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荘内日報ニュース


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2023年(令和5年) 3月11日(土)付紙面より

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スパイバー開発の素材使用 デニムジャケットとパンツ ゴールドウイン 受け付け始まる

 鶴岡市のバイオベンチャーのスパイバー(関山和秀代表執行役)が開発した構造タンパク質素材「ブリュード・プロテイン」を使ったデニムのジャケットとパンツが、スポーツ用品大手ゴールドウイン(東京)のオンラインストアで販売される。抽選による限定販売で、10日から受け付けを始めた。

 ブリュード・プロテインの繊維でデニム製品が作られるのは初めて。製品はブリュード・プロテインを4%使用し、残る96%がコットン。価格はジャケットが9万3500円、パンツが8万8000円。

 抽選受け付けは19日午前10時まで。23日から順次、抽選結果をメールで通知し、24日から製品を発送する。

スパイバーの「ブリュード・プロテイン」を使用したデニムのジャケットとパンツ(ゴールドウイン提供)
スパイバーの「ブリュード・プロテイン」を使用したデニムのジャケットとパンツ(ゴールドウイン提供)


2023年(令和5年) 3月11日(土)付紙面より

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旧県立鶴岡病院 解体費めぐり賛否割れる 鶴岡市議会

 鶴岡市が、同市高坂にある旧県立鶴岡病院の解体費用を県とともに負担し、跡地に市が人工芝サッカー場を整備する事業を巡り、市議会内の賛否が割れている。

 市は2023年度一般会計予算に事業に伴う解体経費を盛り込み、市議会3月定例会に提出した。8日の市議会予算特別委員会総務分科会では事業に充当する過疎債を巡り、予算案そのものが賛成少数で否決された。一方で当該事業を審議する9日の同委員会市民文教分科会では賛成多数で可決。両分科会の審議結果にねじれが出た。

 市と県は約13億円が見込まれる解体工事費を2分の1ずつ負担することで合意し、それぞれの予算案に関連費用を計上して議会に提案した。「そもそも県有施設の解体経費を、なぜ市が負担しなければならないのか」。事業に賛成の意向を示している鶴岡市議の間にも釈然としない思いは残ったままだ。

 旧県立鶴岡病院は、15年3月に県立こころの医療センターが同市北茅原町に開院したのに伴い閉院し、建物は解体されないまま県が管理してきた。放置された格好の建物に地元住民は不安を募らせ、市を通じて早期解体を要望してきた。

 管理する県病院事業局は、財政事情から単独での解体は困難と説明してきた。そうした中で本年度になって浮上したのが、病院の土地・建物を県が市に無償譲渡し、解体と跡地利用を市が主体となって進める事業の枠組み。これによって解体費にも過疎債(実質負担3割)が充当でき、財政負担軽減が図られる。前提となる跡地活用には、鶴岡地区サッカー協会から要望のあった人工芝サッカー場整備を充てた。市は「懸案事項を一体的に解決する現実的な判断」とする。

 事業に反対の市議は「早期解体を望む住民要望を県が放置してきたのが問題であり、解体は県の責任でやるべき」「財政事情が厳しいのは市も同じ」「解体ありきで跡地利用事業の熟度が低い」と主張。さらに市内には閉校した旧温海高校(鶴岡中央高温海校)、旧山添高校(鶴岡南高山添校)など県の遊休施設があり、今後の解体で同様に市の負担が発生するのではないかとの疑念も残り、「将来的な悪例になる」との声も上がる。

 賛成の市議は「早く解体してほしいという地元の思いと願いは切実だ。この機会を逃せば、実現は遠のく」「今や人工芝サッカーコートがないのは鶴岡市ぐらい。日々の練習で他市町に子どもを送迎している保護者の負担は大きい」との論だ。ただ、9日の予算特別委市民文教分科会で賛成討論した委員3人とも冒頭で「本来は県の責任で解体するのが筋」と述べ、討論を行った。委員の一人は「苦渋の決断」と強調した。

