2023年(令和5年) 2月25日(土)付紙面より
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庄内産タイの風味を引き出した乾麺「山形庄内天然鯛だし麺」が登場した。海と食の地域モデルin庄内浜実行委員会(齋藤勝三実行委員長)が、鶴岡市の人気ラーメン店や製麺会社、礒見漁師らの協力を得て商品開発した。古くから由良地区に伝わる「小鯛の焼き干し」を使うなどして奥深い味に仕上げた。
新たな特産品に期待 販売始める
濃縮スープは「晴天の風」(鶴岡市伊勢原町)の加賀山欣也店長、麺は富樫製麺(同市神明町)の富樫拓也社長、タイの粉末は「ゆらまちっく海鮮レディース」(同市由良二丁目)、アオサの粉末は由良の礒見漁師・榊原英樹さん(同市由良一丁目)が手掛けた。麺は中華麺(120グラム)と鶴岡名物の麦切り(同)を入れ、1袋で2種類が楽しめるようにした。濃縮スープに、タイとアオサの粉末がセットになって価格は1袋880円(税込み)。23日の「大安」に合わせて生協や庄内観光物産館、産直あぐり、加茂水族館、ホテル八乙女などで販売を始めた。
加賀山店長は「みそやしょうゆ味にも挑戦したがタイの風味を生かすのはやはり塩味。鶴岡名物の乾麺として親しまれたらうれしい」、富樫社長は「特色を出すために麦切りの麺には『鶴岡シルク』を練り込んだ。スープとのバランスを楽しんでほしい」と話した。
作り方はどんぶりに濃縮スープを入れてお湯を注ぎゆでた麺を入れれば出来上がり。タイとアオサの粉末をかければ一段と風味が増す。あっさりとした風味の中にも奥行きがある味わいが特長だ。
齋藤実行委員長は「庄内浜の磯の香りを詰め込んだ乾麺。『おめでタイ』贈答用としても買っていただければ。庄内の新たな特産に成長することを願いたい」と期待を込める。今後は湯野浜温泉の各旅館や産直など取り扱う施設・店舗を増やしていく。
2023年(令和5年) 2月25日(土)付紙面より
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再生可能エネルギーやカーボンニュートラルなどを軸に、地域の在り方を考える東北公益文科大学地域連携シンポジウムが先頃、同大で開かれた。柱となったテーマは「庄内地域のこれからと再生可能エネルギーの役割」。風力発電は政府が将来の重要なエネルギーに位置付けている。庄内でも導入が進んでおり、さらなる進展の可能性などを探った。
公益大が初めて企画したシンポジウムには約550人が参加して会場は満席。庄内の未来はどうあるべきかという課題への関心の高さをうかがわせ、新田嘉一公益大理事長も「連携を深め、一緒になって将来を考え、行動してこそ地域の発展がある」と、シンポジウムへの期待を述べた。
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シンポジウムの大きなテーマになった再生可能エネルギー。庄内では酒田港一帯や庄内町、鶴岡市の一部で既に風車が稼働している。新たに洋上風力発電導入が計画されている遊佐町沖は、導入の「有望区域」から「促進区域」の指定を目指している。酒田沖も導入に向けた想定海域を設けており、地元の意見をまとめて国に情報を提供し、遊佐沖同様の有望な区域に一段格上げしたい考えだ。
庄内は風力発電では全国の先駆けだった。1988?89年に政府は「ふるさと創生事業」を実施。全市区町村に自ら考えて地域づくりにつながる事業を起こすようにと、一律1億円を交付した。旧立川町はこの交付金で小規模な風力発電3基を導入、全国の中でも数少ない事業の成功例になった。当時の町長が「風が吹けば金がもうかる」と、清川ダシを利用する発想が実ったものだった。
環境への配慮と世界のエネルギー事情を考えれば、自然からの恵みとなる再エネは、積極的に導入しなければならない。日本海沿岸海域には風力発電の適地が多く、秋田県では能代市沖と秋田港沖で商業運転が始まっている。酒田港一帯の風力発電は陸上部への設置だが、洋上に設置するとなれば事業の可能性が大きく広がる。そのためには、漁業関係者の理解が欠かせない。
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公益社団法人酒田法人会は昨年末、酒田市と遊佐町に「洋上風力発電の推進」などを求める提言書を提出している。洋上風力発電は地域の活性化に寄与するとして、積極的に導入する必要性からの提言だ。
鶴岡市では加茂地区の住民らが風車設置が生活にどのような影響があるかなどを考えるつどいを開いた。同市では出羽三山への大規模風力発電計画が中止になり、加茂坂トンネル南西部の山に風車設置が計画されたが、環境への影響があることで鶴岡市が事業の中止を事業者側に申し入れた。庄内でも地域によって、風力発電導入に若干の温度差がある。だが、問題があれば解決策を模索しながら、再エネを前向きに捉えていただきたい。
2023年(令和5年) 2月25日(土)付紙面より
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酒田市の東北公益文科大学(神田直弥学長)と琉球大学国際地域創造学部(沖縄県西原町、吉本靖学部長)の学生が、互いの研究成果を報告し意見交換する、合同研究報告会が20日、公益大学内で行われ、学生たちが交流を深めた。対面での報告会は3年ぶり。
