2023年(令和5年) 3月30日(木)付紙面より
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鶴岡、酒田、庄内の3市町の水道事業を統合し広域水道企業団の設立を目指す「庄内広域水道事業統合準備協議会」の設立総会が28日、酒田市役所で開かれた。3市町の水道事業を水平統合した企業団による事業を2026年度から開始する方針を示し、将来的には県企業局が運営する庄内広域水道用水供給事業との垂直統合を目指すとする事業計画案を承認した。
人口減少などにより水道事業を取り巻く経営環境悪化が予測されることから国が広域連携を主導。3市町でも16年から統合を模索していた。こうした動きを受け、県は今月「水道広域化推進プラン」を策定し、4圏域別の方向性を示した。このうち、庄内圏域は「2市1町での統合の基本方針や課題などを整理した後、広域水道企業団を設立し水平統合。最終的には設立した企業団を経営主体とした垂直統合を目指し、全体の発展的広域化を推進する」など明記している。
推進プランなどによると、庄内圏域は人口減少に伴い、水量が17年比で、45年には約38%減少、施設や水道管など設備更新費用は28年間で約1234億円と試算。施設統廃合や組織統合などによる業務効率化を進めた事業統合の経済効果(国交付金を含む)は、25―55年度で水平統合では約254億円、水平垂直統合では約273億円の削減が見込まれている。
この日は、皆川治鶴岡市長、丸山至酒田市長、富樫透庄内町長のほか行政関係者らが出席。議事では皆川市長を会長、丸山市長を副会長とする役員選出のほか、規約案、同協議会の提案事項を協議・調整する幹事会を月1回程度開催することや広域化のロードマップを含めた事業計画案などを申し合わせた。
皆川会長は「水の供給コストを抑えるため、2市1町が連携し、26年4月の事業開始を目指す。その後は県との垂直統合を視野に取り組みを進めていく。安全安心の水を届けるため、今日をスタートにしっかり準備を進めていきたい」などと話した。
同協議会では、23年度に広域化の基本計画となる「水道基盤強化計画」を策定。24年度には基本協定締結、25年度に企業団設置や認可申請を行い、翌26年度から事業開始を目指す方針。
2023年(令和5年) 3月30日(木)付紙面より
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山形銀行(本店・山形市)は28日、長谷川吉茂頭取(73)が代表権を持つ会長に就き、後任として佐藤英司専務(58)が頭取に昇格する人事を発表した。代表権は長谷川、佐藤の両氏と三浦新一郎専務(51)の3氏が持つ。6月23日の株主総会後の取締役会で正式に決定する。同行の頭取交代は18年ぶり。
山形市内で開かれた記者会見で長谷川氏は「地方銀行の経営環境は大きく変化し、柔軟な新しい発想が求められる。こうした変化に対応するために経営トップの若返りを図る。リーマンショック以上に厳しい時代だが、今後は会長として新頭取を支えていく」と述べ、「当行のテーマは『挑戦がやまがたを強くする』。現在は変化の時代で社会はコロナ前に戻らない。この状況を好機に変えられるよう挑戦してもらいたい」と新頭取への期待を語った。
佐藤氏は「身の引き締まる思い。フットワークを生かして顧客との接点を今まで以上に増やし、最も頼られる銀行になる。地方創生や人材育成の強化にも努めていきたい」と話した。
同行では創業家の三浦、長谷川の両家出身者が交互に頭取へ就任する人事が慣例となっている。両家出身者以外の新頭取就任は、佐藤氏が戦後2人目となる。これについて長谷川氏は「今は世襲の時代ではない。県の未来と発展のため能力を発揮できる人を選んだ」と話した。
長谷川氏は山形市出身。東京大学経済学部卒。住友銀行(現三井住友銀行)勤務を経て、1985年に山形銀行へ入行。常務取締役や代表取締役専務などを経て2005年に頭取へ就任した。
佐藤氏は山形市出身。中央大学経済学部卒業後、1987年に山形銀行入行。酒田支店法人営業部長や営業支援部長、常務取締役などを歴任した。2022年から現職。
2023年(令和5年) 3月30日(木)付紙面より
