2023年(令和5年) 3月3日(金)付紙面より
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任期満了に伴い統一地方選で行われる県議選は31日の告示(4月9日投開票)まで1カ月を切った。庄内地域の鶴岡市区(定数5)、酒田市・飽海郡区(同5)、東田川郡区(同1)の3選挙区に立候補を予定するのは、現職7人、前職1人、新人6人の計14人。選挙戦の構図はほぼ固まり、鶴岡市区は定数を1人上回る6人、酒田市・飽海郡区は2人超過の7人の争いが見込まれ、東田川郡区は現職のみの立候補で4回連続の無投票の可能性が出ている。庄内3選挙区の状況を追った。 (文中敬称略)
現職3人に3新人挑む 鶴岡市区
【鶴岡市区】
鶴岡市区は共産の関徹、ともに無所属で県議会県政クラブ所属の今野美奈子、高橋淳の現職3人に、いずれも自民新人の前市議の石塚慶、前市職員の佐藤正胤、前市議の菅原一浩の3新人が挑む構図となっている。
2019年の前回も現職3人と新人3人の計6人で1人超過の争いが繰り広げられ、自民新人がはじき出された形となった。前回、自民公認で当選した議長経験のある志田英紀(72)=同市家中新町、7期目=が勇退し、同じく自民公認で2選を果たした佐藤聡は任期途中で辞職して市長選に出馬。前回戦で自民の現職と新人の計3人が得票した約3万票の行方が、今回の選挙戦の一つの焦点となる。前回当選者5人の得票は1万2100―7900票台だった。
自民は現職候補が不在となる今回の選挙戦で、前々回の15年まで続いた「自民3議席」の奪還を期す。新人3人はいずれも昨年12月に出馬を表明。海岸・郊外部、旧町村部、市街地とそれぞれの地元の地域的なバランスが結果的に図られた形ともなり、加藤鮎子衆院議員が前面に立って3人を支援する。
共産は議席死守に向け、早い段階から地盤固めに動いている。連合山形の推薦を得た無所属の現職2人には、舟山康江、芳賀道也の両参院議員、皆川治鶴岡市長が支援に回る。
関は地域ごとにミニ集会を重ね、2期8年の実績を訴える。市長選で支援した皆川市長の支持層の取り込みも期す。19日には決起集会と位置付ける党の演説会を開き、笠井亮衆院議員(比例東京)が来援。24日に事務所開きを予定する。
今野は元中学校教諭で市議2期の経歴を持ち、県教組や平和センターの支援を受け再選を期す。2月26日に行った事務所開きには皆川市長の後援会幹部も訪れた。11日に決起集会を構え、支持固めとともに女性層への働き掛けを強める。
高橋は元JA庄内たがわ職員で、地盤の藤島をはじめ旧町村部や市全域の農業者への浸透で再選を目指す。連合山形の労組への働き掛けも強める。2月1日に事務所開きを行った。24日に決起集会を開き、選挙戦へ弾みをつける。
石塚は三瀬地区自治会事務局長を経て市議2期の経歴を持つ。地盤の豊浦地区を足場に支持拡大を図り、40代の若さを前面に打ち出し若者層への働き掛けを強める。2月25日に事務所開きを行い、21日に決起集会を構える。
佐藤は旧櫛引町、鶴岡市の職員を務め、昨年12月に商工観光部長を辞職し、出馬表明。県議会副議長などを歴任した父・佐藤正光元県議の支援者が核となって初陣の選対を固める。2月25日に事務開きを行い、25日に決起集会を予定する。
菅原は鶴岡商工会議所専務理事を経て市議3期を務め、昨年12月まで市議会議長を担った。鶴岡青年会議所理事長も経験しており、商工業者を中心に支持の広がりを期す。2月25日に事務所開きを行い、20日に決起集会を予定する。
2023年(令和5年) 3月3日(金)付紙面より
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庄内町の亀ノ尾の里資料館で、ぬくもりが伝わる鵜渡川原(うどがわら)人形など土人形の展示が行われている。
同館では庄内町をはじめ、鶴岡市や酒田市などから人形の寄贈があり、毎年この時期に展示している。
今回は牛若丸や弁慶、七福神など歴史上の人物などをテーマにした鵜渡川原人形や酒田市広田地区(現在の錦町周辺)に伝えられていた広田人形、江戸時代から秋田市八橋(やばせ)地区に伝わる土人形で京都伏見から来た人形師が絵付けしたのが始まりといわれる八橋人形、かわいらしいウサギの干支(えと)人形など計1500体を展示。会場には表情豊かな人形がずらりと並び、訪れた人たちを楽しませていた。
別室には庄内町の旧家である八木家や黒沼家、大地主であった奥山家や石川家に伝わる古今雛など5組が展示され、かつての栄華を今に伝えている。展示は来月9日(日)まで。
2023年(令和5年) 3月3日(金)付紙面より
