2023年(令和5年) 3月8日(水)付紙面より
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鶴岡市羽黒町の手向地区が全国表彰「住まいのまちなみ賞」を受けたことを記念した講演会とトークセッションが4日、いでは文化記念館で行われた。鶴岡市民ら約70人が参加。「未来へつなぐ次の一手!これからのまちづくり」をテーマに手向地区の将来について考えた。
トークセッションでは東北公益文科大非常勤講師の高谷時彦さんを司会者に記念講演の講師として招待した作家の森まゆみさん(東京)と出羽三山神社権宮司の阿部良一さんをパネリストに、会場に集まった参加者とディスカッションした。
その中で参加者からは「手向は普通の集落とは違う。出羽三山の門前町で聖地でもある。出羽三山と修験を融合した街並みづくりが大切」「全国的な問題とはいえ、手向集落で空き家や倒壊しそうな家屋が目についてきた。街並みを維持していくためにどのような対策を講じていくか」といった意見が出された。
これに対し森さんは「全国に100万という空き家が社会問題となっているが地域住民がリノベーションしてうまく活用している所も多い。挑戦してみては」とアドバイスを送った。
阿部さんは「かつて羽黒山の境内は全国から来た白装束の崇敬者で埋め尽くされたが、今は時代の移り変わりで講中は少なくなった。日本遺産に認定されている出羽三山を次世代の子どもたちに伝えていくことが大切だと考える」と語った。
トークセッションの前に行われた記念講演で森さんは「町の文化財を生かす―東京谷根千の40年」と題して講演した。
【住まいのまちなみ賞】
住宅生産振興財団などが主催する「第17回住まいのまちなみコンクール」の住まいのまちなみ部門で昨年、手向地区自治振興会(勝木正人会長、約340世帯)が受賞した。東京大教授の大月敏雄さんが審査委員長を務め、全国で美しい街並みや伝統文化を大切に守り続けている団体などを奨励している。手向地区は全国有数の宿坊を持つ歴史的な背景の中で、住民が一体となって空間資源の保全に取り組んでいることが高く評価された。高齢化や人口減少の問題解決に向けて住民同士の連携が図られていることも受賞につながった。今回の講演会とトークセッションは受賞を記念し、手向地区自治振興会と出羽三山魅力発信協議会が企画した。
2023年(令和5年) 3月8日(水)付紙面より
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県内公立高校の2023年度一般選抜試験が7日、各校一斉に行われた。受験生は国語、数学、社会、理科、英語の順で答案用紙に向かった。合格発表は17日(金)に各校で行われる。
24年度に鶴岡南高と統合して中高一貫の「致道館高校」となる鶴岡北高は定員120人に対し志願者数122人で志願倍率1・02。
マスクを着けた受験生が控室から試験会場の各教室に入り、注意事項の説明を受けた後、午前8時50分からの国語の試験に臨んだ。
県教育委員会によると、全日制は42校95学科で実施。推薦選抜内定者812人を差し引いた一般選抜の定員は5948人。これに対し志願者数は4869人で、平均志願倍率は前年度を0・02ポイント下回る0・82倍。庄内地域では10校18学科で定員割れとなった。庄内で志願倍率が高いのは鶴岡工業情報通信科1・93倍、酒田東理数・国際探究科1・28倍など。
今回から新型コロナウイルスやインフルエンザ感染などを含め、やむを得ない事情で受験できなかった生徒を対象に、12日(日)に追試験日が設けられた。
2023年(令和5年) 3月8日(水)付紙面より
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鶴岡市加茂地区で計画されている風力発電事業で、市は2月1日、事業者に計画の中止を申し入れた。ところが地元住民は、3月市議会に「中止申し入れの撤回と調査の継続を求める請願」を出した。風力発電事業に寄せる地元の期待が大きかったのに、中止申し入れの発表は「寝耳に水」だった。請願を読み、市議会一般質問を聞けば、市側の住民への配慮に不足があったとも思えてくる。
市は計画地が県内唯一のラムサール条約登録湿地「大山上池・下池」に近く、鳥類への生態系、自然環境、景観への影響が懸念されるため環境省、県、地元の自然保護団体などの意見を聞いて中止を判断した。
◇ ◇
加茂地区の住民は事業者から事前に説明を聞き、昨年12月からの風況調査実施を受け入れた。少子高齢化で加茂小学校がなくなり、地域の活性化に風力発電事業がプラス効果を生むことを期待した。既に風力発電が稼働している三瀬地区を視察、風車建設に伴って林道が整備された利点は、加茂でも生かせるのではないかとして、ぜひ導入したいとの機運が高まっていた。
