2023年(令和5年) 2月26日(日)付紙面より
ツイート
鶴岡商工会議所(上野雅史会頭)主催の「庄内における高速交通基盤整備と地域活性化を考える」シンポジウムが24日、東京第一ホテル鶴岡で開かれた。国土交通省の吉岡幹夫技監とJR東日本びゅうツーリズム&セールスの森崎鉄郎社長による講演を通じ、高速交通網整備や観光資源を生かした地域活性化について理解を深めた。
産業を含む地域活性化につながる高速交通網の整備について、民間サイドから整備促進に向けて働き掛けを強め地元の熱意をアピールする機会にしようと、鶴岡商工会議所が庄内開発協議会(会長・丸山至酒田市長)と連携し2015年度から開催しているシンポジウム。毎回、国交省や交通事業者の幹部を講師に迎えている。コロナ禍の影響で中止、見送りが続き、今回は18年度以来の開催。
5回目の今回は庄内全域の経済関係者、各市町の首長、市町議のほか加藤鮎子衆院議員、芳賀道也参院議員、庄内地域選出の県議など来賓、一般聴講者など合わせて約220人が出席した。
国交省高速道路課長や道路局長を歴任した吉岡技監は「これからの道路政策の展望」と題し、「近年の傾向から国内で多発する自然災害はもはや日常。国土交通省は災害に強い国土幹線道路ネットワークの構築に取り組んでいる」と現状を解説。「1997年に庄内初の高規格道路が開通し、4年後には山形自動車道が全線開通したが、県内の高速道路、高規格道路は2車線区間が多い。早期の4車線化が交通のスピードアップ、利用率アップにつながる」と述べた。
続いて森崎社長が「当社が考える持続可能な観光地域づくり」と題し、「国内旅行者もインバウンド客も旅に求める本質はその土地らしさや本物に触れること、学びや体験で新たな経験を得ること。旅先で受け入れる皆さんは地域に根付く伝統や文化、豊かな自然を生かすことが大事。住民と旅行者の双方にとって価値ある地域を目指してほしい」と呼び掛けた。
講演後、庄内開発協議会長の丸山酒田市長が日本海沿岸東北自動車道や高規格道路「新庄酒田道路」の整備促進、庄内内陸月山連絡道路(仮称)の計画策定に関する要望書を吉岡技監に手渡した。
2023年(令和5年) 2月26日(日)付紙面より
ツイート
多様性に即した寛容な社会構築
4月から県内自治体で初の取り組み
酒田市の丸山至市長は24日、LGBT(性的少数者)のカップルに対し婚姻と同等の関係を認める「パートナーシップ宣誓制度」(仮称)を今年4月から導入すると発表した。2028年度まで10カ年にわたる第2次市男女共同参画推進計画「ウィズプラン」のうち主要施策として位置付けている「性的マイノリティ(少数者)への配慮」に基づくもので、関連条例の改正案が現在、市議会3月定例会に上程中。市によると、同様の制度を導入する自治体は県内では初めて。
同日に開かれた定例記者会見で丸山市長が概要を発表した。
市はウィズプラン策定後、広く市民を対象にした性の多様性に関する理解促進講座を随時開催してきたほか、昨年5―6月には市民を対象に当該制度導入の賛否を聞くアンケート調査を実施。626人から回答が寄せられ、賛成(55・3%)が反対(11・3%)を大きく上回った。さらに2015年11月に渋谷・世田谷両区が導入して以来、全国的な導入自治体の人口カバー率が65%を超え、今後もさらに増加すると推測されている。
一方、酒田光陵高の生徒有志が昨年11月、市内の企業の協力を受け課題研究の一環としてLGBTカップルに特化した模擬結婚式・披露宴を企画するなど同制度の周知に向けた活動を展開。導入を求める市民がいることから市の担当職員が今月3、21の両日、当事者、同校生徒と制度の在り方について意見交換。より当事者に寄り添った、充実した制度になるよう話し合いを重ねてきた。
制度の概要によると、対象は▽双方・一方がLGBTであり、相互の協力で継続的な共同生活を行うことを約束したパートナー関係にあること▽双方が成年で配偶者がなく、宣誓をする相手以外とパートナーシップはないこと▽双方が市内の同一所在地に住所を有すること(3カ月以内の転入予定者を含む)―など。電話・メールで事前予約し申請、職員との面談、要件確認を経て、当事者2人に市長名の「宣誓書の受理証明書」を交付する。これを提示することで、市営住宅入居が可能になるほか、所得・納税証明書、就学援助、特別支援教育就学奨励費などの申請ができるようになる。
丸山市長は「市として導入を決断しない環境にない。多様性を認め合う寛容な地域社会を構築し、市民の幸福度向上、持続可能なまちづくりにつながれば」と話した。制度開始日は4月1日(土)で、申請の受け付けは市交流ひろばで同3日(月)からの予定。
今月21日に光陵高校内で開催された意見交換で、LGBTカップルは▽携帯できる証明カードの発行▽手術同意書への署名など医療機関への周知▽相談窓口の設置▽小中学校における性の多様性を学ぶ場の企画―などを求め、「当事者のニーズを盛り込んだ制度にしてほしい」と要望した。
