2023年(令和5年) 3月2日(木)付紙面より
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映画上映機能付き交流スペースとして再オープンする鶴岡市山王町の鶴岡まちなかキネマについて、運営する山王まちづくり(三浦新社長)は1日、25日(土)のオープン時などの上映作品を発表した。再オープンを飾るのは、同市出身の冨樫森監督の作品「息ができない」のほか「土を喰らう十二ヵ月」「戦場のメリークリスマス」、ドキュメンタリーの「オードリー・ヘプバーン」など5、6作品。鑑賞券は窓口で販売するほか、原則として上映日の3日前からオンラインで座席予約を受け付ける予定。
鶴岡では約3年ぶりに再び“映画の灯”がともる。25日は午前9時にオープニングセレモニーを行う。冨樫監督の「息ができない」は鶴岡市内などでロケした作品で、主演の白木孝宜さんとヒロインの村上真衣さんが上映に合わせ今月中旬から3週間ほど鶴岡に住んで街を歩き、各所を巡るなどして地元の人々と触れ合う。その様子を作品上映後にスクリーンに流すほか、出会った人々を迎えてトークを行うなど、同作品の映画チームがまちキネ再オープンを盛り上げる計画もある。
一つの作品は1―3週間単位で上映し、毎週火曜休館。上映作品に関する情報はまちキネのホームページや公式SNSで発信する。鑑賞料金は通常が一般1700円、3歳以上から高校生が1000円。60歳以上のシニア割引なども設定するほか、年会費5000円で一般は1作品1000円で鑑賞できる「サポーター会員」なども取り入れる。
三浦社長(72)らが1日、まちキネで記者会見し、現時点で情報公開可能な作品として当面の上映ラインアップなどを発表。併せて俳優の井浦新さんがまちキネのトラス構造をモチーフにデザインした新しいロゴマークをお披露目した。三浦社長は「県外からの応援を含め多くの人々の思いが集まり、3年ぶりに再オープンする。多様なジャンルの良質な映画、見応えのある作品を上映していき、再び閉館することのないように運営に努めたい」と話した。
旧まちキネは2020年5月に閉館。その後、鶴岡市社会福祉協議会が事務局移転のため土地と建物を取得。市の補助を受けるなどして改修し、一部の上映機能を生かした交流スペースを「新まちキネ」として活用することになった。新まちキネは客席が80と40の2つのスクリーンを活用するミニシアターとして運営する。
2023年(令和5年) 3月2日(木)付紙面より
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城下町鶴岡に春の訪れを告げる致道博物館(酒井忠久館長)の「鶴岡雛(ひな)物語」が1日、同館御隠殿で始まった。
1995年から開催し、今回で29回目。旧庄内藩主酒井家の優美な有職(ゆうそく)雛や市内の6旧家から新しく寄贈・寄託された内裏雛など合わせて約20組のほか、酒井家に輿入れした田安徳川家や旧熊本藩細川家の姫君が持参した雛道具、鶴岡市内の菓子店の雛菓子などを公開している。
新収蔵の人形は、御隠殿入り口から座敷に続く通路にずらりと展示。このうち同館で65年ぶりの公開となった三井弥惣右衛門家(泉町)の段飾りには享保雛や立ち雛など江戸時代後期のお雛さま。このほか雅楽を演奏する五人囃子(ばやし)や鶴岡瓦人形や六歌仙なども飾られ、訪れた人は学芸員の解説に耳を傾けながら華やかな雛人形や雛飾りに見入っていた。
2023年(令和5年) 3月2日(木)付紙面より
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幼保連携型認定こども園城南幼保園(本田淳園長、園児114人)の園児が28日、鶴岡市の庄内藩校致道館で庄内論語の素読に挑戦した。
豊かな人間性を学ぶ庄内論語に触れようと、毎年行われている。この日は今春小学校に入学する年長児21人が参加。旧藩校致道館統括文化財保護指導員の富樫恒文さんの指導で、独特のリズム感がある庄内論語の読み方と意味を習った。
