7日、荘銀タクト鶴岡)は、領民の立場から描いた「荘内藩三方国替騒動記」と、沖縄戦争の悲惨さと平和への願いを伝える2部制の創作劇。大衆演劇的な手法や巧みな照明、音響、語りを駆使し、同団体の創立35周年を飾る大型の歴史舞台として平和へのメッセージと深い感動を与えた。
優秀賞に選ばれた酒田吹奏楽団のコンサートは、聴衆と一体化したステージのレベルが高く創立50周年にふさわしいと評価された。奨励賞のステンドグラス“光彩”展は光とガラスの色が調和し生み出す幻想的な世界観の表現が評価された。
2023年(令和5年) 2月21日(火)付紙面より
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鶴岡市朝日地域の冬のイベント「月山あさひ雪まつり」が19日、湯殿山スキー場で行われた。家族連れが訪れ、雪山スノースライダーや雪玉ストラックアウトなどを楽しんだ。
標高約530メートルの湯殿山スキー場で趣向を凝らした冬のイベントを満喫してもらおうと鶴岡市朝日庁舎やあさひむら観光協会など関係団体が実行委員会を組織して開いている。
ゲレンデに登場した雪山
スノースライダーのコースの全長は約100メートル。子どもたちがチューブに乗って滑り歓声を上げた。
的に向かって、履いた「わらぐつ」を蹴っ飛ばす「わらぐつキックターゲット」では、親子らが高得点を目指してチャレンジ。見事「的中」した人たちには湯殿山スキー場リフト券などが商品として渡された。
「雪んこちゃんに大変身!」のイベントでは、雪国ならでは「みの」に着替えてプロカメラマンが撮影した記念写真がプレゼントされた。
この日は朝から雨が降る天候となったが、ゲレンデには休日にスノーボードやスキーを楽しむ人たちが訪れた。まつりでは家族連れが詰め掛け、子どもたちを楽しませていた。
2023年(令和5年) 2月21日(火)付紙面より
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代表作「祝婚歌」や現代詩の最高傑作の一つとも評される「I was born」などの叙情詩で知られる酒田市出身の詩人・吉野弘さん(1926―2014年)の作品を読み上げる朗読会が18日、同市の土門拳記念館で開かれた。
吉野さんは、酒田商業高校(現酒田光陵高校)卒業後、石油会社に勤務。1953年、同人雑誌「櫂(かい)」に参加し詩作を始めた。72年に「感傷旅行」で第23回読売文学賞詩歌俳句賞、90年に「自然渋滞」で第5回詩歌文学館賞、96年には市特別功労賞をそれぞれ受賞。肺炎のため2014年1月15日に死去した。
「二人が睦まじくいるためには愚かでいるほうがいい」で始まる「祝婚歌」はめい夫婦に贈ったプライベート作品だが、現在では結婚披露宴のスピーチで広く引用されており、平易な言葉を使いながら人の温かさを表現する作品の数々にファンが多い。
同記念館は2016年からこの時期、「土門拳さんの記念館で吉野弘さんの詩をよむ」と称して酒田詩の朗読会を主宰する阿蘇孝子さん(同市)による朗読会を開催してきたが、20年以降はコロナ禍のために中止。4年ぶりとなった今年は、阿蘇さん、新庄最上地域で演劇活動を繰り広げている高橋美代さん(真室川町)が、佐々木正さん(遊佐町)のギターとパーカッション、佐藤晶子さん(同市、月刊スプーン元編集長)のトークに合わせて朗読を披露した。
佐藤さんの祖父・佐藤公太郎さんが手掛けたみちのく豆本シリーズのうち、土門拳さんが著した「ぼくと酒田」から、山王祭(酒田まつり)についてつづった一節で幕開け。ギターとパーカッションの音色に合わせ、阿蘇さん、高橋さんが「祝婚歌」「早春のバスの中で」「奈々子に」など次々と披露した。
会場となった企画展示室2では現在、昭和を代表するドキュメンタリー写真集「筑豊のこどもたち」を紹介中。参加した約20人は酒田が生んだ偉大な芸術家の作品を思う存分に堪能していた。
2023年(令和5年) 2月21日(火)付紙面より
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庄内地方のアマチュア囲碁界の最高位を決める第64期「庄内本因坊戦」(荘内日報社主催、日本棋院鶴岡、酒田両支部主管)が18日、鶴岡市大宝寺町の囲碁サロン鶴岡で行われた。鶴岡、酒田両支部の予選を勝ち抜いた代表4人ずつ計8人がトーナメント戦で争った結果、鶴岡支部の秋庭弘明・六段(84)=鶴岡市宝町=が庄内本因坊の栄冠を手にした。秋庭六段は今大会最高齢で2年ぶり2回目の本因坊獲得。
