2023年(令和5年) 3月7日(火)付紙面より
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JR東日本新潟支社と全日空空輸(ANA)庄内支社が連携したおもてなしイベントが5日、酒田―新潟駅間を運行する観光列車「海里〈KAIRI〉」で行われ、ANA客室乗務員(CA)「ANA庄内ブルーアンバサダー(BA)」らが乗客をもてなした。
海里は2019年9月に運行を終了したジョイフルトレイン「きらきらうえつ」の後継列車で、同年10月から週末と休日を中心に新潟―酒田駅間を4両編成で運行している。座席数は86席。
連携イベントは酒田市に移住し、庄内地域の魅力を広く発信しているBAが昨年11月、海里に乗車しPRを行ったことがきっかけ。
海里は同日午後3時にBA3人を乗せ、JR酒田駅を出発。鶴岡駅、桑川駅などを経由し、同日午後6時31分にJR新潟駅に到着。満席となったこの日はBAが海里内で観光アナウンスやドリンク提供を行うなどしてもてなした。
このうち、JR鶴岡駅には同日午後3時20分ごろ到着。BAの西紅映さん(29)と切江沙也香さん(31)、海里のメニューを監修した奥田政行シェフ(53)が合流し、停車中の約30分間、乗降客に庄内の魅力をアナウンスしたり、記念撮影に応じる姿などが見られた。乗客の一人で、兵庫県から来たという正井伸英さん(37)は「飛行機内で聞くようなアナウンスを車内で聞くことができ、貴重な体験だった」と喜んだ。JR東日本庄内統括センターの海老澤友宏副所長は「陸と空の違いはあるが、庄内を盛り上げたいという気持ちは一緒。今後もこうした連携を考えていきたい」と話していた。
2023年(令和5年) 3月7日(火)付紙面より
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致道博物館・東京友の会の集いが4日、東京・江戸川区船堀のタワーホール船堀で行われた。同博物館の首都圏在住関係者らによるもので90人が参加。徳川宗家の19代当主・徳川家広氏(58)が「徳川幕府と庄内・東北」と題して講演した。
今年のNHK大河ドラマ「どうする家康」は家康を松本潤が演じ、徳川四天王筆頭で酒井家の初代・酒井忠次を大森南朋が務めている。家広氏は徳川家の故郷、愛知県岡崎市でパブリックビューイングとして同ドラマを見た際、忠次が海老すくいを披露するシーンに「出演者たちが“海老すくい”で今年の紅白(歌合戦)を目指すと言っていましたよ」と語り、場内を和ませた。大森は2カ月ほど練習を積んで収録に臨んだという。家康公より15歳年上、家臣団の中で一番年長で相談役だった忠次公の功績を家広氏は語った。
家康公の治世に関しては豊臣秀吉が亡くなり、朝鮮出兵が取りやめになった時、国内には「まだやれる」など主戦派の大名が多くいたことなどを説明。そうした混乱の時代を関ケ原の戦いなどを経て家康公は天下を治めていった。
家臣として最も信頼していた酒井家が庄内に配されたことに関しては、鶴岡は城下町、酒田は商都としてそれぞれ役割を課され「人口がまだ希薄だった西東北において徳川幕府が新しい形の政治の仕組みを敷こうとして派遣したのではないか。それが私の理解です」と語っていた。
旧庄内藩主酒井家18代当主で致道博物館の酒井忠久館長(76)は「家康公が日本全体を俯瞰(ふかん)しながら政治をしていたことがあらためて理解できた」と語っていた。今年6月、新たに館長職を引き継ぐ予定の19代・忠順副館長(48)は「大きな歴史の流れの中にいる自分を再確認した」と話していた。
同友の会の集いはコロナ禍もあって、今回3年ぶりの開催。講演後、参会者は旧交を温めていた。
2023年(令和5年) 3月7日(火)付紙面より
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酒田市の平田地域を中心に里山資源や営農型太陽光発電の活用法などを探る「里山資源を活用した地域づくりフォーラム」が4日、同市のひらたタウンセンターで開かれた。
多くの人から里山の保全や資源活用、再生可能エネルギーなどに理解を深めてもらおうと、同市平田地域の里山資源を活用し持続可能な地域づくりに取り組んでいる「ひらた里山の会」(佐藤忠智代表理事)が企画した。