地元では計画地が大山上池・下池に近接していることは承知している。同地の景観と環境の貴重性を認めた上、自然と住民の共生ができないか、どこに風車を建てれば貴重な環境に影響を与えないで済むかという環境影響評価(アセスメント)などの調査をしてほしかったという。調査を実施し、事業が難しければ諦めるが、調査もしないで中止されるのは納得できない。地元は、議会への請願で市に再考を求めた。
事業者は風況調査に続いて環境アセスも実施する考えで、その方法などを既に市環境課に相談している。皆川市長は「環境アセスの手続きの前に、慎重に判断し、予防的措置の意味から早い段階で中止を求めることにした」と議会で答弁している。「予防的措置」の意味には、中止申し入れ時期が遅れることで、事業者の負担が増すことを避けるとの考えもあったようだ。
◇ ◇
疑問な点がある。市長は「ラムサール条約登録湿地の近接地で風力発電することは意外だった。県も望ましくない場所と言っている。計画に困ったと思った」と答弁している点だ。建設が環境・生態系上などで好ましくないのであれば、事業者の地元説明会、昨年6月の市への環境アセスの問い合わせ、同12月からの風況調査着手時などの段階で、中止を申し入れるチャンスはあったと思われる。
地元は請願で「中止申し入れは、地元に一切説明がなかった」と述べている。自然環境と生態系は保護しなければならない。同時に近隣住民の生活も守らねばならない。市長は一般質問で「地域の人からは引き続き意見は聞いていきたい」と述べたが、意見を聞くのはもっと早い時期であるべきではなかっただろうか。
2023年(令和5年) 3月8日(水)付紙面より
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酒田市立酒田看護専門学校(齊藤宗一学校長)の卒業式が4日、同市の東北公益文科大学公益ホールで行われ、11回生26人が新たなステージに巣立った。
同校は市が運営を引き継ぐ形で2010年4月、3年制昼間コースの看護師養成校として開校。11回生は20年春の入学以来、コロナ禍のため活動が制限される中、講義や臨床実習などを通し、看護師として必要な研さんを積んできた。式には卒業生と保護者、教職員らが出席した。
ナイチンゲール像が見守る中、齊藤学校長が卒業生一人一人に卒業証書を手渡し、「コロナ禍で入学式が中止になるなど不安の中でのスタートとなり、その後も中止や縮小、延期が相次いだ。さまざまな制限の中、この日を迎えられたことは皆さんの努力のたまもの。これからも日々研さんに励んでほしい。心を込めて事に当たれば道は開ける。看護師として大きく成長することを期待する」と式辞。設置者を代表し丸山至市長が「市が行っている新型コロナウイルスワクチン接種事業に協力いただき感謝。これからも困難に出くわすと思うが、ぜひ学んだスキル、情熱、思いやりの心で克服してほしい」とお祝いの言葉を述べた。
山形県・酒田市病院機構の栗谷義樹理事長らが祝辞、在校生代表が送辞を述べた後、卒業生代表の川村桃さん(21)=酒田市=が「入学式はじめ各種行事の中止、臨時休校などコロナ禍の影響が多方面にわたり、『看護師になれるのか』ともどかしさや焦りを感じた時もあった。人を思いやる気持ち、向上心を持っている仲間がいたからこそ頑張ることができた。多くのことを学び、この日を迎えることができたのは皆さんの指導のおかげ。ありがとうございました」と答辞。最後は卒業生全員が登壇し、卒業の歌としてGReeeeN「遥か」を斉唱、晴れ晴れとした歌声を響かせた。
2023年(令和5年) 3月8日(水)付紙面より
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鶴岡市の櫛引地域産業振興プロジェクト推進協議会(鈴木光秀会長)は櫛引産のリンゴやブドウを使った新作のスイーツを開発した。タルトとパウンドケーキに仕上げたもので、商品名は「たわわにみのったお菓子屋さん」。19日から産直あぐりで販売する。
櫛引産フルーツのブランド化を目指そうと、アル・ケッチァーノ(同市遠賀原)の奥田政行シェフの協力を得て、商品開発を進めてきた。
スイーツの内容は庄内柿とあんこのタルト、ブドウ(瀬戸ジャイアンツ)のパウンドケーキ。
奥田シェフは「タルトは干し柿の軟らかさとマッチするよう卵白を多く使用しサクサクの食感に仕上げた。ケーキは生地に100%ブドウジュースを混ぜてフルーティーに。果物の甘みと香りの邪魔をしないよう砂糖の量を控えた」と説明。試食した人は「果物の甘みと鼻に抜ける香りを感じる」「紅茶に合う」「サクサクのタルト生地がおいしい」などの感想を話した。
鈴木会長は「生産ロスを減らすためにも加工品の開発はますます重要になってくる。櫛引産フルーツのブランド化を目指して、これからも農家さんと手を組みながら尽力したい」と語った。
タルト、ケーキどちらも税込み2000円。市のふるさと納税返礼品にも登録される。問い合わせは市櫛引庁舎=電0235(57)2114=へ。