庄内本因坊戦は1960年に始まり、庄内では最も長い歴史を持つ。秋庭六段以外の今期の出場者は▽鶴岡支部=小松田泰弘・六段(42)=新潟県村上市、鈴木宏・六段(78)=鶴岡市美原町、村田友貴・五段(36)=同市宝町▽酒田支部=石井二男・六段(71)=庄内町余目、池田義則・六段(73)=酒田市一条、石川善雄・六段(75)=同市若竹町二丁目、阿部善孝・六段(75)=同市宮内。
対局形式は持ち時間45分で秒読み20秒1回。1回戦は同じ支部同士の対局を避けて組み合わせ抽選を行った。この結果、池田六段、秋庭六段、石井六段、鈴木六段が勝ち上がった。
準決勝第1局は池田六段と秋庭六段の対局。序盤は互角の展開となったが、中盤で秋庭六段の打ち回しがさえ優勢を奪うとそのまま押し切った。第2局は石井六段と鈴木六段が対局し、鈴木六段が序盤からリード。要所で石井六段が勝負手をかけるも追い付けず、見ごたえのある戦いを鈴木六段が制した。
決勝は黒・秋庭六段、白
・鈴木六段の顔合わせで鶴岡支部同士の戦いとなった。序盤は鈴木六段が優勢に進め、中盤で秋庭六段が押し返す展開。終盤にかけて大石を取った秋庭六段が逆転勝利を果たした。
閉会式で荘内日報社の橋本政之社長から表彰状を受け取った秋庭六段は「3戦してどれも余裕のない戦いだった。決勝はいつも切磋琢磨している鈴木さんとの対局で、気楽に打てたのが良かった。昨年は決勝で敗れたこともあり、2回目の庄内本因坊獲得はうれしい限り」と笑顔を見せた。
準決勝と決勝の熱戦譜は後日、本紙に掲載する。
▽1回戦
池田 中押し 小松田
秋庭 中押し 阿部
石井 5目半 村田
鈴木 中押し 石川
▽準決勝
秋庭 11目半 池田
鈴木 中押し 石井
▽決勝
秋庭 中押し 鈴木
2023年(令和5年) 2月21日(火)付紙面より
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昨年5月にブラジルで開催された聴覚障害者による国際スポーツ大会「第24回夏季デフリンピック競技大会」の水泳競技に出場、女子100メートルバタフライで金メダルに輝いた酒田市出身の齋藤京香選手(22)=酒田光陵高卒、山梨学院大スポーツ科学部4年=を招いた講演会が18日夕、同市のル・ポットフーで開かれ、2025年に都内で開催されることが決まった第25回デフリンピックはじめ各種大会に向けてさらなる健闘を誓った。
両耳が中度難聴の齋藤選手は、旧酒田聾学校(現在の酒田特別支援学校聴覚障がい教育部)に入学。小学1年から市内の水泳教室に通い、同校中学部3年の2015年、米国で開かれた世界ろう者水泳選手権400メートル自由形で4位に入って頭角を現した。光陵高に進学した後も力を付けて高校2年の17年、トルコで開かれた前回デフリンピックでは400メートル自由形で4位入賞。卒業後はスポーツが盛んな山梨学院大に進んだ。
齋藤選手は昨年5月3日(日本時間・同4日)のデフリンピック100メートルバタフライ決勝で自己ベストを0・10秒更新する1分06秒98を記録し、金メダルを獲得。この活躍で「酒田」の名を世界的に高めたとして市が制定する本年度「酒田ふるさと栄誉賞」を受賞した。
齋藤選手は今回、市スポーツ推進委員会(堀俊一会長)の研究協議会に合わせ、チアーズ(同市)の加藤明子社長との対談形式で水泳との出合い、酒田特支・光陵高時代、デフリンピックはじめ各種大会での活躍など年代を追って講話した。
幼少期から体を動かすことが好きで、水泳以外にも体操、サッカーもやっていたという齋藤選手。デフリンピックでの活躍について問われ、「緊張したが、それ以上に楽しかった。タイムを電光掲示板で確認した時、夢かと思った」と。自らのこだわりについて「聴こえないことは個性と考え、好きなことをやる、常にチャレンジするようにしている。夢を夢で終わらせたくない」と話した。
大学卒業後は、都内の企業とアスリート契約を結び酒田を練習拠点に今夏の世界ろう者水泳選手権(アルゼンチン)、そして第25回デフリンピックの出場を目指す齋藤選手は「これまで支えてくれた人たちに恩返しするため一層、精進していきたい」と誓った。