この日は市民ら約140人が参加。里山保全のボランティア活動などに取り組む山形大農学部・渡辺理絵准教授らの環境地理学研究室の研究発表のほか、営農型太陽光発電事業を進めている福島県二本松市の「二本松営農ソーラー」「Sunshine」代表取締役の近藤恵氏と地域循環共生社会づくりに取り組む東北芸術工科大学デザイン工学部建築・デザイン学科の三浦秀一教授が講演した。
このうち、「進化する営農型発電」と題して講演した近藤さんは、「世界の営農型発電の研究はすさまじく、日本は2周半くらい遅れている。土地の有効利用や農業経営の安定化だけでなく、高温障害を防ぐ効果もある」などと紹介。「ソーラーパネルも進化し、現在では片面型から両面型が主流となっており、垂直にパネルを立てることも可能になった。地表面の光の乱反射を吸収するので発電量も従来とそれほど変わらない」とし、「農家が食料だけでなく、エネルギーの確保という使命を帯び始めたのではないかと思っている」などと話した。
参加者はメモを取りながら興味深げに聞き入っていた。
2023年(令和5年) 3月7日(火)付紙面より
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慶應義塾大先端生命科学研究所(鶴岡市)の所長を開設から22年間務め、3月末で定年退任する冨田勝氏の所長としての最終講演会が4日、同市のグランドエル・サンで開かれた。冨田氏は「結局、教育とは何か」と題して講演し、天性を伸ばすことを重視した庄内藩校致道館の教育理念に基づく人材育成の在り方を強調し、「今の日本に必要なのは、失敗を恐れずに新しいことに挑戦する人材を育てることだ」と語った。
冨田氏は先端研開設時に当時の富塚陽一市長(故人)から「世界が振り向く研究所にしてください」と言われたとして、「武者震いしたことを覚えている」と振り返った。所長に就任してから、「教師は生徒たちが面白がるような授業を心掛けよ」などとうたった致道館の教育方針に触れ、「慶應義塾創始者の福沢諭吉も同じことを説いた。生徒を面白がらせよという致道館の理念に勇気づけられ、私の背中を押してくれた」と述べた。
現在の日本の教育について、いまだに試験の点数や偏差値を重視しているため本質を見極めようとする学生が少ないと指摘し、「人と違うことをする人材が、今の日本社会には必要だ」と説いた。
地方創生についても触れ「東京の後追いではなく、自分たちの強みを深掘りし、東京を圧倒的に上回る他にはない魅力で勝負する。鶴岡・庄内の歴史的、伝統的な教育理念と出羽三山をはじめとする精神文化は圧倒的に上回るものであり、計り知れない可能性がある」と強調。東北公益文科大の公立化については「公益学は最先端の実学だ。先端研との親和性もある。公立化を実現し先端研ともっと連携を深めてほしい」と語った。
冨田氏は東京生まれで、作曲家・故冨田勲氏の長男。専門は生命科学。1997年に慶應大教授、2001年から先端研所長。同大環境情報学部長など歴任。講演会には先端研の関係者ら約160人が出席した。
2023年(令和5年) 3月7日(火)付紙面より
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6日は冬ごもりをしていた虫が動き出すといわれる二十四節気の一つ「啓蟄(けいちつ)」。鶴岡市馬場町の鶴岡公園では、松の幹に取り付けた恒例の「腹巻き外し」が行われた。
松の“腹巻き”はマツカレハ幼虫の越冬習性を利用した害虫駆除の一つ。晩秋に「こも」と呼ばれるわらを公園内にあるアカマツやクロマツなど約80本の幹に巻き付け、早春に外して焼却している。
この日は、市の委託を受けたシルバー人材センターのベテラン作業員8人が集まり、午前9時から作業に取り掛かった。「パチン」と剪定(せんてい)ばさみで結び目を切り巻物を巻き取るようにしてこもを外した。
例年、作業を受け持つ佐藤由蔵さん(77)は「間もなく公園内全体の冬囲いの取り外しが始まる。そうこうしているうちに今年も桜の花見シーズンが来るよ」と話していた。
取り外したこもは宝田三丁目のごみ焼却処理場に運んで処分した。