公益大公益学部と琉球大国際地域創造学部は2018年に包括的連携に関する協定を締結。三木潤一公益大教授(公共経済学、財政学)と獺口浩一琉球大教授(経済学)が大学院時代の同期で、共同研究をしたこともあり、合同でゼミを実施するなど、交流を深めてきた。コロナ禍以降はオンラインでの研究報告会を実施して今回、3年ぶりに琉球大学生が公益大を訪れた。
この日の報告会は三木教授、獺口教授のゼミで学ぶ3年生計23人が参加。両ゼミの4―5人で共同研究した内容について報告、討論を行った。
公益大生の研究「地方私立大学の公立化―経営難の是正に関する検討」の討論では、琉球大生から「大学のブランド力を上げるための具体的な施策は」、琉球大生の研究「マクロ計量モデルによる公的年金財政のシミュレーション分析」では公益大生から「シミュレーションの計算根拠は」といった鋭い質問が飛び、お互いの研究を高めるため意見を交わした。
三木教授は「今年は緊張感のある良い報告会ができたと思う。他大学生との顔を合わせた交流は受ける刺激が大きく、とても重要。これを機に学生たちの成長の促進につながれば」と述べた。
2023年(令和5年) 2月25日(土)付紙面より
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鶴岡工業高等専門学校(森政之校長)で23日、中学生を対象とした「ものづくり体験講座」が開かれた。庄内や内陸から集まった中学生たちが機械、化学、情報、電気の各分野に分かれて金属探知機やオリジナルグラスなどを作り、ものづくりの楽しさを学んだ。
体験講座は、中学生からものづくりの楽しさや奥深さを体験してもらい、科学分野の実験や研究に取り組む鶴岡高専について興味を持ってもらおうと2009年から毎年開催している。コロナ禍の影響で2020年、21年と開催を見送ったが昨年から再開した。
今回は地元庄内のほか村山、最上の各地域から中学1、2年生22人が参加。付き添いの保護者と共にガイダンスを受けた後、4講座に分かれ実験室や演習室でものづくりを体験した。
このうち化学系講座「ストームグラスを作ってみよう!」には10人が参加。担当教員から「ストームグラスとは、200?300年前の欧州で船乗りたちが利用していた天候を予測するための道具。『暑い日は沈殿物が少ない』『寒い日は溶液が濁る』など、グラス内の結晶の状況から近未来の天気を予測する」と説明を受けた。
中学生たちは正確に量った2・8グラム分の硝酸カリウムと塩化アンモニウムをビーカーに溶かし、無水エタノールを入れたグラスへ溶液を混ぜるなど、教員たちのアドバイスを受けながら一連の工程を進めた。
続いて、完成したストームグラスをお湯に浸した場合と、氷に浸した場合の沈殿物の違いを比べる実験に取り組んだ。お湯に入れると沈殿物が溶けてグラス内が透明となり、氷で冷やすとグラスの底から次第に白い沈殿物が増えていく様子を確認した。
鶴岡一中1年の若木花音さん(13)は「結晶にどんな変化が現れるのか興味を持ち、この講座に参加した。今日学んだことを今後の進路選びの参考にしたい」と話していた。
2023年(令和5年) 2月25日(土)付紙面より
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鶴岡サイエンスパークの最新の動きを紹介する「市民のための生命科学入門講座」が21日、鶴岡市覚岸寺の市先端研究産業支援センター・レクチャーホールで開かれた。定年で3月末に退任する慶應義塾大先端生命科学研究所の冨田勝所長が講演し、「『先端研は今後、どのような方向に進むのか』とよく聞かれる。それは私も分からない。だから面白いのではないか」と語った。
冨田さんは2001年の先端研開設以来、所長を務め、先端研などが立地する鶴岡サイエンスパークを、メタボローム解析を核にした世界最先端のバイオ研究拠点に導いてきた。「鶴岡サイエンスパークの最新動向」と題して講演し、先端研発ベンチャー企業の現況を紹介。「サイエンスパークには現在、ベンチャー各社の従業員と先端研の教職員合わせて700人がいる。その家族も含めれば、鶴岡市の人口のおよそ1%にはなるだろう」とした。大手企業から社員の「鶴岡留学」を受け入れていることにも触れ、「出羽三山の精神文化など庄内には本物を見極めようとする本当の文化がある。そこを大企業も注目している」と述べた。
参加者からの質問を受け、所長退任後の活動について「自由な時間が増える。半年ぐらいはゆっくりと考えて、自分が面白いと思えることでかつ世の中に役立つことを探し出せるよう試行錯誤したい」と語った。
講座では冨田所長のほか、納豆菌粉を活用した食品開発に取り組む先端研発バイオベンチャー・フェルメクテス(大橋由明社長)のアドバイザー・長内あや愛さん(食文化研究家)が「食文化の普及過程から考える新時代の食糧」、三川中出身で鶴岡中央高時代に先端研の研究助手を務めた経歴を持つ、先端研の渡部康羽研究員が「地元庄内で探る生き物が操る糸の可能性」と題して講演した。
講座は同市の致道ライブラリーが主催し、会場とオンラインを合わせ約100人が参加した。