2023年(令和5年) 3月4日(土)付紙面より
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2人超激戦必至の状況 酒田市飽海郡区
(文中敬称略)
【酒田市・飽海郡区】
酒田市・飽海郡区は自民の森田廣と梶原宗明、立憲民主の石黒覚の現職3人、無所属の前職・阿部ひとみ、いずれも無所属で前酒田市議の江口暢子と田中斉、不動産会社経営の今井和彦の新人3人の計7人が立候補を予定している。5議席を8人が争った前回(2019年4月)同様、激戦は必至な状況だ。
現職組のうち自民の星川純一(75)=同市黒森、6期目=は今期限りでの勇退を表明しており、牙城としてきた川南地区の票の行方が気になる。前回当選者5人の得票は9600―6800票台だった。立候補予定者がいない遊佐町には各陣営とも攻勢をかける。ある程度すみ分けられていた市中心部もかなり流動的な模様で、各陣営とも「誰が落ちてもおかしくない」と緊張感を強めている。県議会2月定例会開会中のため現職組は活動が制限され、動きが本格化するのは閉会後になりそうだ。
森田は2月13日、同市千石町二丁目に事務所を開設した。地盤とする市中心部に新人が立つため食い込みを防ぎつつ、企業や保守系市町議らのつてで広く掘り起こしを図る。
石黒は2月5日、同市東中の口町に事務所を構えた。地元・平田を中心とした旧3町地域、遊佐町を足がかりに、市中心部でも幹線道路沿いでつじ立ちするなど支持拡大を訴える。
梶原は1月26日に同市東大町一丁目で事務所開き。地盤とする東・北・中の3平田や、本楯、上田、川南、遊佐町にも攻勢に出る。建設関連企業や農業組織の支援も受ける。
阿部は市内各所で座談会を開き、2月23日に同市富士見町一丁目に事務所を開設し、告示に向けた臨戦態勢を整えた。地盤としている新堀を中心に市内全域で支持を訴える。
今井は年明け早々の1月8日に同市西野町の自宅隣に事務所を開設。2月中旬からは連日のように市中心部などでつじ立ちや街頭演説を繰り返し、支持拡大を図っている。
江口は2月4日に同市幸町二丁目で事務所開きを行い、告示に備えている。市議会の非自民系会派で自身が所属していた「市政研究会」などの支援を受け、毎朝のつじ立ちも活発化。
田中は1月29日に自宅にほど近い同市緑ケ丘一丁目に事務所を開設し、臨戦態勢に入った。市議時代から地盤としている川南を中心とした農業関係者らに広く支持を訴えている。
4回連続無投票か
東田川郡区
【東田川郡区】
庄内町と三川町を選挙区とする東田川郡区は、7選を目指す自民現職の田澤伸一以外、立候補に向けた動きはない。選挙戦となった07年以降、11、15、19年に続き4回連続で無投票の可能性が出ている。
田澤は昨年末以降、地元の庄内町全域で地盤固めに動いている。4日には事務所開き、22日には総決起大会を行う予定。
2023年(令和5年) 3月4日(土)付紙面より
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文化活動に貢献した人に贈られる「吉川英治文化賞」に鶴岡市立加茂水族館名誉館長の村上龍男さん(83)=鶴岡市羽黒町野荒町=が選ばれた。閉館寸前の加茂水族館を『世界一のクラゲ水族館』に立て直した功績が高く評価された。村上さんは「身に余る光栄。どん底を味わう苦しい時代があったが、多くの人に支えられたことに感謝したい」と受賞の喜びを語った。
村上さんは1967(昭和42)年、26歳の若さで館長に就任。新潟と秋田に新しい水族館が次々とオープンし一時は年間9万人まで落ち込んだが、1997年にサンゴを展示した際、自然に生まれた「サカサクラゲ」との出会いで光明が差した。その後、現在の奥泉和也館長(58)と展示種類を増やし、繁殖技術を確立。今では全国各地から多くの来館者があり、世界一の規模を誇るクラゲ水族館(約80種展示)として親しまれるようになった。クラゲを縁にノーベル化学賞を受賞した故・下村脩さんとも親交を深めた。
村上さんは「思えばサカサクラゲが奇跡を呼び込んでくれた。奥泉君がクラゲに興味を持ち、高い飼育と繁殖技術を確かなものにした。当時、加茂水族館の新築に全幅の信頼を寄せてくれた故・富塚陽一元鶴岡市長との出会いも大きかった」と振り返る。文化賞は吉川英治国民文化振興会が主催。今年で57回目。4月11日に東京・帝国ホテルで授賞式が行われる。
2023年(令和5年) 3月4日(土)付紙面より
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〈マスク取り驚いたのはしわの数〉―。先頃、新聞で見た川柳だ。新型コロナウイルス感染症予防対策で、この3年間マスクを着用する日々だったが、政府は今月13日以降、マスクの着用を個人の自主的な判断に委ねる。マスクを外す生活ができるとしても、自分が感染しない、他者にうつさないためには、周囲の環境に応じて着用する配慮をしなければならないのは、言うまでもないことだ。
県も政府の方針に倣ってマスク着用は個人の判断に委ねるとし、卒業式は児童、生徒、教職員はマスクを外すことを基本とした。また4月1日からは、学校での着用を求めず、マスクのない日常が戻ってくる。
◇ ◇
新型コロナ禍の発生は2020年1月。日本人は以前からインフルエンザの流行期などに、マスクを着用する習慣があった。もちろん「うつさず、もらわず」の予防意識から。しかしコロナ禍の中で、人々はマスクを求めて大混乱した。新型ウイルスへの怖さもあって、着用していない人を厳しく注意する“マスク警察”と称される人が現れたり、政府が急ぎ作って全国民に配った布マスクは、市販品が出回る頃に国民に届いたことと、効果と併せて無駄遣いの愚策と評された。
