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荘内日報ニュース


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2023年(令和5年) 3月29日(水)付紙面より

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山形在来作物研究会が文化庁認定 食文化「知の活用」振興優良事例

“在来品種は生きた文化財”伝承
保存の必要性や地域振興への取り組み評価

 在来作物の存在を広めた山形在来作物研究会(会長・江頭宏昌(ひろあき)山形大学農学部教授)が、文化庁の「食文化『知の活用』振興優良事例」の認定を受けた。長年、藤沢カブといった在来作物にスポットライトを当て保存の必要性や地域振興に取り組んできたことが高く評価された。研究会は今月末で20年の活動に終止符を打つ。会長としてけん引してきた江頭教授(58)は「栽培農家の高齢化と後継者問題など課題は山積しているが『在来作物を多くの人に知ってもらおう』という一つの目的は達成したと思う。(認定を受けて)素直にうれしい。お世話になった生産者や会報冊子の作成に携わった多くの人たちに感謝したい」と語った。

鶴岡の暮らしに根付き海外へも波及

 研究会は2003年に発足した。「在来品種は生きた文化財。後世に守り伝えなければならない」―。山形大学農学部に園芸学教員として在籍(1950―76年)した在来品種の先駆者・青葉高氏の言葉に触発された江頭教授が「在来作物の大切さを今一度見つめ直したい。研究者だけでなく地域に開かれたグループを」と3年の準備期間を経て立ち上げた。

 活動の柱は会報「SEED」の発行とフォーラムの開催。年に1回発行したSEEDは創刊号から20号を数えた。第1回フォーラムには県内のほか、北海道や九州の全国から合わせて約200人が集まり、関心の高さを示した。

 2014年に鶴岡市が国内初のユネスコ食文化創造都市に認定されたが、その理由の一つに「多品種の在来作物の食文化が鶴岡の暮らしに根付いている」ことが大きなポイントとなった。飲食店の店主も在来野菜に注目し多彩なメニューを提供するようになったほか、在来品種を取り上げたドキュメンタリー映画「よみがえりのレシピ」が国内とイタリア、アメリカ、中国で上映された。

 こうした社会への波及効果が評価され、文化庁の認定につながった。今回、認定されたのは山形在来作物研究会を含めて全国で25件。今月18日に東京で認定の表彰式が行われた。

 江頭教授は「20年の活動を通して在来種の大切さの道筋はつけたかな、と思う。在来作物に限らず農業全般において温暖化による気候変動が脅威となっている。中でも温海カブは焼き畑を終えた後、大雨の被害を受けてカブが大きく育たない傾向が見られる。どう対応し、守り育てていくかが今後の大きな課題」と話した。

研究会の会報「SEED」の創刊号と昨年の発行で最終号となった20号を持つ会長の江頭教授
研究会の会報「SEED」の創刊号と昨年の発行で最終号となった20号を持つ会長の江頭教授


2023年(令和5年) 3月29日(水)付紙面より

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鶴岡の桜「開花宣言」近し!! 公園の夜を演出花見ぼんぼり設置始まる

 鶴岡市の桜の名所・鶴岡公園で28日、夜桜を演出する花見ぼんぼりの設置が始まった。市によると「天候次第だが、早ければ29日から30日にかけて開花宣言となりそうだ」という。同市内の市街地にある民家からも「桜が咲き始めた」という声が聞こえてくる。

 ぼんぼりは鶴岡商工会議所が地元企業の協賛で桜の開花期に合わせ毎年設置している。今年は協賛企業名や「桜まつり」などの文字が入ったぼんぼりに高さ約3メートルの支柱を組み合わせ、計154基を設置する。

 28日午前中は温かな日差しが降り注ぐ中、鶴岡南高校向かいの堀端で、委託を受けた市内の建設会社の作業員など5人が作業を開始。ぼんぼりと支柱をくぎやワイヤで固定し、1本ずつ穴に差してぼんぼりを立てていた。作業員の1人は「つぼみがだいぶ膨らんできた。開花まで全てのぼんぼりを設置できるか心配」と話していた。

 設置作業は29日まで行われ、点灯は31日(金)ごろを予定している。点灯時間は午後5時半から同9時まで。市都市計画課公園緑地係によると、このところの好天で気温の上昇に伴い、公園内の桜は順調につぼみが膨らんでおり、「天候次第では29日の開花宣言もありそうだ」という。

鶴岡公園の堀端で花見ぼんぼりの設置が進められている
鶴岡公園の堀端で花見ぼんぼりの設置が進められている


2023年(令和5年) 3月29日(水)付紙面より

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統一地方選の告示が迫ってきた

 統一地方選挙の前半となる県議選が31日告示(4月9日投開票)される。後半の市町村長や同議員選がない庄内では、県議選だけが行われる。統一地方選は1947年4月、憲法施行を前に全国の首長・議員選挙が一斉に行われたのが始まり。その後は市町村合併で統一選から外れる自治体が増え、庄内は平成の合併後、県議選だけになった。

 県議選は、鶴岡市区が定数5に対して6人(現職3、新人3)、酒田・飽海郡区は同5に対し7人(現職3、前職1、新人3)が立候補を予定している。東田川郡区(定数1)は、4期連続で無投票の公算が大きい。仮にそうなれば、有権者は議員の政策を聞き、評価することができない。残念なことである。