 「筋を曲げてまで」の決断を迫られている市議会内には、「鶴岡市だけでなく県当局の生の説明を聞くべき」とする意見もある。

 市の計画では23―26年度に病院解体、27年度中に人工芝サッカー場オープンの予定。サッカー場整備費は解体費とは別に現段階で約10億円を見込む。市の予算案は22日に全議員による予算特別委で採決される。

     (七森 剛)


2023年(令和5年) 3月11日(土)付紙面より

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東日本大震災から12年になった

 東日本大震災から11日で12年。干支(えと)が一回りする時を経たが、復興はまだ道半ば。まして東京電力福島第1原発事故で意に反して古里を追われた被災者の“心の復興”は、12年前で止まったままであろう。原発周辺自治体で帰還困難区域が徐々に解除されているが、復興庁の調べでは6割の人が帰還しないともいわれる。避難先で生活の根拠を築いたためだ。原発事故の罪深さである。

 警察庁のまとめによれば、確認された死者は1万5900人、行方不明者2523人、避難中の持病の悪化や自殺などによる震災関連死は3789人。今も沿岸各地で捜索活動が行われているが、不明者につながる情報の発見・入手は少なくなり、時の長さを感じさせている。

◇      ◇

 震災発生後、避難者を支えようと「絆」の言葉が語られた。その精神は「助け合いと支え合い」。絆の言葉は最近耳にする機会は少なくなったが、その精神は生きている。庄内町立余目中では2017年から、生徒が震災発生日と前日、犠牲者に慰霊を呼び掛けるメッセージを防災行政無線で放送している。同町と南三陸町は友好町。今年放送するメッセージは「震災を忘れず交流を続けて南三陸町とのつながりを大事にしていきたい」。思いを寄せ続けることが「絆」というものであろう。

 今年2月1日現在の庄内への避難者は▽福島県127人▽宮城県33人▽岩手県2人―の計162人。震災翌年の12年4月▽福島県625人▽宮城県139人―の計764人。当時に比べ避難者数は減ったが、福島県からの避難者が依然として多いのは、原発事故の被害を恐れているからにほかならない。

 原発が立地する双葉町では、約7000人が全町避難で一瞬のうちに生活を奪われ、受け入れ先を求めて全国各地に避難、役場機能も移転した。昨年8月に帰宅困難区域が解除されたが、戻った人は1%にも満たない。町は30年まで居住人口2000人を目指しているが現実はなかなか厳しいものがある。古里で再建を図るケースが多い、宮城県や岩手県の被災地とは対照的だ。

◇      ◇

 地震列島の日本では、太平洋側で想定される巨大地震で、日本海溝で19・9万人、千島海溝で10万人、南海トラフの巨大地震では最悪の死者は32万人を超えるとの想定だ。だが、対策を進めれば被害を減らせると指摘されている。

 庄内沖の日本海にも地震空白域があり、これとは別に遊佐町から鶴岡市藤島にかけての山沿いを走る「庄内平野東縁断層帯」での地震も想定されている。いつ襲ってくるか分からないのが地震。まず非常用の食料を用意しておくなど、自分でできる最小限の備えを心掛けたい。併せてハザードマップをしっかり覚えておくことも忘れてはならない。

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2023年(令和5年) 3月11日(土)付紙面より

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「挑戦」「感謝」大切に メッセージ 酒三中 齋藤選手デフリンピックなど体験談

 昨年5月にブラジルで開催された聴覚障害者による国際スポーツ大会「第24回夏季デフリンピック競技大会」の水泳競技に出場、女子100メートルバタフライで金メダルに輝いた齋藤京香選手(22)=酒田光陵高卒、山梨学院大スポーツ科学部4年=による講演会が9日、酒田市の第三中学校(小野寺茂義校長)で行われ、同校の生徒と近隣小学校の児童が聴講した。