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今年のこどもの日は「日本国」へ家族みんなで登山ハイキング―。やまがた百名山に選定されている山形、新潟県境にまたがる日本国(標高555メートル)。山形県側の登山口となっている鶴岡市の小名部地区住民でつくる実行委員会が今年の「令和5年5月5日」の標高と同じ5が3つ並ぶ「こどもの日」に、登山イベント「日本国555フェスタ」を企画している。今月31日まで先着300人の参加者を募集中だ。
なぜ山の名前が日本国(にほんこく、にほんごく)なのか。古代に大和朝廷の支配地域の最北端として「ここまでを日本国」としたとの説や、その昔、この山で捕れたタカを献上された将軍が喜び、山を「日本国」と名付けるよう命じたなど、由来は諸説ある。日本海に近く、昔から漁師が船を帰港させる際の目印にしてきた山でもある。
日本国555フェスタは、平成5(1993)年5月5日以来30年ぶりに開催する。小名部地区にある登山口「中の俣口」から新緑に包まれた2キロほどの登山道を1時半ほどかけて歩く。下山後には、地元産の筍(たけのこ)やナメコの缶詰、ハムやベーコン、採れたての山菜などの販売のほか、ヤマザクラの記念植樹、クイズ大会も予定している。
参加費は1500円。昼食代、保険料、記念品代込み。未就学児は無料。当日は小名部公民館で午前8時に受け付け開始、同9時に開会式を行い登山開始。下山後に昼食が配布され、午後2時半に閉会式の日程。初心者でも参加できる。途中傾斜が急なところがあるため、登山靴での参加を呼び掛けている。山頂には休憩舎や記帳場、広場なとが整備されており、展望台からは日本海の粟島や佐渡島、鳥海山、月山や朝日連峰を見渡すことができる。当日は新潟県村上市の小俣地区でも恒例の山開き祭がある。
小名部の日本国555フェスタへの参加は、あつみ観光協会ホームページの専用フォームで申し込む。
問い合わせは同協会=電0235(43)3547=へ。
2023年(令和5年) 3月30日(木)付紙面より
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「盲目の津軽三味線奏者」として知られる初代高橋竹山(ちくざん)の音色を引き継ぐ「津軽三味線 竹穂の会」(梅津志保代表)によるコンサートが25日夕、酒田市の酒田駅前交流拠点施設「ミライニ」内のエンガワラウンジで開かれ、勇壮な津軽三味線の演奏が館内に響いた。
市民や観光で訪れた人に楽しんでもらえる場を提供しようと、昨年7月以降から毎月末土曜日に開催している「光の湊イブニングコンサート」の一環。同会は竹山流師範の梅津代表(師範名・竹穂)の指導で市内在住の愛好者が日々稽古を重ねている。今回は梅津代表を含め13人が日頃の練習成果を披露した。
会場に用意された席は満席となり、立ち見や2階からの観覧者も。黒うさP「千本桜」や民謡「津軽じょんがら節」など演奏し、来館者は力強い演奏に聴き入った。フィナーレは「花笠音頭」。観覧者から手拍子が上がり、和やかな雰囲気で終了した。梅津代表は「半分以上の演奏者が人前での演奏が初めてだった。コロナ禍で演奏披露する機会も減り、練習の目標となるような今回のコンサートは良い機会になった」と話した。
2023年(令和5年) 3月30日(木)付紙面より
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自然や動植物をシンプル・明瞭に表現した画家・故熊谷守一(1880―1977年)の作品を一堂に集めた作品展「熊谷守一いのちを描く」が酒田市美術館で開かれ、市民らの目を楽しませている。
熊谷は岐阜県付知(つけち)村(現・中津川市)生まれ。父との約束で17歳の時に上京し慶應義塾に編入学。その後、東京美術学校(現・東京藝術大学)で洋画を学び首席で卒業した。長らく画家活動を休止していた時期を経て、文展、二科展など全国規模公募展に出展。無所属となった晩年は孤高の画家として作品を発表した。光の細かな表現は廃し、輪郭線を印象的に描く独自の作風は「モリカズ様式」と称され、親しまれた。
熊谷は、酒田市出身の世界的写真家・土門拳に師事した写真家の藤森武氏と交流があり、この縁で今回、作品を収蔵する天童市美術館、熊谷守一つけち記念館(中津川市)などの協力で市美術館が作品展を企画。油彩・水彩70点余を年代別に展示しており、画家として日の目を見る前に描いた風景画、「モリカズ様式」を確立した晩年に発表した「稚魚」「牡丹」「うさぎ」といった作品が並ぶ。
また、熊谷が実際に使用していた画材などとともに、藤森氏が撮影したポートレートも飾られ、熊谷の素顔を垣間見ることができる。展示は来月23日(日)まで。