◇      ◇

 地方議員のなり手不足が問題視されている。県議選全体を見ても17選挙区の定数43に対し、9選挙区13人が無投票の公算が大きい。5割を超す選挙区で無投票となるのは、正常の選挙とは思えない。無投票は必ずしも全幅の信頼によるものではないと思われるし、もしかしたら無関心の裏返しかもしれない。政治の劣化につながるのではないかと気掛かりになる。

 庄内の課題である。県は新年度から東北公益文科大の公立化・機能強化に向けた検討などを行う「高等教育政策・学事文書課」を新設した。さらに副知事をトップに、庄内総合支庁長ら関係各部の5人の部長らを、洋上風力推進監に充てて整備を進める。県の本気度が見えてきたということになれば、それを後押しするのも県議の務めということになる。

 国政に限らず、県政の課題の柱は少子化対策。県全体では今年1月の1カ月間で1277人が減り、このうち庄内5市町では338人の減少。出生を死亡が上回る自然動態による減少が大きい。ただ鶴岡、酒田両市の社会動態では、ともに転入が各2件上回っている。新型コロナの影響などで地方に移住する動きもあるという。社会動態増加の背景を探り、移住者を増やしていくのも大事だ。

◇      ◇

 コロナ禍も収束に向かっている。訪日客の水際対策も緩和され、4月に待望の外航クルーズ船が酒田港に入港する。観光庁は今後3年間で取り組む第4次観光立国推進基本計画案で(1)持続可能な観光(2)消費拡大(3)地方誘客促進―を掲げた。「自然と文化が両立する観光」に重点を置くとされ、庄内の自然と文化を生かしての誘客のチャンスだ。

 県議選の投票率は前回は全県で54・32%。2007年の65・22%に比べ大幅に低い。この時、現職2氏が1議席を争った庄内町は77・32%と高率だった。合併で議席減になったこともあり、有権者は政策に耳を傾けることができたのは、本来の選挙の姿というべきものであろう。全県17選挙区中、9選挙区で無投票の公算大は、人材不足か、それとも無関心の表れだろうか。

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2023年(令和5年) 3月29日(水)付紙面より

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「そろばん庄内一」目指して 酒田で競技大会

 庄内地域の珠算指導者でつくる庄内珠算振興会(芳賀誠一会長)の「第49回庄内珠算競技大会」(荘内日報社など後援)が26日、酒田市琢成学区コミュニティ防災センターで開かれ、珠算教室で学ぶ小・中学生が「そろばん庄内一」を目指し、真剣な表情で問題に取り組んだ。

 1972年から続く伝統の大会。今年は小学2年から中学3年まで67人が出場、個人・団体(かけ算、わり算、みとり暗算、かけわり暗算、みとり算)、種目別(フラッシュ暗算、読み上げ算)で日頃の練習の成果を競った。

 開会式で芳賀会長は「ワールド・ベースボール・クラシックで日本は、他国よりも1点でも多く取ったから世界一になった。そろばんも同じで、1点でも多く取れば勝ち。満点、庄内一を目指してほしい」とあいさつ。競技が始まると、出場者たちは真剣な表情で問題用紙を見つめ、パチパチとそろばんを弾いていた。

 競技委員長を務める佐藤真由美・酒田総合学園長は「コロナ禍の影響で大会の中止・オンライン開催が相次いだが、ようやく対面でできるようになった。子どもたちのモチベーションを維持するため、大会を継続したい」と話した。

「庄内一」を目指し問題に取り組む出場者たち
「庄内一」を目指し問題に取り組む出場者たち


2023年(令和5年) 3月29日(水)付紙面より

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ボリューム満点でおもてなし 酒田光陵生「傘福で満福」イベント メニュー考案 調理や接客

 酒田光陵高校(藤田雅彦校長)のビジネス流通科で学ぶ1、2年生有志が企画した飲食イベント「傘福で満福。」が25、26の両日、酒田市幸町一丁目の光の湊内のレストラン「月のみち」で開かれ、市民らが生徒考案のランチメニューに舌鼓を打った。

 自ら仕入れた農産物や菓子類などの販売を行い、食品ロス削減や地域活性化を図る同科の活動「maraマルシェ」の一環。市内全域で開催している「酒田雛(ひな)街道」を盛り上げようと、玉谷製麺所(西川町、玉谷隆治社長)が開発した傘福をモチーフにしたショートパスタ「かさね福」を用い、同レストランの協力で飲食イベントを企画した。

 共に活動する機会が多い「さかた男塾」(同市、齋藤健太郎代表)が提供した野菜類を活用し、メニューとして▽菜の花が映えるカルボナーラ「カルボひなーら」▽サツマイモとチーズの相性が抜群の「ぷくぷく満福。リゾット」▽パリっと食感で食事を楽しむ「春のパリこれ!皿うどん」―の3種を用意。レストランスタッフの指導で原価率や値段設定、利益率の計算など店舗運営の一端に触れたほか、今月16日にプレイベントを開いて本番に備えた。

 両日とも生徒約20人が参加し接客や調理、洗い場などを分担。午前11時のオープンとともに市民らが次々と訪れ、「具だくさんでおいしい」と話しながらボリューム満点のランチを堪能していた。リーダーを務めた2年の池田優芽さん(17)は「企画思案中は原価計算が大変だった。イベント中はみんなで協力し、隅々まで気配りできるよう視野を広く持つことを心掛けた」と話した。

ライブキッチンで調理を行う光陵高生
ライブキッチンで調理を行う光陵高生

鮮やかな「かさね福」を使ったランチを提供
鮮やかな「かさね福」を使ったランチを提供



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