また、出席者からはLGBT応援企業の認証制度導入、啓発イベントの開催など理解促進に向けたアイデアが出された。新年度以降、関連する学びを深める同校ビジネス流通科2年の土田昴太郎さん(16)は「LGBTについて再認識。理解促進に向けた啓発を中心にさまざまなイベントに取り組みたい」と話した。
2023年(令和5年) 2月26日(日)付紙面より
ツイート
西目土砂災害復旧に鶴岡市へ贈る
鶴岡市の出羽三山神社と善寳寺、荘内神社が連携してつくる「つるおか三寺社祈りプロジェクト」は24日、同市西目で昨年12月末に発生した土砂災害に対する支援金を鶴岡市へ贈った。同日、市役所で贈呈式が行われ、3寺社の関係者が「全国から訪れた参拝者の心のこもった浄財を、災害復旧や被災者支援に役立てて」と思いを語った。
同プロジェクトは、新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年、祈りの心と癒やしを発信しようと3寺社合同で立ち上げた。同年に共通の御朱印1500枚を作り、行動制限で参拝できない全国の信者に郵送した。21年は出羽三山の「丑歳(うしどし)御縁年」に合わせた御朱印、22年はアロマの爽やかな香りで五感に訴える御朱印を頒布するなど、3寺社合同の活動を展開している。
今回鶴岡市へ贈った寄付金20万円は、アロマ御朱印の収益金の一部を充てた。贈呈式には出羽三山神社の宮野直生宮司、善寳寺の水口道雄住職、荘内神社の石原純一宮司など計6人が出席。3寺社を代表し宮野宮司が皆川治市長に寄付金を手渡した。
その後、宮野宮司が「参拝者の心のこもった浄財を支援に活用してほしい」、水口住職が「毎朝、災害からの早期復興を祈っている」、石原宮司が「3寺社が心を一つにして被災者を応援したい」とそれぞれあいさつ。皆川市長は「支援は本当にありがたい。週明けには県と市合同の対策会議を予定している。緊急対策工事の前に復興の全体像を確認したい」と謝辞を述べた。
2023年(令和5年) 2月26日(日)付紙面より
ツイート
バンド演奏 小物作り 保護ネコがお出迎え
酒田市の酒田駅前交流拠点施設「ミライニ」で22、23の両日、ネコに関するイベント「ニャンニャンフェスティバル」が開かれ、多くの人でにぎわいを見せた。
2月22日が「ニャンニャンニャン」と読めることから、愛猫家たちでつくる実行委員会が1987年に制定したのが「猫の日」。今年も翌23日の天皇誕生日にかけて全国各地でネコに関するイベントが開催された。ミライニでは今回、市内でイベント制作・運営などを手掛けるLab(小松祐規代表)とともに企画、冬の酒田を盛り上げた。22日は「ミュージックマルシェ」と題して、中央図書館をステージに演奏会が行われ、3バンドが出演。約120人の来場者が落ち着いた音楽に耳を傾けた。
23日は「ねこマルシェ」。地元クラフト作家らが手掛けた、ネコにちなんだグッズ販売のほか、絵付け体験やキーホルダー作りといったワークショップが行われ、多くの来場者が買い物や小物作りを楽しんだ。
市が制定する「酒田ものづくりアワード」を本年度受賞した加藤木工(北今町)の4代目・加藤渉さん(48)のブース内でネコケシの絵付けを体験した池田叶夢さん(7)=庄内町払田=は「ネコのこけしは初めて見た。かわいくて色付けも楽しい。完成したら玄関に飾りたい」と話した。
会場にはイヌ・ネコの保護活動を行っている庄内アニマル倶楽部(佐藤あゆみ代表)のブースも設置され、保護ネコ5匹がケージ内から来場者をお出迎え。佐藤代表は「公共施設の室内イベントで、保護ネコを連れて参加できる機会は今までなかったので本当にありがたい。祭りのポジティブな雰囲気が、保護ネコに同情的なイメージを持たずにシェルター見学や里親面接につながっていて、活動が周知される良いきっかけとなっている」と実感を述べた。
2023年(令和5年) 2月26日(日)付紙面より
ツイート
桃の節句の恒例イベント「酒田(ひな)街道」の開幕を前に、酒田市の本間美術館(田中章夫館長)では、「子どもたちの成長を祝う本間美術館のひな祭り」展が開かれている。
美術展覧会場では、鶴岡市の実業家・故斎藤昌二氏が収集した、京文化を代表する内裏びな、御所人形、金糸が使われた豪華な庄内押絵、地元の人形師が制作した、江戸後期の古今びななどで構成された「白巽(はくせん)文庫コレクション」を中心に展示。2階には旧庄内藩主・酒井家にあったとされる、からくり仕掛けの山車人形があり、来館者は大掛かりで豪華なつくりに関心を寄せていた。
清遠閣では酒田三十六人衆・白崎家に伝わる華やかな段飾りや京人形のほか、酒田市の林昌寺をはじめ、広く寄贈を受けた全国各地の人形なども並ぶ。
田中館長は「人形には親から子どもへの愛情、健やかに育つよう祈りが込められている。歴史的な価値とともに、そのような願いも感じてもらえたら」と話した。
展示は4月6日(木)まで。開館時間は午前9時から午後4時半まで(4月からは5時まで)。入館料は一般1000円、学生450円、中学生以下無料で、国指定名勝「鶴舞園(本間家別邸庭園)」と清遠閣も見ることができる。問い合わせは本間美術館=電0234(24)4311=へ。