園児たちは「子曰(しのたまわ)く。故を温して而(しこう)して新を知る。以(もっ)て師為(た)るべし」=以前勉強したことを復習して新しいことを身に付けること、「子曰く。己が欲せざる所人に施すこと勿(なか)れ」=自分がしてほしくないことは他の人にもしてはいけない=と声を出して読み上げた。
富樫さんは「小学校に入学したら自分の好きな論語を見つけてほしい。将来、悩み事ができたときに思い出して少しでも解決の指針となればうれしい」と話していた。
2023年(令和5年) 3月2日(木)付紙面より
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警察署員が特殊詐欺犯になりすまして市民に電話をかける鶴岡警察署(高山浩喜署長)の体験型「疑似アポ電話対応訓練」が28日、鶴岡市の家中新町とみどり町の民家で行われた。
特殊詐欺に気を付けてもらおうと同署地域課の若手署員3人が考えた。全国では初の試みという。アポ電話は「5年間で3万7000円の医療費が還付される」という実際にあったうそ電話を想定した。
交番の署員が巡回連絡先の住宅で特殊詐欺の注意喚起と訓練の実施を打診。みどり町の瀬尾忠衛さん(82)方では、犯人になりすました地域課の署員が瀬尾さん方の固定電話に「厚生労働省で医療費の見直しが行われ、お支払いいただいた医療費の一部が戻ってきます」「申し込みの期限は今日が最終日。今日中に手続きしないと医療費の還付金が受け取れなくなります」「受け取るためには金融機関のATMで手続きが必要」と全くうその電話をかけた。
これに対して瀬尾さんは「市役所に行って直接確認する」「あなたが指定する金融機関の口座は持っていない」と言葉巧みにだまそうとする署員を封じ込めた。
署員は「うそ電話に対する対応は良かったと思う。振り込みを誘う電話は100%詐欺と認識してもいい」と防犯指導を行った。
瀬尾さんは「いくら訓練とはいえ、とてもリアルだった。だまされてしまう人の気持ちが理解できる。地域全体で詐欺に対する意識を高めるためにこうした訓練は今後も続けてほしい」と感想を語った。
同署では「『払い戻し』『還付金』『ATM』という言葉が出たときは特殊詐欺の可能性が高い。手口を知っていたとしても、犯人の巧みな話術で冷静さを失い、だまされるケースもある。こうした手口の電話がかかってきた場合は受話器を切り、警察に通報してほしい」と呼び掛けている。
2023年(令和5年) 3月2日(木)付紙面より
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庄内町の特産品(加工食品)開発「メイドイン庄内町プロジェクト」の成果報告会が28日、町商工会で行われ、加工食品開発に取り組んできた4団体・個人が新商品やブラッシュアップした商品を発表した。
同プロジェクトは、町新産業創造協議会(阿部武敏会長)が主催。新たな庄内町の特産品開発を進め商品化を目指すもので、今年で3回目。これまでに町立谷沢川流域活性化センター・タチラボを利用している女性グループ「タチラボレディース」が、シソの実を柔らかく煮込んで甘辛く味付けした「みーばぁのしその実つくだ煮」などが商品化され、町新産業創造館クラッセなどで販売されている。
現在は地元生産者グループなど4団体・個人が、ブランディング、試作など同協議会のサポートを受けながら商品開発に取り組んでいる。
この日は、▽JAあまるめの女性部メンバーら4人で組織する「土の子グループ」(今井ちや子代表)の町産サツマイモを使用した干し芋「いもこちゃん」▽郷土料理のレトルト食品を開発・販売する庄内美人研究所従業員、阿部尚子さん(67)の濃厚でねっとりとした味わいのズイキイモを使った「ずぎ芋きんとん」▽和びすとろMARCO経営の土屋恵さん(38)の同町産米粉を使い、ニンジンやサツマイモなどの野菜を練り込んだ子どもも食べやすい焼き菓子「かんでりんぐ」▽町地域おこし協力隊地域ブランド推進員・瀬尾淳太さん(25)の塩味ベースで、鶏肉や立谷沢地区のシイタケや長ネギをふんだんに使った「第三の芋煮」の4品の開発や製法などを見直したブラッシュアップ状況などが発表された。
来場者は商品を試食しながら、発表者の製造の苦労話などに耳を傾けていた。現在開発中の商品は今後、加工の質の向上などを進め、準備ができたものから販売が開始される予定。