 両耳が中度難聴の齋藤選手は、旧酒田聾学校(現酒田特別支援学校聴覚障がい教育部)に入学。小学1年から市内の水泳教室に通い、同校中学部3年の2015年、米国で開かれた世界ろう者水泳選手権400メートル自由形で4位に入り頭角を現した。大学はスポーツが盛んな山梨学院大学に進み、昨年5月3日(日本時間・同4日)のデフリンピック100メートルバタフライ決勝で自己ベストを0・10秒更新する1分06秒98を記録、金メダルを獲得した。この活躍で「酒田」の名を世界的に高めたとして市が制定する本年度「酒田ふるさと栄誉賞」を受賞した。

 この日は酒田三中3年、松原・亀ケ崎両小6年の計349人を前に「私が大切にしていること」と題し自身の体験談を交え講演。「中学の頃は難聴であることがコンプレックスだった」と話した上で、世界大会で同じ障害を持つ先輩や外国の選手たちと交流していくうちに自分の世界が広がり、自信につながっていったという。

 「水泳人生の中で一番記憶に残っている」と自ら話すデフリンピックで金メダルを取った瞬間の動画を鑑賞した後、「周囲から支えられていることへの感謝を忘れないでいたい」と述べ、「自分の好きなことや興味のあることにどんどん挑戦してほしい」とメッセージを送った。

 生徒たちは真剣な表情で聴講。酒田三中3年の五十嵐陽和さん(15)は「チャレンジすることで世界が広がることをあらためて感じた。進学しても感謝を忘れず多くのことに挑戦したい」と話した。齋藤選手は大学を卒業後、春から東京の一般企業とアスリート契約することが内定しており、今後は酒田を拠点に選手活動を続けていくという。

酒田三中で講演を行った齋藤選手
酒田三中で講演を行った齋藤選手


2023年(令和5年) 3月11日(土)付紙面より

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飾り菓子作り人気 酒田市家坂亭 小松さんの指導で体験

 江戸期から明治期にかけて北前船の往来で栄えた酒田の繁栄ぶりを今に伝える酒田市船場町一丁目の旧家を活用した「酒田湊旧廻船問屋『家坂亭』」で、飾り菓子制作体験が行われている。市内で開催中の「酒田雛(ひな)街道」に合わせ実施しているもので、その愛らしい作品に主として女性の人気を集めている。

 家坂邸は江戸期から明治期にかけ、北前船舟運で主に米と桐油(とよ)を扱った商家。初代徳兵衛翁は船乗りたちが使う、和紙に桐油を塗った今でいう雨がっぱの製造・販売などで財を得、その利益で京都から美術品を多く購入した。現存する邸宅は、1894年に発生した庄内大地震後、2代徳兵衛翁が建てたもので、1955年ごろから日本料理店として営業、70年ごろまでは結婚式場や貸席としても利用されたという。昨年11月に小松尚さん(70)=9代小松屋又三郎=が亭主となり観光施設としてオープン。施設内見学のほか茶話会などが開かれている。

 飾り菓子は両面木型と呼ばれる立体的な形に仕上がる木型を用い、片栗粉やでんぷんなどを樹脂粘土に混ぜて制作するもの。酒田まちづくり開発(同市、西村修社長)が2021年2月に復刻し、「箸枕」の名前で土産物として山居倉庫「酒田夢の倶楽」などで販売している。

 ひな飾り菓子制作体験は同市の老舗菓子店「小松屋」の店主だった小松さんの指導で実施。昨年に続き今年も人気があり、かわいらしい見た目から女性の体験者が多いという。4日に訪れた渡邉千佳さん(27)=山形市=は「酒田出身だが飾り菓子を知らず、地元の魅力を知ることができてうれしい。ぼかしや筆の使い方が難しかったが、楽しみながら作ることができた」と話した。

 飾り菓子の制作体験は水―土曜午前・午後の2回実施(要予約)、参加料は1500円(サンプル付)。家坂亭は建物内部も自由に見学可能で、開館時間は午前10時―午後4時。月・火曜休館。入場無料。問い合わせは小松さん=電090(6222)9007=へ。

ひな飾り菓子の制作を指導する小松さん(左)
ひな飾り菓子の制作を指導する小松さん(左)



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