厚生労働省は、マスク着用の有無について他者がマスクの着脱を強いることがないよう求めている。屋内では2メートル以内の距離で会話する時は着用し、会話しない場合は不要とする。重症化リスクの高い高齢者などへの感染防止のため、医療機関受診時、高齢者施設訪問、混雑した電車やバスの乗車時などは着用を推奨し、屋外では原則不要とするとの指針だ。
県の新型コロナウイルス対策本部の会議でも政府の指針に添うとしたが、しかし、まだ不安を持つ人もいることから、吉村美栄子知事も「個人の意思に反してマスクの着脱を強いることや、マスク着用の有無による差別が生じないようにしてほしい」と呼び掛けた。
◇ ◇
全国の感染者は大幅に減ってきている。ワクチン接種、手指消毒、マスク着用などによる感染予防を取ってきた効果である。一方、日本では免疫を持たない人も多いとされ、今後新たに流行する可能性も指摘されている。今後も注意を怠ることはできず、政府の判断による“脱マスク”を、「着用してはならない」と勘違いしてはいけない。
マスク着用で、例えば20年4月に中学、高校に入学した生徒は3年間マスクで過ごし、オーバーな言い方をすれば級友の顔をよく知らないまま学校生活を送ったとも言える。マスク着用が当たり前の生活様式から、マスクなしが基本的な生活スタイルになる。しかし、感染が完全に断ち切られたわけではない以上、他者に対する配慮を忘れないことで、徐々にマスクなしの日常を取り戻せるのではないか。
2023年(令和5年) 3月4日(土)付紙面より
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鶴岡市の加茂地区で計画されている風力発電事業について、市が事業者に計画の中止を申し入れたことを巡り、2日の市議会3月定例会の一般質問で地元議員が「地元住民の声と思い、要望を聞いていない」と指摘し、皆川治市長に中止申し入れの再考を迫った。
市は事業計画に対し環境省や県との協議、地元の自然保護団体などの意見聴取を行い、国際的に価値のある県内唯一のラムサール条約登録湿地「大山上池・下池」に近く鳥類への生態系や自然環境、景観への影響が懸念されるとして、今年2月1日に事業者へ中止を求めた。
質問したのは加茂在住の尾形昌彦議員。自らも環境省と県に説明を受けたとして、「いずれも事業の中止を求めたのではなく、進めるのであれば十分に調査を行う必要があると助言したのだと認識している。地元の自治会などへの説明で市長は『環境省は容認できないということだと、私は受け止めた』と話したようだが、環境省の見解とは異なり、市長は勘違いしたのではないか。地域との対話の視点が欠けている」と指摘した。
さらに市が制限区域を示したガイドラインに、登録湿地に関する明確な基準がないことを挙げ、「事業者が各種手続きや市のガイドラインを確認しながら計画を進め、地元の合意を得て風況調査に入った段階でひっくり返された。だめなら最初から明確にすべきだ」と、市のガイドラインの不明確さが混乱を招いていると迫った。
皆川市長は「勘違いは全くしていない。環境アセスの手続きが始まる前に、重要な生態系においては事前に慎重に判断すべきと考え、早い段階で中止を求めることが重要だとの判断に至った。これがおかしいと言うのであれば、ラムサール条約登録湿地に対する認識が少し異なっていると思わざるを得ない」と答弁。ガイドラインについてはラムサール条約登録湿地を明記することも含め検討するとした。
市議会3月定例会には、市の中止申し入れの撤回と調査の継続を求める請願が、加茂地区住民から提出されており、9日の市民文教常任委員会で審査される。
(七森 剛)
2023年(令和5年) 3月4日(土)付紙面より
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酒田特別支援学校(三宅浩子校長)の聴覚障がい教育部中学部を今春に卒業する生徒のため、酒田光陵高校(藤田雅彦校長)の機械科3年生が「卒業記念手形」を制作。酒田市宮海の酒田特支で2日、手形の除幕式が行われた。
隣接していた旧酒田聾学校(現・酒田特支)、旧酒田工業高(現・光陵高)時代の1998年から続く恒例行事。光陵高機械科3年有志は授業で学んだ鋳物技術を生かし毎年、アルミニウム廃材を使用して中学部卒業生の手形を制作、贈呈している。
間もなく中学部を卒業するのは梶原咲良さん(15)。24年前のスタート時から携わっている光陵高の大瀧善弘教諭の指導で、前日に卒業式を終えた機械科3年の伊藤大河さん(18)、斎藤洋和さん(18)、前田成悟さん(18)の3人はこれまで梶原さんの手形作りに取り組んできた。
この日は大瀧教諭と生徒3人が酒田特支を訪問。同校の大橋佳代教頭が「仲間との関わりで積み上げてきた財産をこれからに生かして」、大瀧教諭が「いろいろと可能性を広げ、素晴らしい未来を手にして」とあいさつした後、渡り廊下の壁面に埋め込まれた手形を除幕。先輩たちの後に続き梶原さんの手形とプレートが現れると、大きな拍手に包まれた。
梶原さんは「手形を作ってくれてありがとうございます」とお礼。制作に当たった3人は「人のためにモノを作るという事は貴重な体験」「良い作品に仕上がったと思う。喜んでもらえたら」「初めて人のためにモノを作り、良い経験になった」と話した。