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酒田市の3月定例市議会は1日、本会議を開き、佐藤猛(新政会)、後藤泉(市民の会)、佐藤弘(市政研究会)、市村浩一(令和会)、後藤仁(志友会)、市原栄子(共産党市議団)の6議員が代表質疑した。
議論が進む東北公益文科大学の公立化の状況について丸山至市長は「昨年11月に平山雅之副知事と庄内2市3町の首長による意見交換が初めて行われ、平山副知事は具体的な議論と検討を進めるといった内容の考えを示した。公益大は現在、第3次教学中期計画に基づき2025年4月の『国際コミュニケーション学科』(仮称)設置に向けて準備が進む。さらなる機能強化については26年度からの第4次計画に位置づけられるため一定程度、期間を有すると思う。18歳人口の減少に伴って地方の私立文系大学の学生確保は厳しさを増し、大学の存続に危機感を持っており、存続のための手段として公立化を急ぐべきと考えている。県に対して新学科設置に合わせた公立化をと申し上げているが、明確な方針・ロードマップは示されていない。新年度に予算措置していただいたことは感謝したい」と述べた。
2023年(令和5年) 3月3日(金)付紙面より
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庄内の多くの高校で1日、卒業式が行われた。新型コロナの制約を受けながら目標に向かって努力を重ねた卒業生が学びやを巣立った。
卒業生は入学して間もなく緊急事態宣言が出され、思うように部活動ができなくなるなどの制限を受けた。地区大会が中止になったり修学旅行先も海外から国内に変更された高校もあった。校内では消毒の励行やマスク生活が続いたが、クラスメートと支え合ってきた。
このうち鶴岡市の鶴岡南高校(遠田達浩校長)の式典には卒業生(182人)のほか教諭や保護者ら関係者合わせて約500人が出席。多くの卒業生がマスクなしで式に臨んだ。
遠田校長がクラス代表の生徒に卒業証書を手渡し「休校が多かったり部活や学校行事が制限され悔しい思いをした人も多かったと思う。そうした中でもたゆまぬ努力を重ね、心身ともに成長した皆さんは本校の誇りです。学校生活で身に付けた力をこれからの人生に生かしてください」と祝辞を述べた。
卒業生代表の木戸武尊さん(18)は「私たちの3年間はイレギュラーばかりだったが、コロナ禍は多くの変化に対応する力を身に付ける機会を与えてくれた。皆さんの激励と言葉を胸に刻み、未来に向かって歩みます」と答辞した。
在校生の渡部奏仁さん(2年)は「先輩たちが築いた伝統を『致道館高校』へ引き継いでいけるよう努力したい」と語った。
式を終えた卒業生の佐藤咲月さん(18)は「マスク生活などつらいこともあったが、それ以上に楽しいことが多い3年間だった。笑顔で卒業できて心からうれしく思う」、後藤遥都さん(18)は「コロナの中でも私個人としては積極的に学校行事に取り組むことができたと思う。教師になる夢をかなえるため今以上に勉学に励みたい」と話していた。
2023年(令和5年) 3月3日(金)付紙面より
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国の特別天然記念物に指定されている羽黒山杉並木の保全に役立ててもらおう―。鶴岡市の羽黒高校(加藤和司校長)の生徒が1日、クラウドファンディング(CF)で集めた102万5280円を出羽三山神社(宮野直生宮司)に寄贈した。
地域の特性や課題について学ぶ「探究学習」の中で3年生の男女12人が「大切な遺産を守ろう」と昨年春から杉並木を管理する出羽三山神社・森林技師の鈴木栄作さん(68)を講師に学習を進めてきた。11月から今年1月までの間、CFを活用して支援を求めたところ、目標額の100万円を上回る115万2000円が集まった。
この日、羽黒山頂の合祭殿で行われた贈呈式では生徒を代表して佐藤翼さん(18)=酒田東部中出身=が宮野宮司にCFの利用手数料と税金を除いた金額の目録を手渡した。
佐藤さんは「最初は集まるかどうか不安だったが目標額に達することができた。多くの人たちの温かな心に感謝したい。杉並木の保全や環境整備に利用してもらえればうれしい」と話した。
宮野宮司は「こうして羽黒高校の生徒の皆さんから杉並木の保全に向けて真剣に考え、取り組んでいただき感謝の念に堪えない。大切に使う」とお礼の言葉を述べた。
フィールド学習で生徒たちは、スギを植林して約400年が経過し老木化が進んでいる現状や、参道の杉並木に重機が入れないため枯れたスギ1本を伐採処理するのに約25万円の費用がかかることを学んだ。
今後はCFの支援者の名前を随神門近くに掲示するほか、協力してくれた人たちに活動報告や感謝のメールを送る。